#134 SCD4 True Flame
　見た目のインパクトの強さと精巧な作りの良さに、つい目を奪われてしまいがちな楽器ですが、この楽器の特徴は、楽器製作の基本がしっかり押さえられていることによる音の良さと、Benaventeの全ての楽器に共通した弾きやすさにあると言えます(SLEEK ELITEで扱わせていただいている全部の楽器の中で、Benaventeは最も弾きやすい楽器の１つです)。　
　Alder BodyとMaple Fingerboardの組み合わせは、Set-Neck構造と相まって大変に力強く安定感のある中低域を生み出し、また高音域もには、Benavente特有のきらびやかさがあり、バッキングはもちろん、ソロパフォーマンスにも大変効果的に機能してくれます。
　ペイントされた楽器には、ステージ映えはするものの、楽器としての良さはあまり期待出来ないものも多く、個人的に今まであまり興味が無かったのですが、正直そのような先入観を簡単に打ち砕いてくれる、欲しい楽器の１本です。

Benavente Wide & Wide

#373 SCD7N-QH
　低域は重厚、高域はすんだ美しいキャラクターを有し、弦振動が阻害されずにボディやネックにしっかりと伝わって行く、弾いていて気持ちの良い楽器です。　
　Neck-thru構造ながら、Bolt-onの楽器のようなBenaventeの良さの一つであるところのアグレッシブな質感のあるトーンは、7弦でありながらスラップでも指弾きでも、現場において、確実にベースの役割を果たしてくれる事を予感させるものです。
　Kingwood指板や、Purpleheart/Wenge等、いわゆるDensewoodをネック材に用いており、結果それ自体に多少重量があるようにも感じますが、楽器を抱えた際のバランスも良好なのには驚かさせられました。
　私よりいくつかアイディアを出させていただいたのですが、結果、大変に高級感があり、それでいて落ち着きと耐久性のある、優れた質感を持つフィニッシュとなっております。

Benavente Wide & Wide

#332 SCB5N-QR
　"広く知られている良さ"を持つAlderの特性を、Quilted Mapleがさらに強めているようです。　
　Chris Benaveteは、後発のメーカーの使命として新たなTonewoodの探求に余念の無い製作家ですが、その動機や余裕が生じるのは、定番の材を使用した場合に起こりうる化学反応の結果に自信があってこそであって、その確信をこのSCB5Nを通じて感じることができます。
　柔らかいタッチを用いても十分に力強さを備えた音色を持ち、歯切れの良いタイトなサウンドを基調としています。その為、スリーフィンガーを用いた速弾きはもちろん、スラップ奏法でも良いと感じられるもので、大音量であってもその気持ちの良いサウンドを十分に響かせてくれる、幅広い表現に対応し得る楽器となっています。

Benavente Wide & Wide

#334 SCD7KC-LI
　Low-B弦のイントネーションから、High-F弦の張りのある美しいサウンドまで、随所に見た目以上の素晴らしさが感じられる楽器です。　
　試行錯誤の上に生み出された、独自のサウンドホールとチェンバー構造は、以前にも増してそこに"意味"を見いだせるものとなっており、同じような構造の楽器の製作に長けている巨匠と呼べるルシアー達の作品にも通じる感覚が存在しています。Chris Benaventeは、まだ30歳台前半と、いわゆる新進気鋭の製作家ではありますが、この点においてすでに世に問える鋭い才覚を持っているようです。
　材の品質の向上や、本人の努力によってもたらされる、楽器自体の有する力量は、そこでは独特の得難いアコースティック感や、柔らかさに繋がっており、ベースらしさという、ある意味最も欠いてはならない要素を常に維持しながら、ソロ楽器としても、繊細さの要求される音楽にも十分にその力を発揮してくれるのではないかと思います。
　また、言及すべきは、Larry Robinson氏による筆舌に尽くし難い素晴らしさを持つインレイであり、もし日本人の作家が同じような作品を手がけていたら、より秩序だったものとなっていたかもしれませんが、逆にこのような圧倒的な存在感と雰囲気はなかったであろうと確信させてくれる極上の芸術がここにあります。

