■ Word活用への道
(1) 文書作成ツールの標準化
これまでは,法律実務家における情報収集とWordの活用の場面について述べてきたが,その前に大事なことは,Wordの基本は,あくまで「ものを書く道具」(文章作成ツール)だということである。
Wordは,今や事実上,日本語ワープロソフトの標準となっている。近年,官公庁でのWord使用も増え,法律実務家等が作成する法律文書(裁判関係文書,論文,レポートを含む。)にも,Wordが文書作成の標準的なツール(道具)になっているようだ。
(2) 操作習得の困難性
しかし,そのWordには,他のワープロソフトと比較し,便利な機能もあるが,そうでない機能もあり,他のソフトの良さを知っている者からすれば,その使い勝手の評価は大きく異なるようだ。
それでも「習うより馴れろ」で,とにかく操作ガイドブックを片手に,Word操作術の習得が求められるが,年配者になるほど難儀する。
ところが,Word2003の操作方法に慣れたところで,Word2007,2010とバージョンアップが進むと,せっかく覚えたメニューの配置も変わってしまい,先々の格闘も目に見えてくる。
使う人は,ただ日本語の文字を打ち込み文書を作成したいだけなのに・・・,日本語の文章作成のツールの変遷に翻弄され,それに合わせたソフトの技術習得と煩瑣な操作のために,その時間とエネルギーの多くを費やされてしまう。
そのWordは,もっと使いやすいものにならないものか。
(3) 法律文書の特色
法律実務家等が仕事の内容に応じて作成する文書は,多くは,図形も写真,段組,罫線も利用することなく,あれこれ文字サイズや文字色を変えて強調することもない。基本的に,文字列で構成される文章表現による思想(主張,見解等)の構成と論理力,説得力が重要となる。
あえて注意する所は,他人が読む文書であることから,A4判の一定の書式文書を使う中で,表記上読みやすさへの配慮が求められる点である。
書くべき内容を論理的,項目的に内容を整理し,簡潔に分かりやすく文章を構成していくが求められている。その項目別記載では,文頭に第1,1,(1),ア,(ア)などの符号(冒頭符号)を順番に付し,冒頭に一文字ずつの段差を付け,段落冒頭は1文字字下げするのが通常である。
判決書に限らず,当事者が裁判所に提出する書面でも,民事訴訟規則上「訴訟書類は,簡潔な文章で整然かつ明瞭に記載しなければならない」(5条)とされており,その記載は,「簡潔」,「整然」,「明瞭」であることが求められている。
こうした留意点は,何も法律実務家に限らず,文字列(文章)を基本とした文書作成に従事している人にも同様に求められるところである。
(4) 特色を踏まえたWordの活用
こうした人たちにとって,細々とした操作ガイドを読むことなく,文章を打ち込むごとに面倒な書式設定等に煩わされることがないのが理想だ。ひたすらモノを書く人間として,ただ思考に従って文章を打ち続け構成し,最後にボタンを一押しすれば,文頭には第1,1,(1),ア,(ア)などの符号が一括して付せられ,文章スタイルで整えられた文書として仕上げられれば(文書整形機能があれば)ありがたい。これが理想的な知的文具といえよう。
文書整形に限らず,Wordを基本に使用しながら,コピーした文章の漢数字を算用数字に変換したり,文章中の生年月日をなぞる(選択する)だけで現在の年齢が算出されるなど,実用的な情報処理ツールとしても使用できれるのであれば,Wordの活用も業務の効率化に資するところ大である。
そうした主体的な知的生産のツール(文具)となるよう,Wordを賢く使うことはできないものか。「人がWordの仕様に煩わされるのではなく,人がWordの使用を賢くする方法」を考えたい。
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