42号線豊橋-伊良湖間は自転車で走った。距離にして40kmほど。海風と道のアップダウンに泣かされる区間だった。風景の変化が乏しいことはこれまでに幾度となく強調してきたが、移動速度の遅い自転車ならなおさらだ。
 そして、最後の最後で長い上り坂である。自分は一体何をしているのかという気分にもなったが、路肩停車も思いのままの自転車の特性を生かし、憎いカタキのように日出付近の写真を撮った、撮った。撮りまくった。がしかし、実を言うと坂を登りきったあたりに周辺観光用の駐車場があったのである。広くはないが、10台ほどは車を止められそうなスペースであった。

 左が42号線から見下ろした日出の石門。右は坂を登り始める直前にある駐車場あたりから石門越しに神島を見たもの。
 付近の浜は外海なので波が荒い。右写真からもわかるが、波に洗われたか駐車場の一部が崩落し、付近の遊歩道も路肩落盤のために通行禁止になっていた。

 名も知らぬ遠き島より流れてきたヤシの実のことを詠った島崎藤村作の「椰子の実」詩碑。藤村は、かつて伊良湖付近に滞在していた民俗学者・柳田國男から、遠い南の島から渥美半島に流れ着くヤシの実の事を聞き、この詩を作った。が、柳田も実物を見たわけではなく、土地の人からそういう話を聞いただけだった。藤村は、友達の友達の体験を詩にしたわけである。
 碑は昭和54年にマリアナ諸島ロタ島で放流したヤシの実がここまで流れ着いたことを記念して立てられたもの。今でも沖縄からヤシの実を放流しているとのこと。

 
 恋路ヶ浜の風景。名前はロマンチックだが波は結構荒い。波打ち際で戯れていると、そのまま波にさらわれてしまうこともありうるので、ゆめゆめ油断なさらぬよう。
 42号線アタックをしていると、恋路ヶ浜の反対方向にある道の駅「伊良湖クリスタルポルト」、三河湾側に向かうことになる。