*第一章・やまかわこうぞう殺人事件*

*尋問*

「待ってください、ボス!なんと、【ひらた】が娘のゆきこに京都に行きたいと言っていたそうです。」

ひらた・・・?確かこうぞうに300万円の借金をし、現在行方をくらませている人物だったな。
ゆきこがそのひらたの娘だったとは。そしてゆきこはとしゆきとある程度の関係があった・・・。

やがてやってきた【ゆきこ】はセーラー服を着た、いわゆる今時の女子高生だった。
「17日、午後9時ごろどこにいましたか?」
「ねえ、どうしてそんな事私に聞くわけ〜?家にいたけどさ。」
「ちょっとこうぞうのことを聞きたいのですが・・・。」
「親父が金を借りてた人よ。それ以上のことは知んないよ。」
「ちょっとひらたさん・・・あなたのお父さんのことを聞きたいのですが・・・。」
「京都に行くって・・・それ以上のことは知んないよ。」

ふう、のれんに腕押しだな・・・。なら、あの指輪はどうだ?

「ちょっとこれを見てくれますか?」
「な、な〜に、それ?アタシのじゃないよ。」
「でも、としゆきが君にあげた物、と言ってるけど・・・。
「嘘よ〜。アタシがあんな男からもらうわけないじゃん。もしもらってもすぐに捨てちゃうよぉ。」

ふむ、今はこの程度か・・・。

*ふみえ*

「次は【ふみえ】だ。これで参考人は・・・失踪しているひらたをのぞけば、全員に話を聞けたことになるな。」
「はい、ボス。」

ふみえはこうぞうの会社の秘書、こみやと一緒に死体を発見した人物だ。

「17日、午後9時ごろどこにいましたか?」
「社長とは、仕事上の付き合いのみですので、仕事が終わった後は英会話の学校に行っていました。」
「ちょっとこうぞうのことを聞きたいのですが・・・。」
「すみません、お役に立てなくて・・・私、本当に何も知らないんです。」

本当かどうかはわからないが、確かに今の時点で聞けることは他にないようだな、念のため写真をとってから、お帰りいただくか・・・。

「パチリ!ふみえの写真を撮りました。持っておきます。」

*としゆきの部屋*

その後我々は、港の近くにあるとしゆきの部屋へとやってきた。もちろん本人がいない間に、だ。

「捜査令状はとってないんだ。丁寧に調べておけよ。ばれるとやっかいだからな。」
「はい、ボス。」

やがて発見できたものは、【『こめいちご』と書かれたメモ】だった。

「こめといちご・・・あるいはこめがいちごう・・・とか???何のことでしょうか?」
「こいつだな。」

私は、机の上の電話機がダイヤル式ではなく、質素なこの部屋には似つかわしくないプッシュホン式であったことからそれに気がついた。
そう、短縮ダイアルだ。

「なるほど!こめ、とは米・・・つまりアスタリスク(*)のことだったんですね!早速かけてみます!」

その電話にでたのは・・・。

「もしもし、としゆきか?すぐに港に来てくれ!例の物を渡すからな。」
「あっ、もしもし。としゆきはいけなくなったんだ。だから俺たちが頼まれた。」
「わかった、早く来いよ!」

そういって電話は切れた。単純な奴だ・・・それにしてもでかしたぞ、ヤス。

「とっさにあんなことを言ってしまいましたが、これは一体・・・。それはともかく、港に向かいましょう。」