国道23号線は、愛知県豊橋市と三重県伊勢市を結ぶ177.0kmの国道だ。経路としては、三河湾に面する豊橋市を出発後しばらくは三河湾伝いに走り、その後は愛知県の内陸部を経由して名古屋市に到達。以後は伊勢湾西岸を南下して伊勢市を目指す形になる。うろ覚えながら、日本の全国道の中で、橋梁部の長さが最も長い国道だったような気がする。あるいは橋の数最多だったか。いずれにせよ、橋と縁のある国道であるようだ。
途中の愛知県の西三河地域から三重県四日市市辺りまでは国道1号線とつかず離れずの高規格道路として存在しているため、大掛かりな1号線バイパスのようでもある。名古屋−四日市間などは「名四国道」と呼ばれるほどだ。また、この国道の終点は他の道との交差点ではなく伊勢神宮境内地の入口になっており、その意味では長大な伊勢神宮参道のようなものと見ることも可能かもしれない。
豊橋市起点・西八町交差点は国道1号線との交点だ。なお、この交差点は国道151号線、同じく259号線の終点にもなっている。
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名古屋市近郊から四日市市内辺りまでの1号線は片側1車線対面通行区間が長く、近年になってようやく再整備が開始された。名四国道・23号線が地域交通に果たす役割は大きい。
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豊橋市街の西外れを走ることになる23号線は蒲郡街道と呼ばれる。その名の通り、豊橋市と蒲郡市の間を往来する地元の車も多いようだ。豊橋市、宝飯郡御津町(ほいぐんみとちょう)と走り抜けると、蒲郡市に入る。三河湾の最奥部付近に位置するこの地は漁業に特化した港町ではなく、過去にはヨットのアメリカズカップの開催地となったこともあるなど、総合的な港湾都市という性格が強い街だ。23号線にも一部海沿いを走る区間が存在する。
近年ではこの海岸部の開発が進んでいる。埋立地にはテーマパーク「ラグーナ蒲郡」が建設された。23号線からも観覧車をはじめ、テーマパークの建物が見える。それに合わせた開発計画のために埋め立ても急速に進み、海岸線はずいぶんと沖合いの方に離れてしまった感がある。
最近開発が進んでいるのは蒲郡市内でも新開地にあたる地区で、ここからしばらく進むと蒲郡の古くからの中心地に入る。こちらにはまだ漁師町的風情が残っていて、道はそれほど広くない。反対側の街外れには競艇場もあり、つくづく海とか船といったものに縁のある街だとわかる。
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競艇場をやり過ごした先あたりが、額田郡幸田(こうた)町だ。蒲郡側からはちょっとした丘陵地によって隔てられているだけだが、その雰囲気は隣町とはずいぶんと違う。ちょっとした山村地帯のようでもある。
この幸田町を抜けた先が西尾市で、市部に入る関係でここから再び街乗りが始まるのかと思いきや、実際にはそうはならない。とはいえ、田舎道が続くわけでもない。西尾から先、23号線はちょっとした高速道路張りの高架道路に化けるのだ。そのため西尾から先の23号線ドライブは、単純な市街地走行とは勝手が違ってくるのである。
道幅は片側1車線ずつが基本になっており、実際の高速自動車道路ほどの高規格道路ではないものの、信号交差点がほとんど無い。交通量がかなり多いので、自然渋滞が発生することも珍しくはないのだが、三河地方から名古屋市方面へと移動する時、1号線を使うよりも23号線を走ったほうが所要時間の短縮につながることが多い。
バイパスに次ぐバイパスの区間は、西尾市、安城市、刈谷市、知立市、豊明市、そして名古屋市へと続く。側壁越しに遠くの街並を見ることはできるが、車窓風景は単調で変化に乏しい。一部、豊明市から名古屋市南部に入る箇所で頭上を伊勢湾岸自動車道の高架に覆われることがあり、その威容はそれはそれで圧巻なのだけれど、すぐにまた無味乾燥な高速もどきの風景に戻ってしまう。
23号線がもう少し地に足のついた雰囲気の国道に戻るのは、海部郡飛島村(あまぐんとびしまむら)を過ぎ、三重県に入ってからのことだ。
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海部郡飛島村。「かいふぐんあすかむら」と誤読される率が高い。
上写真は国道154号線から見た23号高架。
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