メン・イン・ブラック2
メン・イン・ブラック2 (2002/米)
Men in Black II

製作総指揮 スティーブン・スピルバーグ
製作 ローリー・マクドナルド / ウォルター・F・パークス / バリー・ソネンフェルド
監督 バリー・ソネンフェルド
脚本 バリー・ファナロ / ロバート・ゴードン
原作 ローウェル・J・カニンガム
原案 ロバート・ゴードン
撮影 グレッグ・ガーディナー
音楽 ダニー・エルフマン
衣装 メアリー・E・ヴォグト
出演 トミー・リー・ジョーンズ / ウィル・スミス / ララ・フリン・ボイル / リップ・トーン
宇宙人は密かに地球に飛来している!
政府は既に宇宙人と接触し、その事実を国民に隠している!
UFOと宇宙人の秘密に関与する事件は誰にも知られず揉み消されている!
政府から派遣された謎の「黒服の男(メン・イン・ブラック)」によって!


アメリカの都市伝説とも言えるこの「黒服の男」の話を元にしたグラフィックノベル(簡単に言うとマンガ)ローウェル・J・カニンガムの「THE MEN IN BLACK」
このマンガを元に映画化したのが前作「Men in Black(以下MIB)」
地球には既に1500種の異星人が入植しており、人間に紛れて暮らしている。
これら宇宙人の秘密を人々に漏らさず管理し、また宇宙規模の事件から地球の平和を維持するのが政府の最高秘密機関MIB
映画「MIB」は「エイリアンが密かに我々の社会に混じってるって?そんなことも知らなかったの?」というオフビートなノリのコメディで、 B級SF映画のガジェットを現代風にカッコ良くリデザインしたSFコメディ大作として大々的に宣伝され、公開された。
しかし蓋を開けてみればこれがムシムシとヌトヌトのメッシー感溢れる下品ギャグ満載のバカ映画で、 悪のゴキブリ型宇宙人に扮するビンセント・ドノフリオがひとり気を吐いているのが生理的に嫌だし、 主役の二人のお笑い傾向が共にスカシ系でキャラがかぶっていたり、 なによりもバリー・ソネンフィルドのSF感覚ゼロな演出が最悪で笑えないツマンナイ映画だった。
(トミー・リーは乗り気じゃなかったしね)

ちょっとストーリーを紹介すると、資質はあるが運のない警官エドワード(ウィル・スミス)がエイリアン絡みの事件に遭遇したことをきっかけに、 MIBの古株で腕利きのエージェント"K"(トミー・リー・ジョーンズ)にスカウトされ、一人前のMIBエージェント"J"として地球の危機を救うという話。
(この"K" "J"という名前、言葉で喋っているぶんには「ケイ」「ジェイ」と普通の名前に聞こえるというあたりが巧いね。)
映画のラストで"K"はMIBエージェントだった記憶を消して引退し、"J"と世代交代する。

「MIBII」はその後日談になっている。
"K"無き後、MIBのやり手エージェントとして活躍する"J"が今回遭遇する事件は、宇宙一凶悪なカイロシア星人のサーリーナ(ララ・フリン・ボイル)の不法侵入。
サーリーナは、25年前に地球を訪れたザルタ星人が隠した「ザルタの光」を手に入れるため、MIB本部を襲撃する。
だが「ザルタの光」の行方は25年前の担当エージェントしか知らない。
そしてそのエージェントこそ、引退して一般人に戻った"K"なのだった!

一作目がいまいちだったのは、MIBという組織とそのエージェントの設定を紹介しなければならなかった為じゃないかと思う。
普通のSF映画だったらそのへんはむしろ見どころなのだけど、「MIB」はコメディ、しかも「MIBったらみんなミステリアスでハードなものを想像するかも知れないけど、 実際はオレ達の仕事なんて交番のオマワリと変わりないんだYo!」的なスカシ系ギャグなもんだからお笑い的には足枷にしかなんない。
スゴイ銃やらスゴイ装備を見せて「スゲェMIB、かっちょいい!」といったん思わせておいて、やってることは脱走宇宙人を連れ戻したり、ワガママ宇宙人をなだめたりと庶民レベルでした ・・・というオチなので、コメディたりえるまでの助走が長すぎ、結局どっちつかずにおわってしまった気がする。

でも今度は大丈夫!続編だから。
もうMIBの仕事がどういうものかはわかってる。(だからこそ冒頭の新米パートナーの勘違いぶりが笑える)
ギャグの基本が「お下劣」だというのももうわかってる。(ララ・フリン・ボイルの野グソもオッケー)
登場キャラの大半も前作からおなじみのヤツラだ。(パグ犬エイリアン"フランク"のことなんかすっかり忘れてたけど)
というわけで今回は前作で消化した設定を自在に使ってストーリー、ギャグを展開しているので、映画のバラエティ、テンポ、キャラクター格段に良くなっている。
パグ犬エイリアン"フランク"が"J"のパートナーになるくだりでは、"フランク"の見た目かわいいけどバカでオヤジ入ってるキャラにはけっこう笑ってしまった。
カーステレオのヒップホップにあわせてノリノリで吠えているシーンは最高!)


実は劇場映画スケールではあんまり面白くないウィル・スミスも今回は「いちおう主役だけど狂言回し」という位置づけになり、代わりにオイシイのがトミー・リー・ジョーンズ!
エージェント時代の記憶を消して田舎の郵便局長になった"K"のボケぶり!
デニューラライザーで記憶を取り戻してからのタフな辣腕ぶり!
おまけに25年前のザルタ王女ロラーナとの恋物語まで垣間見せ、イイトコ取りすぎです。
さてストーリーの方ですが、こちらは前作同様ユルユルで、本部を乗っ取ったサーリーナも、地球の命運を握る「ザルタの光」の正体もほったらかしで、 "K"が自ら残したヒントを辿ってMIBコンビの二人は宝探しゲーム状態
(本部のデニューラライザーが使えないので仕方なくジーブスの手製マシンで記憶再生したが、肝心なところの記憶は戻らないらしい。)
でもこの「ヒントを順番に追っていく」構造のシーケンスの各アイデアはなかなか面白く、 この映画がチープなB級SF映画の要素を笑いのネタにしながらも同時にリスペクトしていることも匂わせ、マニア的ツボもおさえて好印象

結局、「ザルタの光」の秘密とは?とか、サーリーナとの最後の戦いはいかに?とかのストーリーに属する部分は「MIB」シリーズではどうでもよいのであって、 「肩すかし」だとかいうのは野暮というモノ。
たとえ周りでどんなスゴイことが起こっていても慌てず騒がず、「なにいつものことだYo!」ってかんじのバスター・キートンスタイル。
悪い奴はデカイ銃で始末したらもうとっとと映画はエンドクレジット。
なんだかただ、観たときの僕の体調が良かっただけのような気もするが、なかなか面白かった「MIBII」。
トミー・リー・ジョーンズの愛娘もカメオ出演(けっこう似てるんだな)でお得。トミー・リーファン必見!
2002 08/09
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