#477 BN5-NT
　シンプルだからこその良さ、有るべきものがはじまりでありながら全て備わっています。
　世に数多く存在するJazz Bass Styleの楽器の多くは量産品であり、例えば指板やネックのグリップの処理においても、その大半を機械化しています。もちろん、それは安定したクオリティの楽器を限られた時間の中で製作する、という条件においては歓迎されるべき事ですが、人間の手によって弾かれる楽器であれば、やはり手作業によるあたたかみや柔らかみは、プラスαのありがたい存在となります。
　このBN5には、楽器単体では有り過ぎとも思えるような強さがあるものの、それは往々にしてアンサンブルでは程よいものになり、やはり分かっている製作家の手による楽器特有のものだと思います。
　Georgeは、依然としてベースプレイヤーでもあるわけですが(CDをリリースしていました)、やはり楽器の弾き手、ベースプレイヤーであり続けるからこその広い視野による必要な要素が凝縮されており、速く弾く事や、音数を増やす事も必要ですが、アンサンブルにおける基本は何であるかを改めて認識させてくれる楽器です。

#467 BN6-NTB
　速いアタックによって分離が良く、その高域の美しさや、フォーカスされたLow-Bなど、多弦楽器に多くのプレイヤーが求める要素を数多く備えている楽器です。
　また際立っているのはプレイアビリティの高さであり、自分自身6弦という楽器から遠ざかって久しくありますが、あたかも何年もメインの楽器として弾いてきたかのような弾きやすさです。
　優れたアクティブサーキットとピックアップ、そして良質の材料の組み合わせは、パッシブの延長にある自然なトーンを生み出し、これは弾き手に飽きを感じさせずに、それでいてアンサンブルにも程よく溶け込んでくれる源流となります。
　中域にはAlderのようなGrowlさがあり、それでいてAshの高域も低域も綺麗に再生するという双方の良さを兼ね備えたようなトーンが、軽いタッチと重いタッチの双方においてきちんと反映され、ダイナミクスに気を遣う、優れたプレイヤーをサポートします。

#481 BN5-NT
　34" Scale、5pc. Neck、Style 'A' Bridge等のカスタムスペックを持った楽器です。
　試行錯誤の上生み出されたBN5Fのノウハウを、逆にBN5に持ち込んだ楽器とも言え、MapleとAshの組み合わせの楽器とは思えない、なめらかさを備えたトーンは、他のF Bassには無い、このBN5のみのものです。
　Neckのピース数はやはり音に影響するようで、指弾き時にはF Bass独特のオープンさを少し抑え、低域にコンプレスされた質感をもっている一方、スラップでは中域に厚みが出るのと同時に、高域がクローズされるという、大変興味深い音色を持っています。
　F Bassは、いわゆるJazz Bazz然としたサウンドを備えた楽器の中でもバランスの良さでは群を抜いていますが、このBN5はそのまとまり方にも他と違う、3pc. NeckのBN5よりもより緩やかにカーブを描いた感覚が顕在化しており、F Bassがあえて3pc. Neckを標準仕様としている理由を感じます。
　この感覚は、おそらくはGeorge Furlanettoが現在指向しているものとは異なるのかもしれませんが、そうであってもこういう高い完成度を誇る、１音出しただけでもそれが何であるかが明確に判別できる楽器を製作できる見識の高さと造詣の深さには感動を覚えます。

#465 BN5-BC
　Quatersawn MapleとBirdseye Maple等の天然の木材が、経験豊富な分かっている職人の手により、自然な安心感へと生まれ変わっている楽器です。
　F Bassは、Top材の導入やVF5の投入等、ともすれば、基幹モデルであるBN Seriesの存在意義を揺るがしかねない挑戦を意欲的に続けていますが、そのコンセプトをより研ぎすまし、さらに高いレベルに引き上げる事によってこのBN Seriesの存在により大きな意味を持たせています。George Furlanettoは、以前より、AC、BN、BNFと異なったモデルをリリースしていながら、そのどれにも甲乙付け難い良さを与えているという稀有なルシアーではありましたが、それを可能としている理由が今はっきり分かったような気がします。
　ボディ、サウンド、ウエイトとそれぞれのバランスも大変良く、コシの座ったサウンドを基調としており、太い高域、フォーカスされた低域のいずれでも感じることのできるミッドレンジがあります。
　聴こえるべき音域には明瞭さがあり、虜になる解放感を持っています。

