* 日刊ポートピア通信 *

*第一章・やまかわこうぞう殺人事件*

*地下迷路*

なんてこった!屋敷の地下が広大な迷路になっていたとは・・・こうぞうは一体、一人でどんな秘密を抱えこんでいたんだ?
各所に記された謎のラクガキ、退路をさえぎる落とし戸・・・こうぞうによって設置された数々の仕掛けをかいくぐり、私とヤスはついに迷路の最奥部に足を踏み入れた・・・。

「これは・・・金庫ですね。ボス。書斎で手に入れたこの鍵で開くようです。」
「ん!これは借用書だな。やまかわはわざわざこんな所に借用書を隠していたのか。よほど他人が信用できなかったとみえる。」
「目立つ所では、【ひらた】という男が300万の借金をしています。あと、やまかわが【かわむら】という人に何回かに分けて金を渡していたことを記したメモがあります。」
「【ひらた】に【かわむら】か、何かのてがかりにはなりそうだ・・・。」

金庫を開け、借用書一式を入手した我々は、いったん捜査本部へと戻ることにした。

*捜査本部*

「まずはこのマッチだな・・・『ぱる 117−3149』か。」
電話に出たのは、私の予想していた通り、スナックのマスターだった。

「はい、スナック【ぱる】ですが・・・店の場所?店は新開地の真ん中です。」
「これで店の場所がわかりましたね。後で聞き込みに行きましょう。」
「よし、では参考人に話を聞くとするか。まずは・・・こみや、だな。」

*尋問*

【こみや】はこうぞうの屋敷の守衛をしていた男だ。死体の発見者でもあるそうだが・・・。
やがて取調室にやってきたのは、50代後半の気の弱そうな男性だった。

「17日、午後9時ごろどこにいましたか?」
「わしじゃない!わしはやっていない!」
「ちょっとこうぞうのことを聞きたいのですが・・・。」
「わしじゃない!わしはやっていない!」

やれやれ、少々取り乱しているようだ・・・仕方がない。

「おい、ヤス。」
「わかりました。さあ、いうんだ!ボカ!ガス!」
「ヒー!言うから止めてくれ!事件のあった夜、実はこっそり抜け出して飲みに行ってたんじゃ。しかも玄関の鍵をかけ忘れて・・・。わしは、わしは・・・。
それだけじゃ!わしはやっていねぇ!ホンマじゃ、信じてくれ!」
ふむ・・・この言葉に嘘はなさそうだ。しかし、玄関の鍵が開いていたとはな・・・。

「よし、次はとしゆきだ。呼んでくれ。」

としゆきは・・・年の頃は20代後半、パーマをあて、サングラスをかけた青年だ。その仕草からはあまり良い印象は受けない・・・。

「17日、午後9時ごろどこにいましたか?」
「その時間は部屋にいたな。」
「ちょっとこうぞうのことを聞きたいのですが・・・。」
「ま、俺にとっちゃいい叔父貴だったな。いつも小遣いくれてよ。」

そうだ、屋敷の前で拾った指輪があったな。

「おい、ヤス。」
「ちょっとこれを見てくれますか?」
「お、これは俺が【ゆきこ】にあげた物じゃねぇか。どうしてこれを?」
ゆきこ・・・?新しい参考人が現れたようだ。話を聞いてみるか。

その時ヤスが、私にそっと耳打ちをした。何か重要な情報でも手に入ったというのか・・・?