*かんだ弁護士事務所*
それからすぐに【カンダ弁護士事務所】に向かった僕を、電話で話した秘書の人が迎え入れてくれた。

「はじめまして、【あやしろ家】で起こっている一連の事件について調べている、私立探偵の茂木茂夫です。」
「お待ちいたしておりました。【いしのレイコ】と申します。」
「早速ですが、夕べここに訪ねてきた人について聞かせて頂きたいのですが・・・。」
「確かに、夕べ男の方が先生と一緒にお見えになり、しばらく奥の部屋で話し込んでおられました。・・・自殺された、というのはその方なんですか?」
「それは、まだ確認できていないんですが・・・ところで、【カンダ】先生というのはどのような方なんですか?実はまだ、一度もお会いした事がないんですが。」
「お若いのに、とても優秀な方です。まだ30代じゃなかったかしら・・・。」
「先日も、以前担当なされた事件のファイルを熱心に調べていらっしゃいました。そういう時の先生には、近寄りがたいものさえ感じますわ。」

ファイル・・・これかな?僕はふと、近くにあったファイルに手をのばした・・・。

「何をするんですか!用がないならお引取りください!」
「す、すいません!」

やっぱり!叱られてしまった・・・。あわてた僕は、【カンダ弁護士事務所】を失礼して、【みょうじん村】へ戻る事にした。

*みょうじん駅*
やれやれ・・・さすがに事件のファイルにいきなり手をのばしたのは失礼だったな・・・。
【みょうじん駅】では、相変わらず村の人たちが崇りについて噂している・・・当たり前だよな、これで二人目の死者だもの・・・。そこで、ふと僕は思い出した。

「しまった!考えてみれば、夕べ【カンダ弁護士事務所】を訪ねたのが【ジロウ】さんだった、っていう確認が取れてないや!写真でもあればよいんだけど・・・。」

【あやしろ家】には【ジロウ】の写ってる写真はないかな?

*居間*
【あやしろ家】に戻った僕は、今にいた【アカネ】さんに、【ジロウ】の写った写真がないかどうか聞いてみた。すると・・・。

「【ジロウ】様は夕べ、【免許証】を探しておられました。・・・茂木様、これは【ジロウ】様の【免許証】です。お役に立つかもしれません、お持ちください。」
「ありがとうございます、【アカネ】さん!」

これで、確認が取れるぞ。【カンダ】弁護士事務所にとんぼ返りだ・・・段取り悪いなぁ。
*かんだ弁護士事務所*
事務所に戻ってきた僕は、挨拶もそこそこに秘書の【レイコ】さんに【免許証】を見せてみた。

「確かにこの方です!昨日お見えになったのは。ああ、この方が【あやしろ商事】の専務さんでしたか・・・。でも、あの方が自殺されたとはとても信じられませんわ。」
「と、いうと?」
「夕べここを訪れた【ジロウ】さんは、【カンダ】先生とかなり長くお話された後、一緒に出かけられました。お話が弾んでいたようで、灰皿が吸殻で一杯でしたよ。」
「あの方が、自殺されたとはとても信じられないんです。」
「そうですか・・・どうもお話、ありがとうございます。」

これで確認が取れた・・・しかし、かなり長く話をした後、【ジロウ】と【カンダ】弁護士は共に出かけた?すると、死亡推定時刻には二人は一緒にいたのか?僕は、その後の【ジロウ】の足取りを追ってみることにした。
*みょうじん駅*
【みょうじん駅】に着いた僕は、とりあえずあたりの村人に話を聞いてみることにした。

「あの〜、ちょっとすいません・・・。」
「あんた、まだおったんか!あれほど言うたのに・・・。」
「ちょっと、この免許証を見ていただけますか?」
「・・・【あやしろ家】の【ジロウ】じゃな。あんた、本気でその人が自殺したと思うとるんか!?この人は自殺なんかじゃねぇ!【キク】さんに殺されたんじゃ!」
「・・・!確かに、【ジロウ】さんの死因は自殺だ、とまだ決まったわけじゃない・・・。」