#480 BN5-EN
　派手な見た目に反してという言い方は適切ではありませんが、王道を究極まで研ぎすませたような素晴らしいサウンドを備えた楽器です。
　34"スケールという事で、レギュラーのBN5のようなオープンさは無いものの、逆に34.5"のBN5では感じる事のできない強烈なパンチがあり、あらためて34.5"と34"、それぞれの特徴や利点等を感じます。
　スラップのトーンには、F Bass特有の滑らかさと艶がありますが、指弾きのそれからオリジナルとの差異を見いだす事はきわめて難しいサウンドをもっており、新たに登場したVF5のBN5版とも言える楽器になっています。
　Northern White Ashにより、重量はややある仕様となっていますが、その重さを如実に反映したかのような腰の据わったトーンは、単体であってもアンサンブルにおいても普遍の優れたものであると言える、音楽的に全ての仕事をこなすベースプレイヤーの為の極まったです。
　暴れ方とまとまり方のバランスの良さは、もう見事としか言いようがありません。

#479 BN5-LE
　力強さと、ふくよかさとリッチな質感が程よく同居する楽器です。
　高域には良く出来たSingle Coil Pickup特有のきらびやかさと艶があり、どこまでも音楽的なトーンは、アンプを選ぶ事無く、だからこそより良いアンプとキャビネットの使用においてはもっとその特徴を感じるでしょう。
　どこを弾いてもムラの無いバランスの良い発音、弾きやすいネックの形状とミュージシャンの為のセットアップがたくさん施されています。
　アンサンブルにおいて、聞こえないベースのトーンは、低域を埋めている雰囲気の一部になってしまいますが、しっかりと何をしているか明示し、楽曲の方向性を決め、アンサンブルとハーモニーに彩りを加える事こそがベースプレイヤーにとって必要なことであり、そこに十分応え得るのがこのBN5です。

#390 AC5-UR
　これぞ"King of Fretless"という貫禄があります。
　束縛された感の一切無い、のびのびとしたストレートさがあり、エレクトリックともアコースティックとも良い意味で異なる、George Furlanettoにしか製作できない素晴らしさに覆われています。
　普通であればその一つでも完璧に持ちうる事が困難な場合があるにもかかわらず、艶やかでなめらか、芯がありやわらかという様々な要素が凝縮されており、F Bassが標榜するように音色だけでなく、感覚的にも多様性に富んだ楽器です。
　速い立ち上がりから減衰まで本当に気持ちの良い音があります。

#391 AC6-AW
　美しく丁寧に施されたフィニッシュには、弾き手によって清廉にも白秋にもなりえる、様々なイメージを想起させる力があります。
　強烈な存在感を放ちながらもアンサンブルには必ず混ざり溶け込む音色を持っており、そこには、均一なバランスと、水面にゆらめくようなうねりが絶妙なバランスで混在しています。
　ベースという楽器は、本来アンサンブルを支える為に存在しているものですが、その役割はもちろん、そこからはるか彼方に佇み、このAC6-AWのみで全てを成立させてしまえるのではないかと確信させてくれる何かがあります。
　6弦でフレットラインがない為、一見放り出されたようにも感じましたが、サイドラインとドットが完璧なガイドとなり、さらに左手の空間認識と聴覚が密接に結びつく必要がある"本来の姿"を思い出させてくれる楽器です。

#421 BN6-WR
　上から下までバランスの良い発音の仕方をするものの、まとまりすぎずに面白みがある、気持ちよく暴れてくれる楽器です。
　Low-B弦をはじめ全体のサウンドのイントネーションも大変にフォーカスされており、単音の美しさが、コードトーンになった際にお互いを潰し合わず何倍にも増幅される為、このBN6-WRで、世の中にある全ての音楽にトライしてみたいという強い衝動の源泉になってくれるという楽器です。
　34.5"というスケールの採用によって、クリアーだが細くならず、太さはあるがアンサンブルに埋もれないという良いところが多々あるのと同時に、他の楽器でもただ単に同じ事をやろうとしても上手く行かないであろう事が想像できる楽器でもあります。
　究極的なボディバランスとネック形状によって長時間の演奏により生じる疲労を軽減し、プリアンプが仮に無くても一切の不満を感じさせる事の無い楽器です。

