#654 BT5G-KM
　その時々の時流の変化と回帰は、音楽にはつきものですが、その流れを飛び越えてしまうような楽器があるのも事実です。
　このBT5Gもまた、そのような楽器であり、誰もが良いベースサウンドと常に認識する要素に溢れており、きらびやかで艶のある太く丸いトーンを持っています。
　Ken Smithに採用されているActive Circuitは、従来型のものとしては、楽器のコンセプトへの完全なシンクロがあるという点でも、間違いなく最良のものであるわけですが、それでもあえて使わなくても十分と感じさせてくれる印象があり、特にNeck Pickupのくだけた印象のあるサウンドと、引き締まって芯のあるトーンを生み出すBridge Pickupはそれぞれ独立していても素晴らしく、両者が合わさることで理想的な補完関係を持っています。

#402 BSR5GN-FM
　Neck Pickupがリアリティに溢れる音色を生み出し、また、軽いタッチでも楽器全体が強力に響いてくれる楽器です。
　アンサンブルで力を発揮する、粘りのある中低域を中心として、全ての音域が綺麗に聴こえてくるサウンドキャラクターを持っており、速いパッセージを多用するプレイヤーはもちろん、1音の美しさや説得力で聴き手を唸らせる弾き手まで、優れたベースプレイヤーが求める要素を多分に備えています。
　楽器が到着すると、輸送時にやむを得ず変わってしまうセットアップ、トラスロッド、各コントロールにトラブルが無いか、塗装におかしいところが無いか等、楽器が届いてから様々なポイントをチェックさせていただいておりますが、その過程で思わずEQのチェックを忘れてしまいそうになる、Passiveに於ける素晴らしさを特に感じさせる一本です。
　SLEEK ELITEを始めさせていただいてから、Ken Smithの入荷数もすでに300本を超えておりますが、完全ハンドメイドながらも文字通り、完璧なるクオリティコントロールを確立している、その全てを当たりと感じる事のできることにあらためて驚かされています。
　また、こうして1つ1つの楽器にそれぞれ違ったコメントを付けさせざるを得ない、素晴らしい個性溢れる楽器を製作し続けているKen Smithには、あらためて感謝の気持ちを抱いています。

#629 BSR5TN-CM
　こういう楽器が、普通に存在していること自体すごいことなのですが、しかし、事実でもあります。
　良質の材料を使用していてもそれは、すぐには分からないこともあります、しかし、それは真に優れた、何年も安心して弾くことのできる主たる要因に確実に成り、トーンの良さはもちろん、弾き手にとってのクオリティーを充実させるものとなり、それは時間が経てばたつほど、大きな差となって必ず表れます。
　Ken Smithのフィニッシュの美しさには、唸らさせられるものがありますが、オイルフィニッシュひとつとっても、NYで活躍していたアンティーク家具の塗装を行っていた職人の技術が最大限発揮されており、それを一例として、まさに少数精鋭と呼べるスタッフ達が一つの目的に対して一切の妥協を持たずに突き進んでいる結果、こういう楽器になっているのではないかと思います(先日３年ぶりに工房を訪ねましたが、スタッフの顔ぶれはもちろん全く同じでしたし、そのほとんどは9年前から知っている安心できる面々でした)。
　楽器として、あるべき形を徹底的に追い求め、実際に形とし得た、究極の姿の一つがKen Smithです。

#651 BSR5M-Q
　十分な自然乾燥を長期にわたって施されたMapleは、AlderとAshの長所を併せ持ち、 古い楽器が有する、良質かつ適正な、理想的な響きを生み出し、軽さとは無縁の、程よい重心の低さを持ったトーンを持つ素晴らしい材となります。
　このBSR5M-Qには、その特性が顕著に表れており、強力なLowendと、広がろうとする高域に上質という要素があります。
　例えば、Ashという材は、Neck-thruよりもBolt-on構造において、その良さをより発揮するように、材の特性と構造には密接な結びつきがあるのが一般的です。
　その観点から考えると、古いMapleは構造の違いを問わず、常に最良の結果を、半ば自動的に与えようと柔軟に変化する最高のTone Woodであると断言できます。
　Mはスタンダードモデルですが、廉価であっても廉価版では決して無い、Ken Smithの良い弦楽器作りに対する造詣の深さと、パイオニアとして道を切り開いてきた強い自信、そして弾き手を助けるべく存在している"完璧さ"などを存分に感じるものです。
　ラミネート構造や、美麗なエキゾチックウッドを採用することに関して、大多数に先駆けたKen Smithですが、その素晴らしさはこういうシンプルな構造の楽器であっても、そこに一切の曇りもありません。

