*みょうじん駅*
僕は【あやしろユリ】さんのこと聞くために、とりあえず【みょうじん駅】へとやって来た。ここの近くにいる人たちに聞いてみよう。

「あの・・・すいません。」
「なんかようかの?」
「じつは、二十年前から行方不明、という【あやしろユリ】さんについて調べているんですが、あなたは何かご存知ではないですか?」

僕のその問いに、村人はなぜか曖昧な笑みを浮かべながら答えてくれた。

「・・・へへっ。【あやしろユリ】さんのことなら、【くまだ】先生がよく知っているようだで。」

【くまだ】先生が?なるほど、昔からこの村で開業医をやっていた先生なら、何か知っていても不思議ではない・・・僕はさっそく【くまだ医院】へと向かう事にした。

*くまだ医院*
僕が再び【くまだ医院】を訪れた時も、【くまだ】先生は机に向かってカルテの整理をしていた。幸い今の時間、患者さんはいないようだ。

「たびたびすいません、【くまだ】先生。」
「おお、なんのようぢゃ。」
「実は・・・二十年前に失踪したという、【あやしろユリ】さんのことについて・・・。」

な、なんだ!?【くまだ】先生、赤くなってるぞ?

「先生、どうしたんです?頬なんか染めちゃって。」
「な、なんでもないんぢゃ・・・。」

あ、これはもしかして・・・。

「先生、もしかして【ユリ】さんのこと・・・。」
「な、なにを言うとるか!【ユリ】さんのことなら【げんしん】に聞いてくれ・・・さっさといかんか!」
「あーあ、年甲斐もなく照れちゃって。」
「・・・はよ、行けというのに!」

口ではそういいながらも、顔の火照りは隠せないみたいだ。・・・なるほど、だから村人はあんな顔をしていたんだな。
さて、じゃあ【かぐら寺】に行くか・・・おっと、その前にこれだけは聞いておかないと。

「ところで先生、なにかお気付きになられた点はないですか?」
「いや、別にこれと言ってないが・・・そう言えば、【アズサ】が今日も来とったぞ。薬だけもらって、さっき帰ったところぢゃ。今ごろは屋敷におるんぢゃないか?」

なるほど・・・【かぐら寺】に寄った後、【アズサ】さんにも話を聞いてみよう。

*かぐら寺*
僕は、【くまだ医院】を出ると【かぐら寺】へとやってきた。あいかわらず【げんしん】さんは墓地ではき掃除をしているみたいだ。

「どうも、先ほどは失礼しました、茂木茂夫です。」
「おお、あんたか。で、今度は何用じゃな?」
「実は、【あやしろユリ】さんについて聞かせていただきたいと思って・・・。」

「・・・【ユリ】は、【キク】さんの一人娘じゃ。二十年前この村へ仕事でやってきた青年と知り合った、それが始まりじゃよ。」
「二人はやがて、愛しあうようになったんじゃ。じゃが、【キク】さんの旦那が二人の仲を猛反対してのう。『身分が違う!』とな・・・。」
「しかし、【ユリ】の決心は固く、二人はついに駆け落ちしてしもうたんじゃよ。」
「なるほど、そうだったんですか・・・。」
「それでも、【ユリ】は可愛い一人娘じゃからのう、【キク】さんは後継者の証を持たせたようじゃがな。」
「【キク】さんの旦那だった人は、かなりアコギな商売をしとったようじゃが、それももう遠い昔の話じゃよ・・・。」
「貴重なお話、ありがとうございます。」
「なに、いつでもくるがえぇ。」

【かぐら寺】・・・と言えば、【げんしん】さんから【あやしろ】の伝説を聞いたのがここだったな。
ちょうどいい機会だし、【みょうじん駅】に寄って、村の人にも聞いてみよう。
*みょうじん駅*
僕が話を聞いた村人は、【ユリ】さんの話の時とはうってかわって陰鬱な顔で答えてくれた。

「あの家は、呪われとるだよ・・・。たくさんの人の恨みつらみで大きくなった家じゃからな・・・。【キク】さんが殺されたって話も、ただの噂とは言いきれねぇだ。」

・・・!村人の間にまで、噂は広まっていたのか・・・。

「【キク】さんはのう・・・満月の晩に墓から出てきなさるだ。きっとまた、死人が出るに違げえねぇだよ・・・。」
「そんな・・・!!」

村人は、暗い顔でそう言いきった。しかし、そんな事が現実に?そんな馬鹿な・・・。僕は足取りも重く、【あやしろ家】への帰路に着いた・・・。