Benavente Wide & Wide

#335 VTX4B-TH
　堅牢でかっちりとした印象を持ちながら、同時に柔らかい質感と弦振動が内部に染みこんで行く楽器です。　
　高い木工技術を活かしたBenaventeの手によって製作された楽器は、今までに数多くの弾き手を驚かせてきましたが、対して、こうしたシンプルでベーシックなモデルに良さや特徴が集約されることも多く、このVortexはその好例であり、場面を問わない使いやすい楽器となっています。
　低域は音圧があるものの、しっかりとした音程を維持している為、ベースという楽器が担うべき役割をきちっとこなせ、それでいて現代的なきらびやかさを程よく盛り込んでいるように感じます。
　セットアップの善し悪しは、そのメーカーの技術力の高さを示す重要なポイントとなりますが、ここに織り込まれているものは、弾き手がどのような演奏方法や言語をもって音楽に取り組むかを予想したものとなっており、それゆえ、この楽器を手にするであろう演奏家を多いに助けてくれる予感がします。

Benavente Wide & Wide

#065 VTX7-FI
　大変にレンジが広いものの、的を射た音作りが可能な特性を備えており、低域中心のものから、美しい高域によるコードワークまで、弾き方や、プリアンプの使い方によって様々なサウンドキャラクタ−を得る事ができます。　
　弦高をやや高めにセットアップすれば、野太くパンチのある、ロックや力強い音を必要とするファンク等に適したグルーブするサウンドに、逆に弦高を低めにセットアップすることで、フィンガーランプを活かした、高速パッセージも難なく弾きこなせるテクニカルなベースプレイヤーにとって最適な、粒のそろった抜けの良い音色を生み出すことが出来ます。
　ライブでの演奏が多い演奏家にとっても負担になるような重量ではなく、軽くバランスの良い楽器です。また、カッタウェイも大きくとられており、どのポジションでもストレス無く弾けるように工夫されている点など、様々なプレイスタイルに対応できるように設計されていることが分かる楽器です。
　従来のベースプレイヤ−としての演奏を可能にしつつも、常に新しい音楽を模索しているプレイヤーにとって決定的な１本になり得る楽器ではないでしょうか。

Benavente Narrow & Narrow

#250 SCD5-PM with B-Type (C) Neck
　Palemoon EbonyとMacassar Ebony、そしてFlame Mapleのコントラストの美しさに目を奪われる楽器です。
　この楽器から感じる事は、Benavanteというメーカーが後発のメーカーという枠を飛び越えて完全に独自の道を歩み始めた、ということです。もちろんここに至るまでには、どれほどの努力を要したか分かりませんが、容易な道のりでなかったことは想像に難くありません。
　ボディのプライ方法や、シングルカットのボルトオン、Benavente独自のB-Type Neckの採用、他のメーカーでは使用しないものの中から優れたTone Woodを見いだすことなど、手抜きの無いひたむきな姿勢の結実がここにあると思いますし、Chris Benavente を支えてくださっている多くのお客様に対して、少しでも良い楽器を届けようとする彼の感謝の気持ちが感じられる楽器です。
　Palemoon Ebonyを使用した楽器を弾くのは初めてですが、この材の良さを引き出す事に成功していることが感じられ、またウルトラローアクションにも耐えうるだけの優れた調整と相まって(通常ローアクションにすればするほど楽器の音色に張りがなくなりますが、ネックの構造と相まってしっかりとしたベースらしいサウンドになっています)、無限の表現力を有する楽器となっています。

Benavente Wide & Wide w/ Matching Wood Covers

#064 VTX5-YI
大理石を想起させるような美しい木目が印象に残るBuckeye TopのVortexです。　
　サウンドはWenge指板の暴れる感じがありながらも、透明感のあるサウンドが中域から高域にかけて同居しています。
　大変に太いボトムを持っていますが、分厚すぎずにおいしい成分が全域に渡って感じられることは、このVortexが場所を問わずに使える楽器であることを示していると考えられます。
　プリアンプの秀逸さも耳を惹くもので、低域をブーストすると、全体的な音量が上がってしまう類いのものではなく、純粋にその役割を果たしてくれます。
　また、35"ながら、34"の感覚で弾くことができるのもBenaventeという楽器の良さだと思います。

Benavente Wide & Wide w/ Matching Wood Covers

#063 SCB7F-LR
　AlderをBody材に使用した楽器特有の甘い質感が音色の全域に渡って感じられます。
　Alderという材は、多弦の楽器にはその特性によりあまり適さない場合もあるのですが、指板にCocoboloを使用することで、その欠点をうまくカバーし、長所に変えていることが分かります。
　セットアップや楽器のバランスが絶妙で、どこか落ち着いていながらものびのびとしたサウンドはなかなか得難いものです。
　インレイや材の美しさに目を奪われますが、内面的にも充実している素晴らしいフレットレスベースです。

