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金融庁・事務ガイドライン

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「第三分冊:金融会社関係(平成15年10月29日改正) 3 貸金業関係」から抜粋
(注)貸金業規制2法に関する旧大蔵省銀行局長通達を引き継ぎ,改訂をしているもの

第三分冊 金融会社関係

3 貸金業関係

3−2  業務関係

 貸金業者に対する法第3章の規定に係る監督に当たっては、次により取り扱うものとする。

−2−1 過剰貸付けの防止
 法第13条第1項の規定に係る監督に当たっては、次に掲げる事項について、適切に行われるよう促すものとする。
 
(1)  過剰貸付けの判断基準
 貸金業者が貸付けを行うに当たって、当該貸付けが資金需要者の返済能力を超えると認められるか否かは、当該資金需要者の収入、保有資産、家族構成、生活実態等及び金利など当該貸付けの条件により一概に判断することは困難であるが、窓口における簡易な審査のみによって、無担保、無保証で貸し付ける場合の目処は、当該資金需要者に対する1業者当たりの貸付けの金額について50万円、又は、当該資金需要者の年収額の10%に相当する金額とすること。
(2)  顧客に対し、必要とする以上の金額の借入れを勧誘してはならないこと。
(3)  無担保、無保証の貸付けを行うときは、借入申込書に借入希望額、既往借入額、年収額等の項目を顧客自らに記入させることにより、その借入意思の確認を行うこと。
(4)  無担保、無保証の貸付けを行うときは、信用情報機関を利用して、顧客の借入状況、既往借入額の返済状況等を調査し、その調査結果を書面に記録すること。


−2−2 貸付け又は貸付けの契約に係る債権の管理若しくは取立ての業務を行うに当り、偽りその他不正又は著しく不当な手段を用いることの禁止
 法第13条第2項の規定に該当するかどうかは、個別の事実関係に則して判断する必要があるが、例えば、貸金業者が次のような行為を行う場合は、当該規定に該当するおそれが大きいことに留意する必要がある。なお、「不正な」行為とは違法な行為、「不当な」行為とは客観的に見て、実質的に妥当性を欠く又は適当でない行為で、不正(違法)な程度にまで達していない行為をいう。
 
(1)  契約の締結に際して、次に掲げる行為を行うこと。
 
@  白紙委任状及びこれに類する書面を徴求すること。
A  白地手形及び白地小切手を徴求すること。
B  印鑑、預貯金通帳・証書、キャッシュカード、運転免許証、健康保険証、年金受給証等の債務者の社会生活上必要な証明書等を徴求すること。
C  貸付け金額に比し、過大な担保を徴求すること。
D  クレジットカードを担保等として徴求すること。
(2)  貸金業の業務を行うに当たり、顧客の信用情報(個人の返済又は支払能力に関する情報(氏名、生年月日、住所、電話番号等の個人を識別するための情報を含む。)をいう。以下同じ。)について、当該顧客の返済能力の調査以外の目的に使用すること。
(3)  人の金融機関等の口座に無断で金銭を振り込み、当該金銭の返済に加えて、当該金銭に係る利息その他の一切の金銭の支払を要求すること。なお、一切の金銭の支払とは、礼金、割引料、手数料、調査料その他何らの名義をもってするを問わない。
(4)  顧客の債務整理に際して、帳簿に記載されている内容と異なった貸付金額や貸付日などを基に残存債務の額を水増しし、和解契約を締結すること。
(5)  顧客の債務整理に際して、当該顧客から帳簿の開示を求められ、これに応じる場合において、虚偽の回答を行うこと。
(6)  貸金業者が、架空名義若しくは借名で金融機関等に口座を開設し、又は金融機関等の口座を譲り受け、債務の弁済に際して当該口座に振込みを行うよう要求すること。
(7)  取立てに当たり、債務者及び保証人以外の者に保証人となるよう強要すること。


−2−3 証明書の携帯
 個別の事情にもよるが、法第13条の2に規定する「貸金業の業務に従事する使用人その他の従業者」には、以下の者は該当しないものと考えられる。
 
