*第三章・かわむら殺人事件*

*捜査本部*

我々の前に姿をみせたおこいは30代半ばの女性。評判になるだけあって、なかなか整った顔立ちをした女性だ。

「突然で申し訳ありませんが、17日の午後9時ごろ、どこにいらっしゃいましたか?」
「その時間やったら舞台の上ちゃうかしら。」
「では、こうぞうについては・・・?」
「刑事さん、えぇ男やから教えてあげるわ。こうぞうって人ね、昔かわむらと詐欺仲間だったんやて。で、それをネタに強請られてたんとちゃう?」
「こうぞうとかわむらが昔の詐欺仲間?では、かわむらは・・・。」
「そういうたら最近見てないなぁ。どこにおるんやろ・・・。
これ以上は今の時点では無理か?・・・とりあえず我々は、今わかった事実をもとに聞き込みを行う事にしたのだが。

「結局何もつかめませんでしたね、ボス・・・。」
「ああ、だがあきらめるのはまだ早いさ。」
実のない聞き込みを終え、捜査本部に戻った我々を待っていたのは、おこいからのタレコミ電話だった。

「今、おこいからタレコミがありました。なんと、かわむらはスミレ荘にいるそうです!。」
「スミレ荘だと?よし、さっそく向かうぞ、ヤス!」
「はい、ボス!」
だが、スミレ荘に到着した我々を待っていたのは・・・。

*スミレ荘*

かわむらがいる、とタレコミにあったスミレ荘の部屋の扉は大きく開け放たれ、その向こうには後頭部から血を流し、既に息をひきとっているかわむらの姿があった・・・。

「なんと、かわむらが死んでいます!もう逃げられないと観念して自殺を・・・。あっけないラストですが、事件は解決しました。どうか、捜査をやめろ、と命令してください。ボス。」
「いや、そう考えるのはまだ早い・・・かわむらは何度も犯罪を重ねては、娑婆と刑務所を行き来してきた筋金入りだ。そんな男が自殺と言う形で事件の幕を下ろすかな?」
「と、すると・・・?」
「まずは現場の保存、それがすんだら、わかる範囲で調べておこう。」
「はい、ボス。・・・この死体はまだ暖かいですね、死後それほどたっていないと思われます。そして死因はナイフで首を一突き!こうぞうの時と同じ死に方ですね。また、部屋が荒らされた形跡はありません。」
「・・・おこいの話を聞いてみる必要がありそうだ。捜査本部へ戻るぞ、ヤス。」
「はい、ボス!」

我々は、その後到着した鑑識に死体の処理をまかせ、捜査本部へと取って返した。
次々と死んでいく容疑者・・・まだ我々のつかんでいない関係者がいるというのか?

*捜査本部*

捜査本部にあらわれたおこいは特に動揺した様子もなく我々の尋問に答えていった。それほど親密な仲ではなかった、ということか。

「かわむらのことを聞かせてもらえますか?」
「そういや、あの人言うとったなぁ。【すもと】の【さわきさんぎょう】の詐欺が、こうぞうとやった中で一番大きな仕事やった、って。そういうたらこうぞうの秘書の人、確か【さわきふみえ】とか・・・。あ、うちいらんこと言ってもうた。」

あのふみえが、かわむらとこうぞうの詐欺の被害者?ならばなぜ秘書としてこうぞうの会社に勤めていたのか・・・。

「うちは舞台があるよって、このへんで。ほなさいなら。」

鍵を握るのは秘書のふみえか・・・私はすぐにヤスに命じて、彼女を呼んでこさせようとした。しかし時すでに遅し・・・。
「ボス!大変です!ふみえが姿を消したそうです!」
「遅かったか・・・。」
「どうします、ボス?」
「まずはすもとを調べてみる事が必要だな。すもとへ行くぞ、ヤス。」
「・・・はい。」