Benavente Wide & Wide w/ RMC Piezo

#062 SCB7-QR
　Maple独特の程よい深みが感じられる楽器です。この楽器の最大の長所は、やはりこの４弦ベースのやや重めのものと同じ程度に抑えられている重量でしょう。
　6弦や7弦等の多弦ベースはその重さゆえに敬遠される方もおられると思いますが、重量のある楽器とは異なった良さがサウンドにも感じられるこの楽器はおすすめです。
　滑らかな高域やHigh-F弦のサウンドは絶品であり、大変美しいものです。また全体的に楽曲の雰囲気を、レンジの広い音色で埋めることの出来る楽器です。
　弦の数は少なくありませんが、表現の為の道具としての使いやすさを多分に感じます。

Benavente Narrow & Narrow w/ Matching Wood Covers

#049 SCD4-BZ
　Chris Benaventeの会心の出来とも呼ぶにふさわしい楽器の１本です。まず見た目の美しさに目を奪われますが、この楽器は、そのサウンドに関して言及しなくてはならないでしょう。
　透明感ときらびやかさ、また派手さもありながら、高域や中域のみが強調された感じがなく、しっかりベースという楽器の役割を果たすことのできる、充実した低域は大変魅力的です。
　以前弾いた楽器の中には、この良質のプリアンプを介して大変バランスのとれた楽器に仕上がっており、それゆえ"ああ、このプリアンプは非常に良く出来ているのだな"と感じたのですが、もはやこのプリアンプの存在が良い意味でかすんでしまうほど大変しっかりしたファンダメンタルを備えた楽器になっています。この楽器のサウンドはオリジナリティにあふれ、従来のサウンドに例えるのは適当ではないのですが、洗練されたプレシジョンベースのサウンド、というのはある意味、的を射ているかもしれません。
　それゆえ、オールドスクールなサウンドから、モダンなものまで弾き方や、プリアンプの使い方で様々な音楽に対応できると思います。

Benavente Narrow & Narrow w/ Matching Wood Covers

#060 SCA8-A
　相当に大きい楽器ですが、まずその弾きやすさに驚かさせられる楽器です。おそらく明確なコンセプトやアプローチの方法論が確立しているプレイヤーであれば、一切のストレス無しに創造的な音楽に取り組めるでしょう。
　弦の数が増えると、とかく材質による音色の違いが出にくくなる傾向もありますが、この楽器のサウンドは、あくまでAshのものであり、それは普通の音楽にも何の躊躇無くフィットさせることができるものです。
　ボディが大きい為か、それぞれの弦が"がつん"と大きく生音で鳴ってくれ、弦振動も楽器全体を突き抜けるような感じがします。
　これだけのクオリティの楽器に関わらず、価格が大変抑えられているのもBenaventeの良心的な価格設定によるもので、敬意を払われるべき点と考えます。

Benavente Wide & Narrow

#059 SCA5-EA
　Single Cutのボディ形状を持ちながら70年代の楽器の音色や、慣れ親しんだ良さを持った楽器が作れないかと、スペックを練り込みオーダーした楽器です。
　Ebony Top & BackとAshの組み合わせを選択しましたが、重すぎずに、驚異的な安定感を誇る音色を持った楽器になっており、ここまでスラップの音が良いベースも珍しいのではないかと思えるものです。
　また、サスティーンの長さも他に類を見ないもので、放っておけば１分以上もの間、音が持続します。
　ボディスタイルやネックコンストラクションは全く異なりますが鋭く、透明感のある澄んだ"あのサウンド"が存在しています。

Benavente Narrow & Narrow w/ Matching Wood Covers

#061 SCB5-FH
　経験豊富なビルダーは、使用する材の特性を活かした楽器作りや、複数の材を組み合わせて使用する場合は、それぞれの良さを単独で使用する場合よりも、さらに良いものになるように最終的に"楽器"へと昇華させます。
　この楽器からは、なぜTopとBackに異なったWalnutを使用しているか、またCore材であるMahoganyの存在の必然性が楽器を弾くと良く伝わってくる楽器になっています。
　中低域の太さや、澄んだ高域は、WalnutとMahoganyの組み合わせが、良い形としてそのサウンドに結実しているものだと言えるでしょう。　　
　どっしりとした安定感のある低域や、スラップをするとその振動がボディやネックを突き抜ける感覚は気持ちの良いものです。

Benavente Wide & Wide w/ Matching Wood Covers