 @  人事、経理、総務等の内部事務に専ら従事する者
 A  チラシの配布等の広告事務のみに専ら従事する者
 B  貸付けの契約(保証契約を含む。)の締結を行わず、単に貸付けの申込みの取次ぎのみを行っている店舗等における業務に従事する者であって、貸金業者との間に雇用関係のない者


−2−4 貸付条件の広告等
 
(1)  法第15条第2項に規定する「広告」とは、個別の内容に応じて判断する必要があるが、ある事項を随時又は継続して広く宣伝するため、一般の人に知らせることをいい、例えば、次に掲げるものをいう。
 
@  テレビコマーシャル
A  新聞紙、雑誌その他の刊行物への掲載
B  看板、立て看板、はり紙、はり札等への表示
C  広告塔、広告板、建物その他の工作物等への表示
D  チラシ、カタログ、パンフレット、リーフレット等の配布
E  インターネット上の表示
(2)  規則第12条第5項に規定する「多数の者に対して同様の内容で行う勧誘」とは、個別の内容に応じて判断する必要があるが、特定の名あて人に対して、同様の内容のものを送付することをいい、例えば、次に掲げるものをいう。
 
@  ダイレクトメールによる、チラシ、カタログ、パンフレット、リーフレット等の送付
A  電子メールの送信


−2−5 交渉の経過の記録
 
(1)  規則第16条第1項第6号に規定する「交渉の経過の記録」とは、債権の回収に関する記録、貸付けの契約(保証契約を含む。以下3−2−5において同じ。)の条件の変更(当該条件の変更に至らなかったものを除く。)に関する記録等、貸付けの契約の締結以降における貸付けの契約に基づく債権に関する交渉の経過の記録とする。
(2)  規則第16条第1項第6号に規定する「交渉の経過の記録」の記載事項は、おおむね以下の事項とする。
 
@  交渉の相手方(債務者、保証人等の別)
A  交渉日時、場所及び手法(電話、訪問、電子メール及び書面発送等の別)
B  交渉担当者(同席者等を含む。)
C  交渉内容(催告書等の書面の内容を含む。)


−2−6 取立て行為の規制
 法第21条第1項(法第24条第2項(法第24条の6において準用する場合を含む。)、法第24条の2第2項(法第24条の6において準用する場合を含む。)、法第24条の3第2項(法第24条の6において準用する場合を含む。)、法第24条の4第2項(法第24条の6において準用する場合を含む。)及び法第24条の5第2項(法第24条の6において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。以下3−2−6において同じ。)の規定に係る監督に当たっては、次に掲げる事項に留意するものとする。
 
(1)  法第21条第1項の「威迫」に該当するかどうかは、個別の事実関係に即して判断する必要があるが、例えば、貸金業を営む者又は債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者等が、債務者、保証人等に対し次のような言動を行う場合、「威迫」に該当するおそれが大きいことに留意する必要がある。
 
@  暴力的な態度をとること。
A  大声をあげたり、乱暴な言葉を使ったりすること。
B  多人数で債務者、保証人等の居宅等に押し掛けること。
(2)  法第21条第1項各号の規定は、「人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動」の例示であり、取立て行為が同項に該当するかどうかは、当該規定に例示されているもの以外のものを含め、個別の事実関係に即して判断する必要がある。当該規定に定める事例のほか、例えば、次のような事例は、「人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動」に該当するおそれが大きい。
 
@  反復継続して、電話をかけ、電報を送達し、電子メールを送信し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者、保証人等の居宅を訪問すること。
A  債務者、保証人等の居宅を訪問し、債務者、保証人等から退去を求められたにも関わらず、長時間居座ること。
B  債務者又は保証人(以下3−2−6において「債務者等」という。)以外の者に取立てへの協力を要求した際に、協力に応ずる意思のない旨の回答があったにも関わらず、更に当該債務者等以外の者に対し、取立てへの協力を要求すること。
(3)  法第21条第1項第1号、第2号及び第6号に規定する「正当な理由」とは、個別の事実関係に即して判断すべきものであるが、例えば、以下のようなものが該当する可能性が高い。
法第21条第1項第1号
 
