#168 BNE5-NTG
　Wood Block Inlayや、5pc. Neck、Exoticwood Topなど見た目の鮮やかさに目を奪われますが、Ash Solid bodyのBN5とは対極にあるような、確立された端正なサウンドを新しいモデルながらすでに有しているのには、予想通りとは言え、こうして実物が届くとやはり大変驚かさせられます。
　F Bass / BN Seriesの良さは"シンプルであること"、この一言につきますが、対してこのBN Elite Seriesは、そのF Bass最大の特徴に立脚した上での精緻で作り込まれたことによる良さが出ています。もちろん、楽器製作に限らず、何でも時間と手間をかければ良いものが出来るということはありませんし、学問の為の学問同様、それ自体に大きな意味はないのですが、楽器製作の基本をふまえた上での、練り込まれた明確なコンセプトの存在がこの楽器を極めて完成度の高い、強力な１本にせしめています。その為、外見の美しさを誇示する為のものではなく、BN Elite Seriesの5pc. Neckや、Bubinga Topなどがそれぞれ必然的な意味の伴ったものへと昇華させられています。
　AshにTop材を組み合わせて、良い楽器を製作することは実は簡単なことではないのですが、この楽器はF Bassが他のどのメーカーよりも、もっとも得意としていることの一つである、Ashの良さを十分に引き出していることはもちろん、Top材のBubingaの引き締まったタイトな低域と、例えるならブロックのようにも感じられる密度の濃さが同居しており、それでいて高域には優美さがあります。
　また、Birdseye MapleとBubingaのストライプからなる5pc. Neckは、グラファイトによる補強等が無くても、大変な頑強さが感じられ、これもトーンにはっきり出ています。
　今までのBN5とはキャラクターを異にする、だからこそ通常仕様のBN5の凄さも同時に理解出来る楽器です。

#161 BN5-BC
　良いRosewood指板は、独特のゴリッとした音色を持っており、それが良く鳴る柔らかめの材と組み合わさることによって、大変に気持ちの良いサウンドへと変化してくれますが、このBN5-BCにもその質感が多分にあり、また木の楽器の良さが感じられる素晴らしい楽器です。
　Maple指板のBN5に対して、沈み込む深みのあるこのトーンは、自然で柔らかな輪郭がありますが、根底にある部分はタイトでしっかりしたものです。
　アンプを通さない状態で、指板から聴こえてくるそのままの音が、アンプからも出力されるという、余計な混ざりの無い、ナチュラルなトーンがあります。
　Leo Fender氏という偉大な楽器設計者が、今、1950年代後半の原点に立ち返りつつも、もし新しいことをはじめようとしたのなら、こういう楽器を製作したのではないかとも思わせてくれます。

#080 BN5-SB
　スタンダードであることの良さ、これを実感させてくれる楽器です。
　以前は、1pc. Bodyに大きな魅力を感じることもありましたが、 現在のピックアップを採用するようになってからは(コイルが変わっており、外見には変更はありません)、オプションの一切無い、このAsh BodyにMaple指板というシンプルな組み合わせが、ストレートでオーガニックな鳴りを生み出し、それが素晴らしいものであることを強く認識させてくれます。
　ベーシックなスペックで、すでに全ての良さを兼ね備えている、プレイヤーの為の実践的な楽器です。

#078 BN5-LBS
　Spalted Quilt Mapleをトップ材に、1pc. Ashをバック材に用いた楽器です。
　Alderに近い性質を持つQuilted Mapleと、Ashのサウンドキャラクターが効果的にブレンドされていることが強く感じられ、双方の良いとこ取りのような楽器です。
　Bolt-onの楽器の良さが前面に押し出されており、高域にはAshのきらびやかさが、中域は枯れたダークな質感が、低域にはベースらしいパンチのあるトーンをそれぞれ持っています。

#079 BN5-NTE
　Macassar Ebony Top、1pc. Body、1pc. Neck、34"スケールというスペックの楽器です。
　美しいMacassar EbonyをTop材として使用し、またスケールを34"にすることでさらに大きな変化をこの楽器に与えることが狙った通り出来ました。Macassar Ebony Topにより、楽器の重量は増していますが、それに比例し、自然で活気のあるF Bassのトーンを維持しつつ、状況に左右されにくい安定感の創出にも相当貢献しているようです。
　この楽器とその他のBN5を弾き比べてみると、F Bassがなぜ34.5"というスケールにこだわっているかが如実に感じられることも大変興味深いことであり、 その上で逆に34"スケールという選択肢にも意味が見出せると感じます。
　通常のF Bassのサウンドとは異なりますが、製作者のGeorgeが言うように、Bolt-onの楽器はもちろん、エレクトリックベースという楽器全体の中でも最高の１本でしょう。
　稀代の製作家George Furlanettoが、Fenderという制約が無い中で作り得た、素晴らしい作品なのではないかと思います。