#346 BN5-AU CUSTOM 34" SCALE
　自然なコンプレス感が、この楽器に絶妙な特徴を与え、それが同時に気持ち良さにも繋がっている楽器です。
　楽器自体は重くは無いものの、音色の重心はLow Midの少し下のところにあるようで、Active CircuitのMidの加減一つでドンシャリサウンドから、アンサンブルに太い杭を打ち込んで行くような、中域に張りとパンチのある音色まで自由自在にコントロールできるようになっています。
　このBN5には、34" Scale、Macassar Ebonyよりも硬い指板等、楽器製作の歴史の中では原点回帰とも呼べる方法論が盛り込まれていますが、現代最高峰の製作家の一人であるGeorge Furlanettoの目指すものが分かる楽器とも言えます。
　結果、標準仕様の34.5"よりもそれらしさがあるのは自然なことでしょうし、視野の狭い製作家では持ち得ない、枠組みの中における余裕を感じる１本です。

#367 BN5F-BC
　Alderと比べると中域の色気には欠けるところはありますが、逆にあえてAshでなければならない必然性を感じる、深いところで鳴っている楽器です。
　全域に渡ってバランスが良く、Alderでは得難い力強さを獲得しており、トーンコントロールを開いても絞っても使える絶品の音色を持っています。
　もちろんF Bassのフレットレスに共通した甘い成分はありますが、それが音色の全体に広がる感じではなく、あえて一部にとどめられている感覚は絶妙と言えるでしょう。
　エポキシコーティングされた楽器のような安定感を持ちながら、それでは決して得られない、自然な木の優しい質感に溢れています。　

#364 BN5-BC
　美麗で隙のない素晴らしい作りをしているものの、楽器を弾いている間に、一生懸命良い楽器作りに邁進している真摯な姿勢によって、弾き手にもたらされる感覚に心動かさせられる楽器です。
　オーダー量が増えるに従って手抜きをしても問題ない部分を簡略化してしまうメーカーの楽器も少なからず店頭で見かけますが、F Bassでは、明らかな線引きによって、手間と時間はかかるものの、例えばフレット周りの処理やフィニッシュ等、ユーザー１人１人のことを考えてきっちりと取り組んでいることが分かります。
　バランスのとれた音色と、やや平淡でありながらも、しなやかで丸みのある中低域は、この楽器を使いやすい楽器としています。
　また、一つ一つの音がしっかり発音されることによるタイトさもこの楽器の特徴です。

#384 BN5-SB CUSTOM 34" SCALE
　重ためのNorthern White Ashによってもたらされる、強力無比のパンチのある、暴れん坊と呼ぶに相応しい感覚を備えた楽器です。
　NeckのMapleやBodyの木目も特徴のあるものですが、それに象徴されるような、贅の無い、引き締まった筋肉質の音色は、様々な楽器の中でも、ベースプレイヤーにもっとも欲される音色の一つだと思います。
　独特のストレスの無いNeckのグリップと、絶妙な形状を持つFinger Ramp代わりになるMatching Wood Coverが早弾きをサポートする一方で、上記のような音色が存在していることによって、このBN5を、テクニカルなフレーズや音数を必要とする状況はもちろん、１音の説得力で勝負すべき場面のどちらにおいても、十二分に強力な武器になると確信させられる楽器です。

#294 BN5-NTB
　厳選されたBuckeyeが楽器を彩る、美麗な楽器です。
　34"スケールによるものか、強烈に太いトーンをもっており、またF Bassの特徴である自然で有機的なサウンドとの融合をバランス良く感じる事ができます。
　今まで弾いたBuckeye TopのBN5は、いずれもPrecision Bassに近い感覚を持っているものが大半でしたが、この楽器は、典型的な当たりのJazz Bassのようなキャラクターをもっています。
　Low-Bはもちろん、G弦までバランスよく、それでいてパンチのある、これはっ！と思わせてくれる１本です。