#653 BSR7EG-EM
　Macassar Ebonyという、基音と倍音のバランスをもっとも理想的な形で持ち合わせているTonewoodの良さを、究極的な形で楽器に織り込んでいます。
　7弦のKen Smithには、Melvin Davisという希代の名手のアイディアがふんだんに盛り込まれており、中でもこの7EGは、その集大成的な4本目と同じスペックを持っていますが、彼が現場で必要な楽器に何を求め、何処に辿り着いたかをありありと感ます。
　アコースティックな状態でも感じるバランスの良さは、アンプを通すことで一層拍車がかかりますが、これは良い楽器製作にとっては非常に重要なことで、音楽全体におけるベースプレイヤーのあるべき存在理由や、適切なポジションなど、あらゆることを熟知していなければなし得ないことです。
　指板上に散らばる無数の音の、そのどれをも表現の為に躊躇無く使うことが出来る、Ken Smithという完成された一つのスタイルに心を揺さぶられる楽器です。

#652 BSR6TNE-CM
　出来上がったばかりの楽器は、弦だけが振動し、結果、弦が死んでしまうと露骨にそれが分かってしまうことも少なくありませんが、ネックはもちろん全体が風鈴がさえずるように、鳴っている楽器です。
　煌めく炎のような美しいWalnutとTiger Mapleの組み合わせは、見た目の流麗さをあくまで二次的な評価要素としてしまえるだけの、絶妙の音のバランスをこのBlack Tiger Eliteに与えています。
　重心の低い野太いベースらしい低域と、多弦にありがちな、ギターのそれとは一線を画すグラマラスで伸びる高域など、常にベースという楽器であり続けることのできる、パイオニアとしての意地と歴史を感じます。
　材の持つ美、Ken Smithの培ってきた知、そして厳選された素材による力。その全てが密接に結びついています。

#584 BSR5TN-CM
　新品でありながら10年近く弾き込まれているかのような、こなれた感覚が最初からありますが、これは、やはり十分な自然乾燥を施された良質の材料を用いているからに他ならないでしょう。
　アンプラグドやアコースティックの質感のままの出音を持っており、デッドスポットの無さや、どこか特定の音域が引っ込んでしまうということも無いため、音楽や場面問わずに確実なクオリティを提供してくれます。
　ハイエンドという呼び方は一般的になってきている中で、実際のところこのKen Smithという楽器ほどの質を備えているのが、当たり前であるべきですが、実際はそれほど多くはないということも事実であるということを感じさせてくれる、言い訳する必要の一切無い楽器です。
　全体が一体となり響いてくれる、タッチの強さに関わらず、相応の良い音を出してくれる、手にした瞬間から使うことのできる楽器です。

#540 BSR5GNW-VW
　Avodire' TopのKen Smithは初めて弾くものでしたので、今回の入荷分でもっとも楽しみにしていた楽器です。
　Low Midという帯域に本能的に気持ち良さを感じる事が出来るかどうかは、良い楽器としての判断の目安の１つになると思いますが、その点においてはもちろん、"Imbuia、Bubinga、Shedua等と並びKen Smithの製作する楽器の中でも使用頻度の少ない＝乾燥期間が非常に長いTonewoodは、確実に素晴らしい楽器になり得るという予想"を遥かに上回る素晴らしさを持っている楽器になっていました。
　Walnut Core特有の全域に渡り直線的かつ均質に響く感覚を、Avodire'のMapleのブライトさとMahoganyの柔らかさの中間に位置するキャラクターが包み込んでおり、強すぎずに確実に生き残るという音楽的な中域を結果として生成しています。
　Korinaの楽器に感じるような巨大でアコースティックな響きがあるのと同時に、ダイナミクスの加減を非常にスムースかつ、自然に行えるため、例えば5つしかメモリの無いコントロールを倍の10へと拡張したような幅広い表現を可能にしています。 　
　弾力のあるトーンキャラクターが際立ち、スラップも絶品な、新しい楽器であるとはよもや誰も思わないであろう、そういう質感に溢れる19mm Wide PitchのGNです。

