国道154号線に続く港国道シリーズの第2弾は、三重県四日市市にある164号線である。起点は四日市港、終点は1号線との交点である中部交差点だ。途中で23号線と交差するなど、基本的な構成は154号線と変わらない。
ただ、164号線は154号線に輪をかけて短い。そろそろ短い国道ベスト10にランクインできる距離なのである。その長さは3.0km。現時点では9番目に短い国道だが、下手をすればベスト10から陥落しそうなポジションである。下からは3.6kmでギリギリベスト10入りの131号線を初め、多くの猛者たちが猛追をかけている。上を見れば、短い国道のベスト5まではいずれも1km未満で、上位集団までの距離はまだまだ遠い。
四日市港近くには、「許しません白い粉、通しません黒い武器」というスローガンの掲げられたプレートが掲示されていて、何やら緊迫した空気が漂っている。近くに税関があるため、港に跋扈する犯罪者を威嚇しているのだろう。とかく港に付きまとう怪しいイメージをバックアップしているようだ。
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雨の日も風の日も、四日市港の平和のために睨みをきかせる、税関イメージキャラクター「カスタム君」。実はテーマソングや詳細プロフィールも用意されている。
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164号線起点から進行方向を望む。まったくと言っていいほど生活臭のない道だ。道沿いには工場のような建物が建ち並ぶ。広大な敷地を持つ大手企業の敷地内道路を思わせるのっぺりとした道だ。
数百mから1kmほど進んだところで左折。この曲がり角のあたりまで来ると一応アパートと個人商店らしき店があるが、暮らすには少々無機質に過ぎる街なのではないかと、人事ながら気にかかる。
道なりに進み、橋を渡ってすぐにまた右折。前方に白い煙を吐き出す巨大な煙突が見える。中高地理のレベルでは、四日市は石油化学工業が盛んだといわれる。その工場なのだろうか。高度経済成長期のこの街を襲った「人災」は、もはや歴史の中のものになりつつある。
そしてまた数百m進んで左折。くねくねとよく曲がる道だ。
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2度目の左折後すぐに、23号線との交点がある。国道族のオアシス、吉野家のある「浜町」交差点だ。このチェーンは国道沿いへの出店傾向があるようで、国道活動における「常食堂」のように利用でき、助かる。
名古屋近辺から四日市にかけて、23号線は「名四国道」の通称で呼ばれる。高速道路並みの高架道路から、片側2車線を確保した高規格道へとスライドしていく。その一方で、23号線よりも1本内陸側を走る1号線は、古い街道筋に沿って走っていることもあってか、片側1車線ずつ対面通行の区間が長い。そのため名古屋-四日市間の移動には23号線が好まれる。ドライバー達は必要に応じて1号線側に乗り換えたりする。164号線はまさにそのためのバイパス道路なのである。
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23号線を行き過ぎてからはゴールまで一本道だ。途中、JR関西本線の踏み切りがある。
23号線よりも西側の地区は江戸時代頃には完成されていた町らしく、「蔵町」、「納屋町」など古いタイプの町名が見られる。納屋とは魚屋のことだが、海が近いだけあって海鮮問屋などっで賑わったのだろうか。また、道沿いにも「うす皮饅頭」などを売る和菓子屋や、お茶を売る店(いわゆる「茶店」とはまた別物)が目に付き、一昔前のほうが繁華な地区だったのではないかとさえ思える。
それにしても歩道が極端に広い区間だ。自動車が乗り入れても、楽々走れそうな幅が確保されている。必要に迫られたら車道部分を拡幅するつもりなのだろうか。現状は、かなり幅広ながら片側1車線ずつが基本の道である。
そうこうするうちに四日市の中心部にある、その名も「中部」交差点で1号線にぶつかり、終点となる。
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