実務の友 実友・判例集
 
 最二小判昭和39.9.25民集第18巻7号1528頁(裁判所判例検索システム)
(判示事項)
一 被害者の過失の斟酌と裁判所の自由裁量と判決の理由記載の当否
二 不法行為による死亡に基づく損害賠償額から生命保険金を控除することの適否
(裁判要旨)
一 過失相殺は,裁判所の自由裁量によって被害者の過失を斟酌して損害額を定めれば足りる。
二 生命保険金は、不法行為による死亡に基づく損害賠償額から控除すべきでない。
(参照法条) 民法709条,商法673条
(判決理由抜粋)
 不法行為における過失相殺については、裁判所は、具体的な事案につき公平の観念に基づき諸般の事情を考慮し、自由なる裁量によつて被害者の過失をしんしゃや くして損害額を定めればよく、所論のごとくしんしやくすべき過失の度合につき一々その理由を記載する必要がないと解するのが相当である。
 そして、原判決は、その認定した事実のもとにおいて、被害者Dに過失がある旨を判示したうえ、過失相殺により損害額を約三分の二に減じたのであつて、原判決 には、所論のごとき違法のかどは見当らない。
 所論は独自の見解として排斥を免れない。
 同第二点について。
 生命保険契約に基づいて給付される保険金は、すでに払い込んだ保険料の対価の性質を有し、もともと不法行為の原因と関係なく支払わるべきものであるから、た またま本件事故のように不法行為により被保険者が死亡したためにその相続人たる被上告人両名に保険金の給付がされたとしても、これを不法行為による損害賠償額 から控除すべきいわれはないと解するのが相当である。
 したがつて、損害額の算定に当つてこれを控除しなかつた原判決の判断は正当であつて、これと異なる所論は、独自の見解として排斥を免れない。





2013.2-

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