*どぞうの迷路*
・・・真っ暗で何も見えない・・・そうだ!確か【ぜんぞう】さんに借りた懐中電灯がこの辺に・・・。

よし!これでよく見えるぞ。案外広いみたいだ・・・。僕は、慎重に細かく区切られた各部屋を回っていった・・・。

おや?この壁には絵が描いてある。これは・・・ニワトリ?

その後各部屋を見て回った僕は結局・・・ウマ・ネズミ・ウサギ・ニワトリの4つの壁画を発見した。

ウマ・ネズミ・ウサギ・ニワトリ・午・子・卯・酉・・・!まてよ!?僕は、以前タバコ入れの奥から出てきた紙切れを取り出した。

『うますすみ、うさぎすすみて、とりひらく、まんじのなかの、しるしのぞまん。』

これは・・・ここで後継者のしるしを発見する為の・・・?

僕は、ウマの絵が描かれた壁面を押してみた・・・やはり、壁全体が大きな仕掛けになっているようだ。これが、『うますすみ』だとすれば・・・!

その後僕はウサギの壁を押し、最後にニワトリの壁画の部屋までやってきた。すると・・・。

「あっ!?壁が開いた・・・!よし、入ってみよう!」

*しるしの部屋*
「壁の奥に部屋があったなんて。でも、一体何のために・・・?」

部屋の隅には神棚が奉られている、そしてその上にあるのは・・・!!その上には、黄金に輝く印があった。そしてそのすぐそばには、丁寧に折りたたまれた紙が添えられている。

「これが後継者のしるし・・・!?」

僕は、黄金の印とそばに添えられていた紙を手にした・・・。

『この印を持つ者を【あやしろ家】の正当なる後継者と認める。』

・・・!やっぱりこれが・・・!

「・・・僕がうわ言で言っていた【おまもり】とは、あの人形の中の御守りの事・・・道理で誰も知らないはずだ・・・待てよ!?」

僕は、今日まであの人形の中に御守りがあることすら知らなかった。そんな僕が、なんでうわ言で【おまもり】何て言うんだ?

・・・その時、僕の背後から1人の男が声をかけてきた!

「やあ、茂夫くん。記憶は戻ったかい?ふっふっふ・・・。」

振り向くと、そこには見慣れた男が立っていた・・・!!その顔には生々しい傷痕が・・・!

「少し私に気がつくのが遅かったようだね。私が君が探していた弁護士の【かんだ】さ。もっとも、君には【あまち】と名乗った方がわかりやすいかね?ふっふっふ・・・。」

【あまち】さん・・・いや、【かんだ】弁護士はその顔に皮肉な笑みを浮かべ僕を見つめていた・・・。

「あ、あなたは・・・!」

「名探偵の茂夫くん、どうやら君は私の計画の全てを知ってしまったようだね。」
「『遺言書を作る。』そう言いだしたのが【キク】にとっての運の尽きさ。私はその日を待っていたんだからね!」
「おまけにその時【キク】は、殺害方法のヒントまで教えてくれたよ。『一服つけなきゃ眠れない。』ってな・・・。」

「【カンジ】も【ジロウ】も、仕事の事で話がある、と言えばどこへでもすぐ来てくれたよ。青酸タバコ・・・【あやしろ家】の奴らには似合いの方法さ・・・。」
「ヤクザから金を借りて困っていた【アキラ】は、借金の肩代わりを申し出ると喜んで【キク】のタバコいれに青酸タバコを忍ばせてくれたよ。」
「おまけに、骨董品泥棒なんてケチな真似をしてくれたお陰で、【カンジ】殺しの罪まで引っかぶってくれた・・・本当に愚かな奴さ。」
「その上奴は、『【キク】の死体を始末しないとまずい。』と言い出した。2人で【キク】を海に捨て、墓を元通りにしにいった時、後ろから墓石でガツン!奴の指紋だらけの土蔵の鍵を頂いた・・・。今ごろは墓の下で、社長になった夢でも見ているだろうさ。クックック・・・。」
「まぁそのお陰で【ジロウ】の時は苦労したんだがな。一人で首吊りに見せかけるにはホネを折ったよ。」

顔を歪め、いかにも嬉しそうに笑う【かんだ】・・・そこにはもはや、僕を助けてくれた【あまち】さんの面影はなかった・・・。

「じ、じゃあ・・・何故【アズサ】さんまで殺したんだ!?」
「・・・私と【アキラ】が会っているのを見てしまった彼女は、何かに感づいたようだった。そして私を強請ろうとしたのさ。まったくもって愚かな連中だよ。【あやしろ家】の一族は・・・。」
「おまけに禁煙中とはね!お陰でこんな傷までつけられてしまった・・・あのバカが!」