#617 BSR6TNE-CM
　古くはBMTで採用され、最近では25th Anniversary Modelでフィーチャーされている7pc. Bodyは、見た目の美しさはともかく、独特のサウンドを持っているように感じます。
　それは何とも言えない神秘的な響きであるのですが、繊細なディティールの積み重ねとでも表現したら良いのでしょうか。
　近年増えてきている若手の中にも、かなり素晴らしい製作家が誕生してきているのは事実ですが、Ken Smithの制作する楽器をみていると、彼らが１歩にじり寄ってくれば、さらにそこから2歩先に進んでいるような感じです。
　Ken Smithは、まずそれぞれの材自体の持つ美しい見た目や、その組み合わせの妙など造形美に目を奪われる楽器ではありますが、だからこそ"高い家具"ではなく、本物の楽器とはいかなるものか、またどうあるべきか、ということを強く感じさせてくれます。
　このBlack Tiger Elite 6を弾いていて興味深いのは、プレイヤーがどういうスタンスで音楽に臨んでいくべきか、ということを楽器がレクチャーしてくれるということです。
　例えば、4 Beatであれば、適切な音価、低域は大きく、高域は小さくといったようなことが自ずと理解できるのです。
　この楽器を手にすると、表現とは決して有限なものではなく、実際に自分が歌っている状態と乖離をみないことが分かります。

#631 BSR6GN-FM
　美の概念を纏った4A+ Claro Walnut Top & Backが、Ken Smithの意識の高さを物語っています。
　今でこそ6弦はもちろん、それ以上の多弦ベースも珍しい時代ではなくなりましたが、Ken Smithの楽器からはいつも、"全てここから始まった"という強い自意識を感じることができ、それは、この楽器の強力な芯の強さとしても表れているようです。
　人の手による最高傑作=Ken Smithの楽器であり、それは一見完全であるようにも思えるものですが、限りなく完璧ながら、行き過ぎること無く弾き手の思考や感情を投影する"隙"を与えていることも、長い間Ken Smithという楽器が多くのプレイヤーに愛されてきている大きな理由の一つではないかと思います。
　これでもかと言わんばかりの強力で、アンサンブルを邪魔しない音楽的なトーンの存在によって、弾き手と楽器の双方があらゆる状況において主役になることができる、表出しないものの確実な進化を感じる楽器です。

#627 BSR5EGW-FM
　30年以上かけて培ってきた、創意・工夫・技術・方法・材料・伝統などその全てが、これ以上無い高さで結びついたのが、この5EGW-FMです。
　大きくて重い円を透明感が包み込み、それを指で押していくような感覚を持った楽器で、落ち着いた感覚は、弾き手には感覚として、オーディエンスには音として大きな安心感をあたえるものとなっています。
　Ken Smithの最大の特徴は、バランスの良さと確実な安定感の創出にありますが、この楽器はある意味、そのTopに位置していると言えるでしょう。
　Wide Pitchということで、ナット幅は一般的な5弦ベースよりも広いものとなっていますが、それを一切感じさせないプレイアビリティを誇っているのは、やはり数字だけでは語ることのできない、何かによるものだと思います。
　色彩や情景に富んだ到達点にある豊穣な楽器です。

#630 BSR5TNE-CM
　アンプをつながなくとも、この楽器の素晴らしさを十分すぎるほどに感じることができ、チューニングしているだけでも、大きな鐘がなっているかのような錯覚を受けるます。
　弦楽器であれば、もちろん弦の音というものを感じることができなくてはなりませんが、このBlack Tiger Eliteでは、ボディとネックを通じて、それが一切の阻害を受けること無く、自然に増幅されています。
　見た目の素晴らしさは、すでに語るべきものではない要素となっていますが、風紋と表するのが正しいのか、緊張の中にある、空気の微細な動きを表現したかのような、躍動感のある流動的な木目には心惹かれるものがたくさんあります。
　立ち上がりの速さや、指で奏でたトーンがまっすぐに伸びゆくキャラクター故、ある意味上級者向けの楽器だとも言えますが、これを弾きこなすことのできるプレイヤーにとっては、常にその選択肢において第一義的な存在になりえるでしょう。
　感動的なトーンを持った長くつきあっていくことのできる、弦楽器製作の歴史の中で正しい道を歩んでいる楽器です。

#621 BT6TNV-CM
　このVintage Black Tigerを弾いていることで、その音で人から声をかけらえるようになるのではないかと思わせてくれる楽器です。
　アンプにつなぐだけで、仮にActive Circuitを搭載していなかったとしても完璧と思わせてくれる楽器であり、まさに良い材料をつかった、優れた楽器の典型としての姿がここにあります。
　チューバや、バリトンサックスのような強烈な太さのある音ですが、アンサンブルを邪魔することは決して無く、また、回ってしまうような類いの低域はなく、一歩引いた絶妙な奥ゆかしさは、"The Beauty"と評すべきものです。
　弦高を下げていっても、この楽器の良さは変質してしまうことは無く、様々なプレイスタイルの弾き手に限界を与えない、最良の結果をもたらしてくれる楽器です。