#051 BN8-PBS
　工房創設以来25年経過してはじめて製作された記念すべきF Bassの8弦モデルです。弾きやすさや、サウンドなど、とても初めて製作された8弦ベースとは思えない、すぐに現場で使用できるクオリティを持っていることが良く分かる楽器です。
　7弦ベース以上の多弦ベースも最近ではあまり珍しくなくなってきていますが、このように完成されたクオリティを誇る楽器は、やはり豊富な弦楽器製作経験を有し、いまだにより良い楽器を製作しようと日夜努力をしているF Bassだからこそでしょうし、世界的な評価を得ているGeorge Furlanettoの職人としての意地と魂が感じられる"傑作"と呼ぶに相応しい優れた楽器です。

#052 BN5-AW
　塗装に大変時間をかけているからこそ生み出すことの出来る純白のフィニッシュを持つ美しい楽器です。
　Rosewood指板特有のパンチのあるミッドレンジに加え、やや明るめのサウンドを持っており、Macassar EbonyとMaple指板のBN5の中間に位置するような楽器です。
　指弾きはもちろんピック弾きでも良質のサウンドが得られ、Ebony指板の楽器ほど立ち上がりが速い音色にならない為、かえって派手すぎないスラップのサウンドが得られることもこの楽器のキャラクターです。
　安定感のある低域に加え、まっすぐにのびる中低域や、歌う高域はバンドアンサンブルの中で大変気持ちの良いものです。

#054 BN5-BG
　Ash BodyながらAlder Bodyのような粘りのあるサウンドが特徴です。また、オープンで奥まった感じが無く、ストレスを感じずに思い切った演奏が出来そうな楽器です。
　F Bassに共通する良さの一つに、アンサンブルでは非常に混ざりが良いものの、埋もれずに"聴こえるサウンド"というものがありますが、このBN5-BGからもそれが多分に感じられます。その為、いわゆるFender Jazz Bassのスタイルを志向した楽器の多くにありがちな、ベース単体で弾いたときには分かる、そのサウンドのおいしい部分がアンサンブルでは聴こえないということが無く、比較的ベースのサウンドの細かい部分を聴かせにくいライブ等の環境であっても、いわゆるCD等で聴くことの出来るいきいきとしたサウンドを生み出すことができます。
　新しい方法論によるセットアップを導入した、独特の丸みのあるネックになっており、とても弾きやすい楽器になっています。また、タッチの差が如実にでる、ダイナミクスの付けやすい楽器でもあります。

#45 AC6R-VA
　F Bass Alain Caron Model固有の、どこまでも広がって行く、そして空気にとけ込んで行くような自然なサウンドは、エレクトリックとアコースティック楽器の双方の良さが、お互いを補完し、より高みを目指し、それが成功していることの象徴であるといえるでしょう。
　RMCのPoly Driveを搭載することでエレクトリックベースの新しい可能性を追求することの出来る楽器とも言えますが、仮にそれが無かったとしてもこのAC6R-VAが世界一の楽器の一つであると証明することは難しいことではないでしょう。 それほどまでにこの楽器の音色は美しく、また素晴らしいものです。
　いわば探求者とも言える、ストイックな演奏家が必要とする全て要素を持っているのではないか確信させてくれる、完璧以上に完璧な楽器です。

#46 AC5D-AW
　通常、Piezo Pickup + 1 Magnet Pickupの組み合わせの楽器に、Neck Pickupを追加、また34" Scaleを採用したカスタムAC Modelです。この楽器の良さや、完成されたコンセプトはすでに多くの人が認めるところですが、この楽器は、AC Modelの良さに加えて、同じF Bassの代表機種であるBNF Seriesの良さをもあわせもったような楽器になっています。　Neck Pickupを追加したことにより、AC特有の他のどの楽器も持ち得ない感覚は薄れましたが、２つのMagnet PickupやPiezo Pickupの組み合わせいかんによって、世の中に存在する殆どのフレットレスベースのサウンドを網羅できていると言っても良いような、素晴らしい楽器になっています。
　Neck Pickupを追加するオーダーも一見無茶なオーダーかと思いましたが、オーダーするこちら側が明確なコンセプトを伝え、その意向を真摯に受け止めてくれた結果がこの素晴らしい楽器として形に表れています。

#044 AC5C-AW
　F Bassの標準的な仕様である34.5" Scaleを、34"に変更して制作したカスタムAlain Caron Modelです。数値で見ますと0.5"の差はわずかに見えますが、プレイアビリティや、音色などあらゆる面で変わってくるので、優れたルシアーの多くが、そのスケールの長さをコンセプトに盛り込んでいることも十分にうなずける話です。この楽器は34"スケールにすることで、F Bass特有のオープンで自然な雰囲気よりも、34"の楽器にある密度の濃いテイストが先行しており、F BassのAlain Caron Modelというよりも素晴らしいエレクトリックベースのフレットレスの音色を持っていると言えますが、そのサウンドはやはり他のメーカーでは真似することの出来ない、唯一無二の極上の歌うものです。
　34.5"というScaleは、BN5を普段メインの楽器の１本として弾いている私にとっては、今ではある種そのわずかな大きさに起因する安心感(このおかげで、なんの躊躇も無くダイナミックな演奏が出来ます)を多分に与えてくれるものになっていると言えますが、やはりエレクトリックベースの原点とも言える34"は、おそらくこの楽器を弾くプレイヤー全てにアピールするところでもあるでしょう。