 @  債務者等の自発的な承諾がある場合
 A  債務者等と連絡をとるための合理的方法が他にない場合
  法第21条第1項第2号
 
 @  債務者等の自発的な承諾がある場合
 A  債務者等と連絡をとるための合理的方法が他にない場合
 B  債務者等の連絡先が不明な場合に、債務者等の連絡先を確認することを目的として債務者等以外の者に電話連絡をする場合。なお、この場合においても、債務者等以外の者から電話連絡をしないよう求められたにも関わらず、更に電話連絡をすることは「人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動」に該当するおそれが大きい。
  法第21条第1項第6号
 
 @  弁護士若しくは弁護士法人又は司法書士若しくは司法書士法人(以下3−2−6において「弁護士等」という。)からの承諾がある場合
 A  弁護士等又は債務者等から弁護士等に対する委任が終了した旨の通知があった場合
(4)  法第21条第1項第4号及び第5号に規定する「みだりに要求すること」とは、個別の事実関係に即して判断すべきものであるが、例えば、以下のようなものが該当するおそれが大きい。
 法第21条第1項第4号
 債務者等から法第21条第1項第4号に規定する方法により弁済資金を調達する意思がない旨の回答があったにも関わらず、当該債務者等に対し、更に同様の方法により弁済資金を調達することを要求すること。
 法第21条第1項第5号
 債務者等以外の者から、債務の弁済に応ずる意思がない旨の回答があったにも関わらず、更に当該債務者等以外の者に対し、債務の弁済を要求すること。
(5)  法第21条第1項第4号に規定する「その他これに類する方法」とは、クレジットカードの使用により弁済することを要求すること等が該当すると考えられる。
(6)  法第21条第1項第6号に規定する「司法書士若しくは司法書士法人」に委託した場合とは、司法書士法第3条第1項第6号及び第7号に規定する業務(簡裁訴訟代理関係業務)に関する権限を同法第3条第2項に規定する司法書士に委任した場合をいう。


−2−7 取引関係の正常化
 3−2−1、3−2−2及び3−2−6のほか、貸金業者の監督に当たっては、法の趣旨を踏まえ、資金需要者等の利益の保護を図る観点から、次に掲げる事項について、貸金業者に対し、適切に行うよう促すものとする。
 
(1)  債務者、保証人その他の債務の弁済を行おうとする者から、帳簿の記載事項のうち、当該弁済に係る債務の内容について開示を求められたときに協力すること。
(2)  契約を締結するに際して、契約内容を文書又は口頭で十分説明すること。
(3)  包括契約を締結したとき及び当該包括契約に基づく貸付けを行ったときは、そのいずれの場合にも、その内容を明らかにする書面をその相手方に交付すること。また、その書面は、債務者が自己の債務の内容を正確に把握し、弁済計画の参考としうる程度の一義的、具体的、明確なものであること。
(4)  法第17条第2項の規定により、保証人となろうとする者に当該保証契約の内容を説明する書面を交付するときは、その内容を十分に理解しうるよう説明を尽くすなど、保証人となろうとする者があらかじめ保証契約の内容を十分理解した上で保証契約を締結するとの法の趣旨に沿って交付すること。
(5)  法第17条(法第24条第2項、法第24条の2第2項、法第24条の3第2項、法第24条の4第2項及び法第24条の5第2項において準用する場合を含む。)に規定する書面における規則第14条第1項第1号イに定める事項の記載については、保証の種類(連帯保証、根保証等)及びその効力(根保証の場合における極度額の説明を含む。)をわかりやすく記載するなど、保証人となろうとする者が保証契約の内容を十分理解しうる内容であること。
(6)  バス又は乗用車等の巡回により貸付けに関する業務の全部又は一部を営む行為は、安全性や顧客とのトラブルの発生等の問題があることから、行ってはならないこと。
(7)  顧客の信用情報について、不必要な事項の調査、調査事項の貸付け目的以外への使用等顧客のプライバシーの侵害となるような行為は行ってはならないこと。
(8)  貸金業以外の業務を行っている場合において、当該貸金業以外の業務に関して貸金業者の登録番号を使用してはならないこと。
(9)  貸付けの利率について、出資法に定められた上限利率に関わらず、自らの経営努力により、可能な限り引き下げ、もって資金需要者の負担の軽減を図るよう努めること。