#615 BSR5TNE-CM
　現在、世界中に存在している数多くある楽器の中でも、もっとも完成されたバランスを持っているのがKen Smithです。
　中でもこの、フラッグシップモデルであるBlack Tiger Eliteは、見た目、長期にわたり自然乾燥を施された材の採用、細部にまだ渡る作りの精緻さ、バランス、プレイアビリティなど、その全てにおいて、不足を感じさせない最高の要素を持っています。
　上記の条件はいずれも必須のものではありますが、なぜ長期の自然乾燥が特に重要かと言えば、法隆寺に代表されるような日本の古い建築物をみれば一目瞭然でしょう。
　木というのは大変に面白い性質をもっているのですが、これは自然乾燥を施された材にあてはまることであり、近年当たり前のように用いられている強制乾燥では、この限りではなく、この違いが、後々楽器のネックの安定には大きく関係してきます。
　もちろんたくさん生産するべき製品であれば、無理矢理含水率を下げ、とにかく形にして世に送りだしていく必要がありますが、"楽器" というものは、常にそこから一線を引いている必要があり、そこで多くの需要に応える必要があるのであれば、相応になされるべき準備というものがあり、Ken Smithはではまさにそれを行っています。
　それらの恩恵は、安定したネックの創出だけにとどまらず、多方面に波及し、その一例として、ピックアップや、楽器の製作技術の向上により、使えるLow-Bを持った楽器も徐々に増えてきましたが、Ken Smithと比較した場合、その多くをあくまで及第点としてしまえるだけのものがあります。
　Ken Smithが、現在の地位を築くに至ったのは、そのような"下準備"だけでなく、通常であれば出てしまう無駄をいかに出さずに、その分を楽器のクオリティの向上につなげるという姿勢やismが、Ken Smith自身はもちろん、少数精鋭の職人の全てが共通した認識としていることが大きいのかもしれません。

#614 BSR5EG-EN
　Jazz Bassのトーンが出ないことを除けば、一切の文句のつけようのない最高の楽器です。
　間違いが無い、という言葉が当てはまるKen Smithはたくさんありますが、このMacassar EbonyとMahoganyの組み合わせもその代表格であり、結果、この5EGも安心の集合体のような楽器になっています。
　例えばスケールが長い方がLow-Bのイントネーションは向上するとみる向きもあり、実際、それは大きな存在感となりえることもあり、ベースという楽器単体で考えて場合、間違いではないのかもしれませんが、アンサンブルや音楽全体で考えた位置づけでは、正解と言えなくなることも多いように感じます。
　楽器、特にベースの役割は、楽曲を殺す為に存在しているのではなく、あくまで、そのボトムを支え、正しい方向に導くことが重要であるわけですが、この5EG、ひいてはKen Smithからは特にその重要性を強く感じます。 　
　先日のSly & the Family Stoneの日本公演でPate Yatesが聞かせてくれたように、ベースという楽器は、それ単体で成立させてしまうのではなく、全体の中ではじめて完成されるべきものでしょう。
　近年、そういう概念は無視されているような風潮もありますが、良い楽器というものは常にその原点に立ち返らせてくれ、初心を思い起こさせてくれるものなのです。

#581 BSR5MW-WM
　今ではラミネート構造はもちろん、MapleとWalnutをBody材として使用することも珍しくなくなりましたが、この良さに20年以上も前にKenは気付いており、それはまさに慧眼であったとしか言いようがないでしょう。
　一流のシェフによる料理と良い楽器製作には、下準備と素材の良さが肝要であり、また、それをお客にどのような形で提供するかで、全てが変わってくるという共通点を見いだす事ができ、上述のように早くから、必要とされる事を見抜いていたからこその、量産メーカーの在庫量を遥かに上回る膨大なストック量ではないかと思います。
　その自らが使用する量を遥かに上回る膨大な材料の中から素材の厳選と、他に頼らない自らが作り出すものが歴史の一翼をになってきたという自負は、Ken Smithという楽器を現在の地位押し上げた大きな理由でしょう。
　このBSR5MWには、ロングトーンはもちろん例えば八分音符などにも表情があり、そこにはドライな外見とウェットな側面が混在しており、両者が複雑に絡み合う、色彩感のある耽美的でもある要素が多々存在しています。
　当たり前のことを当たり前に、真摯な態度で楽器製作に望んでいる事がわかる、そこには経験はあっても決してマジックは無いことが分かっている製作者の楽器、だからこそ弾く事で確実な満足が得られるのだと思います。