そういえば、そろそろ【ジロウ】の検死結果が出てるんじゃないかな?【くまだ】先生に聞いてみよう。

*くまだ医院*
僕が【くまだ医院】にやってくると、【くまだ】先生は診察室にいた。

「【くまだ】先生!」
「おう、君か。たった今警察から連絡があったぞ。」
「・・・!で、どうだったんです?」
「やはり、ただの自殺ぢゃと。何か悩み事でもあったんぢゃろ。」
「・・・・・・。でも、【ジロウ】には直前までまったく自殺するような素振りはなかったようですよ。」
「【カンジ】殺しの容疑も晴れて、これから【あやしろ商事】を動かしていけるというのに、あまりにも不自然だと思いませんか?」
「たしかにそうぢゃが・・・。」

ありゃりゃ、【くまだ】先生は考え込んでしまったみたいだ。

「と、ところで先生、【アズサ】さんのことは何かご存知ではないですか?」
「ん?そういえば最近見かけんな。喉はもういいんぢゃろか。わしの言ったとおり、タバコをやめておれば良いのじゃが。」
「う〜ん・・・それで、【くまだ】せ・・・?」
「うむむむ・・・。」

【くまだ】先生は本格的に考え込んじゃったみたいだ。もう何を聞いても無駄みたいだな・・・【あやしろ家】に戻るか。

*居間*
【あやしろ家】の居間・・・あれ?【アカネ】さんがいなくなってる。【ぜんぞう】さんが机の上を整頓しているな・・・。

「【ぜんぞう】さん、【アカネ】さんはどうなさったんですか?」
「ああ、お帰りなさいませ。茂木様。色々な事が続いたせいか、【アカネ】は暇を欲しいと言って、実家へ帰ってしまいました。」
「そうだったんですか・・・。時に、【アズサ】さんは?」
「それが・・・出ていかれたっきりお帰りにならないのです。当分こちらに逗留なされる、とおっしゃっておいででしたのに・・・。ところで茂木様。」
「?何です?【ぜんぞう】さん。」
「【かずと】様は、確かに【キク】様の子供ではありませんが、法律的には【あやしろ家】の人間と認められます。【かずと】様も、遺産相続には関係があるのではありませんか?」
「・・・・・・!?」
「茂木様・・・。今日はそろそろ休ませて頂けないでしょうか。少し・・・疲れました。」
「あ、はい。すみません。」

そうだな、僕も色々無駄に動き回ったせいで、疲れちゃったよ。そろそろ探偵事務所に戻って考えをまとめよう。

*うつぎ探偵事務所*
探偵事務所に戻った僕は、とりあえずあゆみちゃんの方の経緯を聞くことにした。

「私の調査だけど・・・結局、【アキラ】と会っていたのが一体誰だったのかはわからなかったの。」
「【アキラ】の足取りが、遺言公開の日をさかいにプッツリと途切れているのは間違いないわ。」

【ジロウ】は自殺の直前まで【カンダ】と会っていたようだ・・・。
関係者が次々と消えていく【あやしろ家】・・・そしてさらに、【カズト】がなんらかの形で事件に関わりを持っているのでは・・・。

「茂夫君、今度は私、何を調査しようかしら?」

そうだなぁ・・・あ、そうだ!

「あゆみちゃん、これを見てくれないかな?」
「・・・・・・?【ジロウ】の免許証ね。【アキラ】と会っていたのは、【ジロウ】かも知れないっていうのね!わかったわ。調べてくる。この免許証、ちょっと借りるわね。」
「頼んだよ。あゆみちゃん。」

僕は・・・明日になったらもう一度【くまだ医院】を訪ねてみよう。何を考え込んでいたのかな、【くまだ】先生・・・。