#167 BN5-TO
　Macassar Ebony指板のBN5は、通常Maple指板のものと比較して、割とおちついた雰囲気を持っていますが、この楽器は前者の落ち着いた質感はもちろんあるものの、暴れる荒々しい特性を強く持っているという珍しい楽器です。それでいて、もちろんEbony指板特有の重心の低さも兼ね備わっています。 逆にスラップ時やピック弾きでは指弾きとは異なり、大変な滑らかさを伴ったサウンドに変化するのも、私が今まで弾いて来たBN5とはやや異なる唯一無二の感覚を与えています。
　生々しくごつごつした個性的なキャラクターながら、バランスのとれた偏りの無さは、やはり操業以来25年以上たってなお、完全ハンドメイドでベースを製作しているメリットを活かし、常により良い楽器製作の為の試行錯誤を日々重ねているF Bassならではだと思います。

#201 BN4-TRF
　F Bassをすでに２年ほど送りださせていただいておりますが、特に生音の大きさに驚かさせられ、他のF Bassと比較してもゲインが大きいように感じる楽器です。
　F Bassは、ジャズベースの普遍的な魅力を変化球的に進化させているとも言えますが、このBN4は、Macassar RosewoodとAlderの組み合わせにより、中でも60年代のものをGeorge Furlanettoの卓越したセンスによって、その質感を維持しつつ、うまく現代的にアレンジした楽器と言えます。
　しっかりとした強力なトーンは、あたりのヴィンテージ楽器を彷彿とさせ、弾き方問わずに生み出されるサウンドが、生々しくアンプを通して前に出て行きます。
　Ashの楽器と比べると、レンジはやや狭めと感じますが、その分中低域に粘りと強さが感じられ、独特の"ゴリゴリ"した質感があります。
　弾き込めば良くなる、という売り文句は言い訳にしかならないと思いますが、ハンドメイドの良質な楽器は弾かれる事によって成長します。それを考えると、完成当初から、これほどの気持ちの良さのあるクオリティを誇っている楽器ですから、将来的にどのように育って行くかが相当楽しみな一本です。　

#47 BN6-AU
　 6弦には6弦の、4弦には4弦ベース固有のキャラクターが普通はありますが、F BassのBN6は6弦ながら4弦ベースのような、良く知られているベースらしい感覚と、力強い音色を持っている数少ない楽器です。また、6弦ベースになると殆どの楽器はその重量がネックになってくる場合も少なくないと思いますが、このBN6は軽量でありながら、軽いサウンドにならずに、密度の濃い芯のある音色の良さもっています。ボディバランスの良さだけでなく、汎用性の高い歌うトーンは素晴らしいものです。

#182 BN5-NTE
　Macassar Ebonyを特定の使用法でエレクトリックベースに用いると、殆ど確実にその楽器は最良のクオリティと音質を有するですが、材の特性から、楽器の重量はどうしても増加してしまう傾向にあります。
　しかし、このBN5-NTEは驚くべきことに、通常のSwamp AshのソリッドボディのBN5と変わらぬ重量を持っていながら、Macassar Ebonyの特性を兼ね備えています。
　重さは楽器の音質を形成する上の一つの要素ではありますが、重量のある楽器＝重心の低いサウンドに必ずしも繋がらないことは、この楽器を弾けばすぐに分かるでしょうし、Macassar Ebonyの特性が大きく寄与している可能性があります。
　作りの良さは、いわゆるハイエンドに属する楽器であれば、良くて当たり前ですので、論じる必要性はあまり無いと思いますが、それでもどの部分を見ても全く手抜きがないながらも、華美になりすぎていない、"楽器"に必要な実践的な良さは素晴らしいと思います。
　オプションの多い、１本もののカスタム楽器ではありますが、通常のF Bassの良さを十分に継承しつつ、このBN5-NTE固有のキャラクターを決定している、34"スケールや繰り返し述べているMacassar Ebonyのトーンなど様々な要素が全て良い方向に向かっているのは、やはりGeorge Furlanettoの経験やセンスの良さによるものだと思います。
　繊細な部分もありながらも、適切な太さを持っており、スラップでもぎらつきすぎることの無い、どこをとってもエレクトリックベースという楽器の美しさを感じさせてくれる楽器です。
(通常34"カスタムスケールは$1000のアップチャージのオプションですが、この楽器ではエクストラチャージはございません。)

#183 BN5-SB
　美しい柾目のMaple指板(F Bassでは、長期の使用における耐久性を考慮し、ネック／指板ともに柾目材のみを採用しております)や、Flame Sawmp Ash等の美しさが、丁寧に施されたフィニッシュによって存分に引き出されています。
　このBN5-SBは、そのボディ材によるものか、Maple指板特有のブライトさに加えて、独特の柔らかさが感じられ、特定の音域にピークがある、というよりも、広い帯域を太い音で埋めていく感覚があります。もちろんそれでいて、場面を問わず、常にF Bassということが分かるキャラクターがあります(ネックにもうっすらと虎杢が入っています)。
　トーンを絞った際の、少しモコモコした音色も気持ちの良いもので、Ash/Mapleというよりも、最初期のAlder/Mapleの楽器の音色を思い起こさせてくれる楽器です。

#181 BN5-MC
　バランスの良さや、このスタイルの音色の楽器ではなかなか得難い太さ等、弾き手を魅了する良さを多分に備えており、浮ついたところが全くない素晴らしい楽器です。
　新品の楽器は、弾き込むことで良くなってくる＝弾き手に馴染んでくるものですが、最初から今一つと感じる楽器を時間をかけて自分のものにしていくことと、新品の時点においてすでに十分な良さを持っている楽器を弾き込むことでは、意味が大きく変わってくるでしょうし、弾き手のその後の演奏活動や人生にも大きな影響を及ぼしてくるかもしれません。
　それぞれの楽器が、その後者たるべきには様々な要素が存在しているかと存じますが、このBN5-MCには、それが何かを理解する為のヒントがたくさん散りばめられているように思います。
　F Bassの良さは、まず弾き心地、バランス、トーン等、弾き手が楽器を選ぶ際の判断材料の全てのポイントにおいて"自然であること"で、それは今までに届けられたF Bassからいつも感じることですが、その最大の長所＝飽きがこない理由、を改めて実感させてくれる楽器です。
　あまり音環境の良くないシチュエーションに置いても埋もれずに、レコーディングクオリティでそのサウンドを聴かせてくれる、使いやすく、まとまりのあるトーンが特徴です。