通常存在しているソリッドボディの楽器とは一線をかくす、繊細でクリアーなキャラクターと、Delanoの良い意味での大味(ヨーロッパ人の想像するアメリカらしさを端的に具現化したようなキャラクターを持っています)さ加減が、このKN6Fに他には無い個性を与えています。
　全域に渡ってバランスの良さを感じますが、特にベースとして一番重要な低域の引き締まり具合と密度の濃さは特徴的であり、見た目の美しさだけではなく、彼が製作するダブルベース同様、長い期間、弾き手の芸術の創出に大きな力を与えてくれる楽器です。
　こじんまりとした感の無い、大鉈をふるうようなスケールの大きさを持っている楽器を探されている方には最良の１本です。

　個人的にBrazilian Rosewoodを使用したというだけではあまり凄さを感じませんが、シーズニングに50年や100年を経過しているものであり、その良さが実際に楽器の特徴として表出しているのであれば、材の名前は何であり、非常に意味の有るものとなると思います。
　ダブルベースやチェロなどで聴くことのできる、弓を使った歌うトーンに比肩し得る美しさを誇り、深淵をのぞきこむような深く広がりのあるサウンドを持っています。
　Knoorenの楽器全てに通じるものは、唯一無二のフィールであり、それは例えば何年も良いプレイヤーによって育てられて来たような馴染む感覚が新品でありながら、多分に備わっているという点です。
　普通の音楽を普通に弾いていて十分に楽しさや気持ち良さを感じる事のできる、いつまでも弾いていたい楽器です。

　コンプレスされた感覚とは無縁の突き抜けたオープンで、素直な印象が特徴的でありながらも、ダブルベースの製作者・奏者としての経験やノウハウが多分に活かされた力強さに満ちあふれている楽器です。
　6弦ということで、一見大きいように感じるネックとボディですが、その大きさがすぐに安心感へと変化して行く様には感動を覚えさせられ、まるで楽器が弾き手に手放せないパートナーであるかのように寄り添ってくれる感覚があります。
　Pickupに関しては、最近HaeusselやDelanoを採用しているところに、あえて初心に返るという意味合いでEMGを積んでいますが、このピックアップの長所とKnoorenならではの自然な感覚の融合は、プリミティブでありながらも、完成されたものであると断言できるものです。
　Knoorenは、ダブルベースの弾き手がエレクトリックの楽器に感じてしまう、音のスケールやダイナミクスの不足を一切感じさせる事の無い数少ない楽器です。