実務の友
訴訟物の価額の算定基準について   
(昭和31年12月12日民事甲第412号高等裁判所長官,地方裁判所長あて民事局長通知)


(参考)
第123回国会 法務委員会 第11号
平成4年5月28日(木曜日)
○民事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
国会議事録から抜粋)

○最高裁判所長官代理者(今井功君) 訴額算定の実際でございますので、担当しております私ども裁判所の方から申し上げたいと思います。  訴額の算定につきましては、今法務省の方からお話がございましたように、個々具体的な事件によって決まるということでございます。最終的には受訴裁判所が決める、こういうことでございますが、まずこれは入り口の段階といいますか、訴え提起の段階におきまして印紙を張ってこられる、それを受付の窓口で受理をして裁判体に回す、こういう手続になっておるものでございますから非常に数が多いということで、受け付け事務といたしましてはある程度の基準といいましょうか、要領のようなものを示さないと、これは全国的に非常に窓口が混乱して裁判所の事務も渋滞いたしますし、申立人の方も非常に困るというようなことがございますので、これは最高裁判所の民事局長通知というのを実は昭和三十一年に出してございます。「訴訟物の価額の算定基準について」という通知を出しておるわけでございます。
 これはあくまでも受け付け事務の参考基準ということでございまして、「訴訟物の価額に争いがあるとき等の基準となるものではない。」というふうな注記があるわけでございます。これが六法全書にも付録というようなことで載っておるわけでございます。それによりますと、今お話のございました不動産につきましては、地方税法の固定資産税評価額があるものについてはその価格とし、その他のものについては取引価格とする、こういうようなことになっておるわけでございます。
 どうしてこういうことになっておるかということでございますが、これもあくまでも受け付けの際の客観的な資料というのが必要である。いわゆる時価、取引価格ということになりますと、なかなかそれを示す客観的な資料というのがないというような場合がかなりあるわけでございます。それを探求するためにいろいろ調べるというようなことになりますと、いわば入り口論のところで非常に、場合によっては鑑定なんかもしなきゃいけないというようなことがございまして、むしろそれは本体の訴訟に入る入り口の問題でございますから、そこにそれほど力を注ぐというのはいかがなものかというようなことがございまして、そういうことでございますので、一応の基準としまして、不動産の課税価格というようなものを基準にしておるわけでございます。
 もちろん、それについて、それはおかしいじゃないかというような争いがございますと、それは初めに申しましたように、訴訟物の価額に争いがあるときの基準というものではございませんので、それにつきましてはやはり受訴裁判所の方でいろいろ調べてやっていただくということがあくまでも基本でございますけれども、とりあえずといいましょうか、受け付けの第一段階では今申しましたような価格を基準にする、こういう考えでできておるということでございます。



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