「さて、茂夫くん。お次は君の話だ。」

「【ユリ】を調べている内、すぐに君の事はわかったよ。私の罠にはまってお前はすぐこの屋敷にやって来た。ご苦労なことさ。私はしばらく様子を見ようと思っていたんだが、【アキラ】の奴がお前を殺そうと、崖へ呼び出しているじゃないか!。」
「それを知った私がすぐに駆けつけてみると、お前は海に浮かんでいた!」
「あわててお前を海から引き上げてみると、【おまもり】なんて持っていやしない。そのかわり、火傷の跡はしっかり確かめさせてもらったがね・・・。」
「その最中に息を吹きかえしたお前は、幸か不幸か記憶を失っていた。」
「だから私はこんな一芝居を打たなきゃならなくなったのさ・・・そうか、おまえ自身も【おまもり】の事を知らなかったのか。」

そこまで話すと【かんだ】は、ポケットから何かを取り出した。あれは・・・!!

「さて、おしゃべりはここまでだ。ここらで消えてもらおうか・・・くっくっく・・・俺は、俺は【あやしろ】に勝ったんだ!!」

【かんだ】の手にナイフが光った!!

「くたばれっ!!」
「うわっ!」

不意を突かれた僕は、手に持った懐中電灯を落としてしまった・・・辺りが暗闇に包まれる・・・!

「あきらめるんだな!」

「うわあぁぁぁぁっ!」

『ビシッ!バキッ!ガスッ!』

・・・?誰だ!?誰かが【かんだ】と格闘をしている!?僕はあわてて懐中電灯を拾った!

「く、くそぉ・・・!!」

その男は【かんだ】の手を捻りあげ、ナイフをその手から叩き落した。
・・・やがて【かんだ】は、【ぜんぞう】の通報で駆けつけた警官に取り押さえられた。

「あっあなたは・・・!!」

*うなかみの崖*
僕は、危うい所を救ってくれたその男の人・・・【あやしろカズト】と二人、【うなかみの崖】にやって来ていた・・・。

「君が茂夫君だったんだね、【やつか町】で出会った時に気がついていれば・・・。」
「【カズト】さん・・・ですよね?」
「そうだ。君をずいぶんと探したよ。・・・【モトコ】さんから姉さんの話を聞いたようだね・・・君に見せたいものがあるんだ。」

それは、母から【カズト】さんに宛てた手紙だった。父【タカオ】の不幸が綴られた・・・そして、最後にはこう書かれていた。

『だけど私には茂夫がいるわ。二人で強く生きてゆきます。だけど、もし・・・もし私に何かがあったら・・・その時はお願い【カズト】。あの子の力に・・・なってやってちょうだい。』

「すぐにでも姉さんの所に駆けつけたかった・・・でも、同じ頃僕の母も病に倒れた。・・・僕が、【やつか町】を訪れることができたのは5年も後の話なんだ。」
「その時初めて、あの火事の話を【サワコ】さんから聞いた・・・法律家を目指す気持ちが変わらないものになったのはその時だったよ。」
「君を、捨て子として育てるという話を聞いた僕は、【サワコ】さんに君を任せた。」
「そして今年やっと念願の司法試験に受かった僕は、大きくなった君に会ってみようと【やつか町】へと行ったんだ。」
「そこで【モトコ】さんから話を聞き、探しているうちに、僕は君が探偵として【あやしろ家】の調査に向かっていることを知った・・・不審に思った僕は【あやしろ家】にやってきたのさ。」
「そして【どぞう】の前で倒れている【ぜんぞう】さんを見つけ、あわてて中に入ったんだ。本当に危ないところだったね。」
「そうだったんですか・・・!あっ・・・!」

なんと、僕の着ていたシャツの左胸には【かんだ】のナイフによる穴が空いていた。そして、そのナイフから僕を救ってくれたのは・・・鍵の入った御守り袋だった!!

「君は今日から【あやしろ家】の後継者だ。立派に屋敷を継ぐことが姉さんの為でもある・・・!お、おい君!これは・・・!!」

僕はあの部屋で手に入れた黄金の印を【カズト】さんに手渡すとこう言った。

「【カズト】さん。僕は、【あやしろ】茂夫じゃない・・・【とおやまタカオ】と、【とおやまユリ】の息子の茂夫です・・・。それに僕は、僕にとってもっと大切なものを手に入れました。」

「失いかけていた過去と・・・この、母さんの写真です。」

スタッフ
原作    さかもと よしお
脚本    おおさわ とおる
       あさま なぎひろ
美術    てつじ
音楽監督 たなか けんじ
音楽    ひろみ
技術監督 ひとし
技術    けいじ
       ゆずる
進行    さとし
協力    かのう まこと
       さかした まさふみ
監督    おかだ さとる
製作    よこい ぐんぺい

企画・製作 1988 任天堂

*『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』倶楽部 ご愛読感謝いたします。*