コヤニスカッティ
コヤニスカッティ (1983/米)
Koyaanisqatsi

製作総指揮 フランシス・F・コッポラ
製作 ゴッドフリー・レジオ
監督 ゴッドフリー・レジオ
脚本 ゴッドフリー・レジオ / ロン・フリック / マイケル・ホーニグ / アルトン・ウォルポール
撮影 ロン・フリック
音楽 フィリップ・グラス / マイケル・ホーニグ
「前衛」とか「環境ビデオ」とか言ってしまえばそれまでだがこれはあきらかに「映画」である。
にもかかわらず似たものがひとつもない。
ストーリーらしきものはなく、セリフもなく、登場人物もなく、あるのは地上のあらゆる風景を切り取ってつなげた美しい映像と音楽のみ。
複雑なカメラワークがあるわけでもなく、画面はフィックス、パン、空撮、広角、スローモーション、望遠等々の基本なショットをただひたすらに淡々と積み重ねていく。
それでいて映画が始まった瞬間から、息を呑むような映像美に圧倒され、眼は釘付けになる。
フィリップ・グラスの同じ旋律を繰り返すドラッグ音楽にのせて、画面は荘厳な大自然の風景から人類文明の世界へ。
トランスを誘う編集リズムに身を任せながら、映画を通してやがて見えてくるテーマは「自然と文明の対立、そして破壊」
だがそのテーマもやがては映像の美の中に再び還元されていく。
87分の至福。
画面はただ風景をうつしているのみなのにアイデアを尽くした撮影で見たこともないビジュアルを創り出す。
ありふれた光景を、まるで別世界のように描き出す手法は日本のCMにパクられまくったがいずれもこの作品の足元にも及ばない。
「映像」が心の奥底に訴えかけるメッセージ、そのパワー。

「コヤニスカッティ」とはアメリカインディアンのホピ族の言葉で、「平衡を失った世界(life out of balance)」という意味。

生きてるうちに一度は見なければならない作品だが、ビデオやLDは廃盤。
マニアっぽいレンタル店で捜せ!
2002 04/22
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