*みょうじん駅*
【かぐら寺】から戻る途中、【みょうじん駅】に立ち寄った僕は、ふと思いついて駅員さんに声をかけてみた。

「ああ、【あやしろ家】のお手伝いさんの【あかね】さんですか。さっきここを通って【あやしろ家】の方へ行きましたよ。」
「そうですか、ありがとうございます!」

やっぱり【あかね】さんはもう戻っているみたいだ。さっそく会って話を聞いてみなくちゃ。
*あやしろ家*
【あやしろ家】では、前と同じく執事の【ぜんぞう】さんが出迎えてくれた。

「茂夫様、【くまだ】先生には会っていただけましたか?」
「えぇ、それに【アズサ】さんにも。ところで・・・【あかね】さんは戻っていますか?」
「あ、はい。先ほど戻ってまいりました。【キク】さまの寝室にいるはずですが。」
「ありがとうございます。さっそく話を聞かせてもらいます。」

*キクの寝室*
僕がフスマを開けて【キク】さんの寝室に入ると、そこにはこの屋敷でお手伝いをしている【あかね】さんが待っていた。なにかに、ひどく怯えているようにも見えるが・・・?

「はじめまして、僕は【ぜんぞう】さんに今回の件の調査を頼まれている、探偵の茂木茂夫と言います。」
「【キク】さんの亡くなられた時のことについて、聞かせていただきたいのですが・・・。」

【あかね】さんは少しためらっていたが、やがてその重い口を開いて話を聞かせてくれた。

「あの日、奥様がなかなか起きていらっしゃらないので様子を見にここへ来たんです。その時には、既に・・・。遺言書の公開が終わったあと、寝室へ戻られて間もなく発作を起こされたらしい、と【くまだ】先生がおっしゃっていました。私さえ気をつけていれば、こんな事には・・・。」

そういって、彼女は肩を震わせた。やはり、相当のショックだったようだ。

「遺言状の公開とのことでしたけど、あなたから見てなにか気がついた事はなかったですか?」

僕はあえて冷静に質問を続ける・・・。【あかね】さんは少々考えたあと、興味深い話を聞かせてくれた。、

「そういえば、遺言公開の日、皆様居間の方に集まってらっしゃる時に、庭で【アキラ】さまを見ました。声をかけようとしたのですけど、それに驚いてどこかへ行ってしまわれたんです。どうされたのかしら・・・?」」
「【アキラ】?」
「【カンジ】様の息子さんです。時々このお部屋にも出入りされてました。」

【あやしろ家】の長男、【カンジ】には息子がいたのか・・・。ここに出入りしていた?そうだ、執事の【ぜんぞう】さんにも話を聞いてみよう。

「【あかね】さん、どうもお話ありがとうございました。よろしければ、【ぜんぞう】さんを呼んでいただけませんか?」
「はい・・・。」

そういって彼女は部屋を出て行き、やがて彼女に呼ばれた【ぜんぞう】さんが寝室に入ってきた。

「はい、何か?」
「ちょっとお聞きしたいのですが、【アキラ】という人も来ていたんですか?」
「【アキラ】様があの日、ここへですか?私は存じませんでしたが・・・。」

執事の【ぜんぞう】さんが知らない?それはおかしいな・・・と、その時、階下から電話のベルが響いてきた。

「おや?電話がかかってきたようですな。ちょっと失礼させていただきます。」

そういって席を外す【ぜんぞう】さん。ちょうどいい機会だ、この部屋をもう少し調べさせてもらおう。

「これはなんだ・・・?畳が焦げているぞ?」

なんの焦げあとだろう?ひとしきり調べて、他におかしな形跡がない事を確認した僕は、改めて【ぜんぞう】さんを呼んでみた。

「【ぜんぞう】さん、この焦げ跡は・・・?」
「はて、いつできたのでしょうか?今まで気付きませんでしたが・・・。」
「おっと、そうでした、茂木様。お電話は【あゆみ】様からでした。一度、事務所のほうへお戻りくださいとのことです。」

そうか、これまでの調査の報告もしなくちゃいけないしな・・・。一度戻って、情報の整理もしておこう。

「では、【ぜんぞう】さん、僕は一度事務所に戻ります。」
「はい茂木様。一刻も早く、この件を解決してくださいませ!」

*空木探偵事務所*
事務所に戻ると、【あゆみ】ちゃんが待っていてくれた。

「調査の進み具合を知りたくて電話したの。どう、進んでる?」

僕は、記憶を整理しつつそれに答えていく・・・。

「【あやしろ商事】の会長、【キク】の突然の死に疑問を持った執事が依頼人だった。それというのも、【キク】が遺言公開の直後に死亡したからなんだ。」
「遺言書には一体何が書かれてたのかしら?」
「まだわからない・・・あと、【アキラ】という男がちょうど屋敷に来ていたらしいんだけど、これは偶然なんだろうか。」
「今のところ、【キク】の死因は心不全以外に考えられないみたいなんだけど・・・。」
「【あやしろ商事】のことを調べる必要がありそうね。それは私が調べてみるわ!だから茂夫くんは【あやしろ家】に行って、もっと詳しく調査をしてきてね。」
「わかった。頼んだよ、【あゆみ】ちゃん。」
「茂夫くんこそ。」

事件の一応の整理と、報告を終えた僕は再び【みょうじん村】へと足を運んだ。まだ調査は始まったばかりだ。しっかりしないとな・・・。