*あやしろ家*
とりあえず僕が【あやしろ家】に戻ってくると、【ぜんぞう】さんが歩み寄ってきた。

「茂木様。ご夫人には日が暮れる前にお引取り願った方が・・・。」

あ、そうか。じゃあ【カツコ】さんが帰る前にもう少し話を聞いておこうかな・・・?と、そういえば・・・。

「あっ!今何時ですか?【ぜんぞう】さん!」
「そろそろ5時になる頃ですな。」

大変だ!そろそろ【ユキコ】さんが【うなかみの崖】にやって来るころだ!急がなきゃ!

「すいません、僕、ちょっと【うなかみの崖】に行ってきます!」
「あっ!茂木様・・・。」

*うなかみの崖*
【へいきち】老人の言ったとおり、【うなかみの崖】に着くと、【ユキコ】さんが一人海を見つめていた・・・。

「あら、あなたは・・・。」
「実は、【カズト】さんの事で知っている事があれば話していただきたいんですが・・・。」
「そうね・・・。この間言ったわね?【カズト】が法律の勉強をするために行ってしまった、ってこと。」
「ええ。」
「そのきっかけとなったのは、ある人からもらった1通の手紙だったらしいわ。詳しく話してくれなかったけど・・・。」
「その手紙を読んだ彼は、強く法律の矛盾を感じた、って言っていたわ・・・。そしてお母さまが亡くなられると、彼はすぐに町を出て行ったの。」
「なるほど・・・。他には特にありませんか?」
「そういえば、【カズト】は【あやしろ家】のことをあまり話したがらなかったわ。」
「私、そろそろ行かなくっちゃ。今日も彼には会えなかったけど・・・。」
「・・・・・・。」

【ユキコ】さんは行ってしまった・・・。後は【やつか町】へ行って、【ユリ】さんのことを調べるだけだな・・・。

*やつか町*
ここが【やつか町】か・・・。【あやしろユリ】は家を出たあとこの町に住んでいたのか。とりあえず僕は、近くにいた人に話を聞いてみる事にした。

「すいません、ちょっとお聞きしたいことが・・・。」
「すまない、今急いでいるんだ。それに僕はこの土地の者じゃないんだ。失礼。」

なんだ・・・そうだったのか。じゃ、別の人に聞いてみよう。

「あの、すいません・・・。」
「はい?なにか?」
「実は、この町に昔住んでいた人のことで・・・。」
「ごめんなさい。引っ越して来て日が浅いもので・・・。でも、近所の駄菓子屋のおばあちゃんならこの町の大抵の事をしっているはずですよ。呼んできてあげましょうか?」
「すいません!是非お願いします!」

やがてそこに呼ばれてきたのは、いかにも、といった感じのおばあさんだった。

「何か用ですかいの。」
「【あやしろユリ】という人をご存知ないでしょうか?」
「【あやしろユリ】?【あやしろ】ねぇ・・・。なんか聞いたことあるような。この年になると忘れっぽくなっていけませんなぁ。それに、この町もずいぶん様子が変わりましてな。昔あった家も人もずいぶん少のうなっとりますからなぁ。」
「すみません、この写真を見てもらえますか?」

僕は、【ユリ】さんの写真を見せてみる事にした。

「見たことあるような・・・。最近物忘れがひどうなりましてなぁ・・・。それにしても、最近よう人が訪ねてこられますわ。皆さん、同じようなことを聞いてゆかれますなぁ。」
「なんですって?それ、どんな人でした?」
「へぇ、へぇ。今年で80になります・・・。はい、はい。」
「駄目だ、こりゃ。」

しょうがない、一度探偵事務所に戻って整理してみようか。

*うつぎ探偵事務所*
「おかえりなさい。茂夫くん。なにかわかったの?」
「それがなかなか・・・。」
「そうなの・・・。私の方の調査なんだけど、【アキラ】と会っていたのは【ジロウ】じゃなかったわ。でも、40歳前で紳士風の男性だった、ってことは間違いないみたいよ。」
「それからもう一つ・・・。」
「今、【あやしろ商事】の運営における中心人物は、相談役の【カンダ】みたいよ。」
「・・・・・・!」

【カズト】は【あやしろ家】を恨んでいたのか?
そして、【カズト】に法律家の道を歩ませるきっかけとなった手紙とは・・・?

「茂夫くん、免許証、返しておくね。」
「あ、ありがとう。あゆみちゃん。」

とりあえず、今日は休もう・・・。明日もまた調査を続けなきゃ・・・。