*くまだ医院*
「こんにちわ。【くまだ】先生・・・。」

あれっ!?先生がいないや・・・珍しい。どこに行ってるんだろ?僕は、薬品の整理をしている看護婦さんに聞いてみることにした。

「あの〜、すいません。」
「あら、記憶喪失の探偵さん。どう?何か思い出しました?」
「いえ、まだ・・・それはそうと、【くまだ】先生はどこへ出かけていらっしゃるんですか?」
「それがねぇ、何かずうっと考え込んでたかと思ったら、行き先も言わずに飛び出て行っちゃったんですよ。一度飛び出したら鉄砲玉ですからねぇ。あの年で・・・。」
「う〜ん、どこに行ったんだろう。【くまだ】先生・・・。」

しょうがない、先生の行き先を探しがてら、村の人たちに話を聞いてみよう。

*みょうじん駅*
【くまだ】先生の向かった先を探して、僕は【みょうじん駅】にやってきた。ん?なんだろう・・・。

「見たんじゃ!わしは【キク】さんを見てしもうた!本当だで!」
「わしもゆんべこの目で見た!ありゃ、絶対【キク】さんじゃ!」
こりゃ、おだやかじゃないな・・・とりあえず駅員さんに聞いてみよう。

「駅員さ〜ん!!」
「あっ、あなたですか。村人たちの様子が、なんだか変なんですよ!【キク】さんを見たっていう人の数が急に増えちゃってるんですけど・・・。」
「村人たちは、なんて言ってるんです?」
「不思議な事に、【キク】さんを見たっていう時間がだいたい皆同じような時間なんです。一体何を見たんでしょう?まさか、本当に・・・。うっ、怖い事を考えてしまった・・・。」
「・・・・・・。」
「そうそう、【くまだ】先生がさっき血相を変えてどこかへ行かれましたけど、また何かあったんですか?」
「本当ですか!?それで、どこへ行ったかは・・・?」
「いや、そこまではちょっと。すいません。」
「そうですか・・・。」

今度は、村人にも聞いてみようかな。

「あの、すいません。」
「【キク】さんが蘇ったのじゃ!崇りじゃ・・・あ、【あやしろ家】の崇りじゃあ!【キク】さんがやってくる!【キク】さんがやってくる!恐ろしや〜!!」
「落ち着いて・・・、まさかあの【伝説】の通りだとでも言うんですか?」
「【伝説】は本当じゃった!【キク】さんの墓はきっとからっぽじゃ!」

・・・!?そんなバカな・・・。でも、村人たちは何かを見た、これは確かなようだが・・・。【かぐら寺】の【げんしん】和尚さんに聞いてみようかな。

*かぐら寺*
久しぶりに【かぐら寺】にやって来た。この前にきた時は、話をはぐらかされちゃったからなぁ。

「【げんしん】さん。こんにちわ。」
「えっ!お、おう。あんたか。久しぶりじゃのう。」

?何だかボッとしてたみたいだな。どうしたんだろ?

「・・・蘇った【キク】さんの姿を見た、と言って村は大騒ぎですが・・・。」
「な、何をバカを言っとるのじゃ!そんなバカなことを言っとらんで、おぬしもそろそろ帰ったらどうじゃ・・・。」

まだ来たばっかりだっていうのに・・・。

「今度は、【あやしろジロウ】という人が自殺してしまったんです。」
「・・・・・・!!す、すまんが今日はもう帰ってくれるか!?」

確か、前に会ったときも【げんしん】さんの様子がおかしかったよな・・・。ここはちょっと大胆な手に出てみるかな?僕は【キク】さんの墓に歩みよった。

「こ、こら!何をする!?墓を暴くなどというバチあたりなことは、絶対にならんぞ!」

その声に耳を貸さず、僕は墓を調べ続けた。すると・・・。

「よさんか!調べたってもう、血の跡などついて・・・!!」

血の跡、だって!?僕が驚いて振り返ると、【げんしん】さんは“しまった!”という顔をして口元を押さえていた。

「【げんしん】さん。それは一体何の話です!?」
「実は・・・この間、墓石を調べてみたんじゃが・・・墓石の上の方が、どうも動かされておったようなんじゃ。しかも、そこには血のようなものがついておった・・・!!」
「ちょうど、【カンジ】さんとやらが殺される少し前のことじゃったな・・・。これ以上騒ぎになっても困る、と思って黙っておったんじゃが・・・。」
「も、もちろんわしは【キク】さんが蘇ったなどとは思っとらんぞ!」

僕は【げんしん】さんの顔を見つめた・・・。

「まだ、何か隠していませんか!?」
「・・・・・・実は、こんなものが落ちておったんじゃ。」

それは古びた手鏡であった。手鏡の裏には奇妙な絵が描かれていた。
中央に卍の印が、そして向かって右にウサギ、左にトリ、上にネズミ、下にはウマの絵がそれぞれ描かれている。

「何のことだろう・・・これ?」
「さあのう・・・動物はそれぞれ方角をあらわしておる様じゃが・・・?」
「【げんしん】さん、これはいったい・・・?」
「ここから【うなかみの崖】に通じている坂の途中に落ちとったんじゃ。よく見てみい。」
「おや、【あやしろ家】の家紋がある。」
「そうなんじゃ。こんなものが落ちていたと村人たちに知れたら、一体何を言い出すことやら・・・。」
「昨日も、墓を暴いてやろう!などと言う村人を叱りつけてやったところなんじゃ。」
「これ、預からせていただいてもよろしいですか?」
「構わんとも。たしかあんたは探偵じゃったな。何かの手がかりになればよいが・・・。妙な隠し立てをしてすまんかったの。」
「いえいえ、村人たちの反応を考えると、当然かもしれません。」

とりあえず【あやしろ家】に戻って、【ぜんぞう】さんに聞いてみよう。
*あやしろ家*
【あやしろ家】では、いつもの通り【ぜんぞう】さんが僕を出迎えてくれた。

「おかえりなさいませ。茂木様。なにかわかりましたか?」

ところが、僕が手に持った手鏡を目にした途端、【ぜんぞう】さんの顔色が変わった。

「!そそ、それは!その手鏡は!!」
「これが・・・どうかしたんですか?」
「それは、キ、【キク】様が愛用されていた手鏡で、【アカネ】がた、確かに・・・【キク】様を埋葬する時・・・棺の中に入れたものです!ま、間違いありません!!」
「・・・・・・!?」
「わ、私は夕べ、ご承知の通り早く休みました。」
「・・・ウトウトとしかけたその時なんです!」
「玄関の方で物音がしまして目が覚めました。【アズサ】様かと思ってすぐに出たのですが、もう誰も・・・!」

信じられない話だが、この【ぜんぞう】の怯え方は尋常じゃない・・・。少しあたりをブラついて、考えを整理してみよう・・・。

*うなかみの崖*
とりあえず、この崖に来てしまった。これからどうしようか?そういえば、何か調べる事があったはずだが・・・?

「そうだ!【カズト】の事を詳しく調べてみようと思ってたんだ。とは言うものの・・・誰もいないや。」

【ユキコ】さんに会って、話を聞けるといいんだけど・・・。