*あやしろ家*
僕が【あやしろ家】に戻り、とりあえず【ぜんぞう】さんに挨拶をしようと行ってみると、【ぜんぞう】さんが大事な事を教えてくれた。

「茂木様、居間の方に【カンジ】様がお見えですが、お話されてはいかがですか?」
「本当ですか!?さっそく会わせていただきます。」

この事件を解決する為には、1人でも多くの人の話を聞いておかないと・・・僕はさっそく居間へと向かった。

*居間*
【あやしろ家】の居間・・・そこに喪服を着た中年の男性がいた。彼が【カンジ】・・・【キク】の甥で三兄妹の長男、そして【アキラ】の父親か。

「どうもはじめまして。私立探偵の茂木茂夫、と言います。」
「まったく、ゆっくりくつろいでおったのに一体何の用かね?」
「僕が今、【キク】さんの死について調べている事はご存知ですよね。それに関連して、遺言状の内容を聞かせて欲しいんですが・・・。」
「調べるって、あれは自然死だろう?まぁ、いい。ここに遺言公開のときにとったメモがある。」
「では、拝見します・・・。」

そのメモには、【あやしろ商事】の事と、【キク】の個人財産についてが書かれていた。

『・・・あやしろ商事の会長として、キクが持っていた全ての権利は、あやしろ家の正当なる後継者の印を持つ、あやしろユリに譲られるものとする。』
『キクの個人財産は、半分をユリに、残りの半分をカンジ・ジロウ・アズサの3名で公平に分配すべし。』

「【あやしろユリ】・・・・・・!?」

一体誰なんだ?それに、【正当なる後継者の印】・・・というのは?

「失礼ですが、【ユリ】さんというのは誰なんです?」
「会長の一人娘だ。・・・二十年前家を飛び出したまま、行方不明だ。」

二十年も前から行方不明なのか。おっと、そう言えば・・・。

「【アキラ】さんというのは、あなたの息子さんでしたよね、遺言公開の日、こちらにこられていたとか。」
「なに!?確かに【アキラ】は私の息子だが、こちらには来ていないはずだぞ?そもそも【アキラ】は遺言公開のことなぞ知らんはずだ。」

たしか、【ぜんぞう】さんも『来ていない』と言っていたな、もう一度聞いてみよう。

「はい、なんの御用でしょうか。」
「【アキラ】さんのことなんですが。」
「・・・・・・・・・。」

・・・?珍しいな、【ぜんぞう】さんが口ごもるなんて。何かあるのかな?ここは質問を変えてみよう。

「そういえば、先ほど【カンジ】さんに見せていただいた遺言状の写しに、【後継者の印】という物があったんですが。」
「それは、先祖から代々この【あやしろ家】の正当なる後継者に伝えられる、というものです。残念ながら、私は見たことがないので何とも言えないのですが・・・。」

そこで、【カンジ】さんが口を挟んできた。

「私もどんなものかは知らんが、【あやしろ家】の先代の実の子供や、孫といった本家筋の人間だけが手に出来るそうだ。わしら分家筋の人間には縁のない代物だよ。」

なるほど、色々と込み入った事情があるみたいだ。
そこで、ふと【ぜんぞう】さんの方を見てみると、なにか僕に訴えかけるような視線を向けていた・・・もしかして、【カンジ】さんの前では言いたくない事があるのかな?

「どうも、【カンジ】さん、失礼しました。では僕は調査を続けますので。」
「無駄だとは思うがね。」

【カンジ】のその言葉に送られて、僕は居間を出た。さて、どこがいいだろう・・・?

*キクの寝室*
居間を出た僕は、【ぜんぞう】さんの話をゆっくり聞ける場所・・・【キク】さんの寝室へとやってきた。ここなら大丈夫だろう。

「さっきはすみません、いきなりあんなことを聞いてしまって。」
「いえいえ・・・先ほどは【カンジ】様の手前、申し上げにくかったのですが、アキラ様はどうも何度か警察のお世話になられたことがあるようなのです。」

・・・!!!なるほど、これじゃ【カンジ】さんの前じゃ話せないわけだ。

「そうだったんですか。ありがとうございます。」
【アキラ】・・・まだ確証は持てないけど、何らかの形で事件には関わっていそうだな。
*居間*
【ぜんぞう】さんに、【アキラ】さんの事を聞いた僕は、再び居間に戻ってきた。その僕をみて、【カンジ】さんが話しかけてきた。

「あ、そうそう。言い忘れておったが、遺言書の作成には弁護士の【かんだ】が手伝っておったんだ。」
「?【かんだ】・・・?」

初めて聞く名前だな。これならここでも大丈夫だろうから、【ぜんぞう】さんに聞いてみよう。

「たびたびすみませんが・・・【かんだ】弁護士とはどういった方なのですか?」
「あっ!そうそう、遺言公開には【かんだ】さまもたちあっておられました。・・・そういえば、茂木様はまだ【かんだ】様とは会っておられませんね。【かんだ】様の事務所の電話番号はコ
メイチロク・・・*16の短縮ダイアルです。」

なるほど、*、1、6っと・・・プルプルプル、プルプルプル・・・。

「はい、【かんだ弁護士事務所】です。【かんだ】はただいま外出中です。」

なんだ、残念。しょうがないから、ここは【カンジ】さんに【かんだ】さんの事を聞いておこう。

「人を待たせるとは何事だ。またタバコを吸ってしもうたわい・・・ん?【かんだ】というのは【あやしろ商事】の顧問弁護士だ。会長から信頼されておった。わしらもよく相談に乗ってもらっているよ。」

遺言状の作成に関わっていても不自然ではない・・・ということなのか。そうだ、この際に色々聞いておこう。

「ところで、【アズサ】さんなんですが。」
「ああ、あいつはひどい借金でずいぶん金に困っているようだな。元々ここの遺産を当てにしとった上に、会長やワシにまで借金をしとる。馬鹿な奴だ。」
「他に何か、気がついたことはありませんか?」
「【あやしろ商事】はワシに・・・い、いや・・・会社の事はワシと【ジロウ】に任せておけばいいんだ。・・・もういいかね?ワシは忙しいので失礼するぞ。」

行ってしまった・・・さすがにマズイことを言ってしまったと思ったようだ。では、今度は【ぜんぞう】さんに・・・。

「【カンジ】さんにもお聞きしたんですが、【ユリ】さんというのは・・・?」
「【キク】様のお嬢様です。大変美しく、心根の優しい方でした。ある事情でこの家を出られたまま、今ではどこにいらっしゃるのかさえわからないのですが・・・。」

ある事情・・・聞いてみたいが、すぐには無理だろうな。

「考えてみれば、当家の後継者となられるのは【ユリ】様以外に考えられません。」
「それで、【ユリ】さんのことや、【印】のことをもっと詳しく聞きたいのですが。」
「はぁ・・・他にご存知な方と言えば、【ジロウ】様か【アズサ】様ぐらいでしょう。」
「【アズサ】様はまもなく戻られるはずです。それと、【ユリ】様のことでしたら、村人の中にも知っている者がいると思いますが・・・。」

なるほど、今度は村の人たちに話を聞いてみよう・・・。