−2−8 支払を催告するための書面の記載事項
 法第21条第2項に規定する支払を催告するための書面又はこれに代わる電磁的記録については、次によるものとする。
 
(1)  法第21条第2項第1号に規定する「住所」及び「電話番号」については、それぞれ、当該債権を管理する部門又は営業所等に係るものを記載すること。
(2)  法第21条第2項第2号に規定する「当該書面又は電磁的記録を送付する者の氏名」については、当該債権を管理する部門又は営業所等において、当該債権を管理する者の氏名を記載すること。


−2−9 日賦貸金業者の監督
 上記のほか、日賦貸金業者の監督に当たっては、日賦貸金業者は他の貸金業者に比して債権の回収にコストがかかることなどを考慮して出資法の上限金利の特例が認められているという趣旨に鑑み、また、資金需要者等の利益の保護等を図る観点から、次に掲げる事項に留意するものとする。
 
(1)  出資法附則第9項第1号において、日賦貸金業者の貸付けの相手方が主として営む業種は、物品販売業、物品製造業、サービス業に限られているが、業種の判断については、原則として、日本標準産業分類表を参考とすること。
 例えば、日賦貸金業者が、建設業者、不動産業者、サラリーマン、主婦等に貸し付けることは、出資法違反となること。
(2)  日賦貸金業者の貸付けの相手方が常時使用する従業員の数は5人以下とされているが、常時使用する従業員数の算定に当たっては、正社員に限らず、臨時雇用であっても、数ヶ月程度の期間にわたり雇用されている場合などにおいては、実態に即して常時使用する従業員に含むものであること。
(3)  出資法附則第9項第2号において、返済期間は100日以上と定められているが、当初の契約における返済期間が100日以上であったとしても、日賦貸金業者側が貸付けの相手方に債務の借換えをさせたり、正当な理由なく期限の利益を喪失させるなどして繰上弁済をさせるなどにより、事後的に返済期間が100日未満となっている場合には、出資法違反となる場合があること。
(4)  出資法附則第9項第3号において、日賦貸金業者は返済期間の100分の50以上の日数にわたり、かつ、貸付けの相手方の営業所又は住所において自ら集金するよう定められているが、取立て日数の割合の算定に当たっては、貸付けの相手方が貸金業者の営業所に自ら返済金を持参し、それを受領したとしても取立て日数には算入されず、実際に相手方に訪問した日数のみを算入するものであること。
 なお、日賦貸金業者が集金のため相手方に訪問したものの集金できなかった場合には、帳簿等に訪問日時が記載されているなど、集金のために訪問したことが客観的に明らかになっている場合に限り、取立て日数に算入するものであること。
 また、土・日・祝祭日など日賦貸金業者又は債務者の休日であっても、相手方に集金のため訪問しなかった場合には取立て日数の割合の算定には考慮されないこと。
(5)  数日分の返済金をまとめて前受けした場合、受領した金銭のうち1日当たり0.15%の割合により算出された出資法上の上限利息を超えた部分を元本に充当せず、利息として受領した場合には、受領時点において出資法違反(高金利)となること。
(6)  いわゆる日賦償還表を法第18条の受取証書としている場合(法第18条第1項各号に掲げる事項がもれなく記載されており、かつ、貸付けの相手方が当該償還表を保有している場合に限る。)においては、返済金を前受けした場合や遅延損害金等を受領した場合など当初の日賦償還表の償還スケジュールに変更があった場合には、当該日以降の償還表の記載事項の変更を行うか、又は、当該日以降返済を受けた都度、法第18条の受取証書を交付する必要があること。
 また、貸付けの相手方から、返済の都度、個別に受取証書を交付するよう請求があった場合には、個別に受取証書を交付しなければならないこと。

 






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