#446 BSR6EG-FH
　堂々とした存在感と安定感に溢れる1本です。
　思わずため息が出てしまう外観に劣らない、あくまで"ベース"という与えられた役割に対して、逸脱せず忠実かつ完璧にこなす音を持つ洗練された本物の楽器です。
　他のKen Smithの楽器同様、楽器に求められる美しく重厚な音と見た目、そして様々な弾き手の要求に完璧に応え得る抜群のプレイアビリティを誇りますが、これは単に良い木材と優れたアッセンブリーやパーツの使用しただけでは、これほどの完成度を持つには至らないでしょう。
　良い楽器というものは、もちろんKen Smithに限らず存在はしていますが、ここまで！というものにはそうそう出会うことはないであろうと確信させてくれる、Preampの必要性を全く感じさせない美しい楽器です。

#493 BB4FE25-TQ
　プラグインする前のアコースティックの質感の柔らかさは、大変気持ちの良いものがあり、それがアンプを通した状態でもしっかりと維持され、かつ、古いソリッドボディの楽器のような出音を持っている、世界最高峰に位置する4本の弦が張られた、誰もが良いと思う、好みを超越する楽器です。
　見た目にも十分すぎる材ですが、本当の意味で、この材が良いということは、持った瞬間に如実に伝わってきます。
　フォーカスされた音は、太すぎず、丸すぎず、鋭すぎず、堅すぎずと、全てに渡る中庸であり、またそれが中途半端にならず、異様なまでに高い完成度をもっており、究極という言葉はこのBB4FE25、Fusion Eliteの為にあるのかもしれません。
　いわゆるAnnivarsary Modelと呼ばれるもの中には、見た目の豪奢さにのみ重点が置かれているものがあり、それはそれで存在意義としては十分かもしれませんが、このFusion Eliteを、しっかりどんな場面でも使える楽器に仕上げているところは、Ken Smithらしいと感じます。
　Ken Smithは、決して安価な楽器ではありませんが、相応の対価を払ってくださるお客様に対する感謝の気持ちを強く感じるメーカーです。これは、私がKen Smithを扱わせていただいて以来、ずっと感じているものですが、さらに強いものがこの楽器にはあります。

#539 BSR5EG-EH
　Ken Smithに於けるMacassar EbonyとMahoganyの組み合わせは、デザインの1:1.1618のような完璧なトーンを生み出すのと同時に、全体のバランス感覚にも波及していき、おそらくKenは狙っているとは思いますが、その良さが随所に表れるものとなります。
　そしてそれは、弾き手にとっては、長く付き合えば付き合うほど切実感じるものとなり、色々な楽器を一通り試したあとで、やはり楽器とはかくあるべきと思わせてくれるものとなります。
　Macassar Ebony Topに由来する明瞭なアタックと自然な減衰を伴ったサスティーンは、エレクトリックベースというよりも、良い弦楽器の王道と評するべきものであり、楽器の欠点を弾き手がカバーするという行為とは縁遠いバランスの良さに繋がっているようです。
　弾き手が全ての出音に責任を持つという、プロとしては当たり前の事象をより卑近なものとして感じさせる一方、それによって音楽が、音楽足り得る事を認識させてくれる楽器でもあります。

#555 BB5GNW-BN
　5pc. Bodyの為か、アタックが非常に速く、アクセルを踏み込んだ瞬間にエンジン全開の高級外車のような印象を受ける楽器です。
　BubingaのKen Smithを本格的にオーダーし始めたのは2007年からで、自分自身の楽器も含めて、そのあまりの良さに定番にしていこうと思っていたのですが、Ken Smithのクオリティを満たすものが無くなってしまった為、惜しむらくは終了していましました(あと１本の製作が可能となっています)。
　もちろん、このような確実に、100%のあたりを生み出せる材ですから、こちらから新規の仕入れの要望は出させていただいております。ただ、このBB5GNWに使われているものがそうであるように、Kenが入手してからさらに15年や20年は立っているのですから、同じようなクオリティの材を用いた楽器の登場は、現実的ではないかもしれません。
　Ken SmithのBubinga Topの楽器は、足しても引いても違うと思わせてくれる、強力な中低域を持っていますが、逆にその加減次第で様々なトーンキャラクターを生み出し、結果、3 Band EQが、より一層、保険としての意味合いを強くもつようになります。　
　19mm Wide Pitchと、Bubinga/Mahoganyの組み合わせは、太い芯と立ち上がりの良さに特徴を与え、 指弾きは勿論スラップでも、尋常成らざる、唸らさせられる個性的な良さに結実します。
　また、楽器自体に高いポテンシャルと、深みのある力が備わっており、バッキング主体のプレイヤーはもちろん、その粒立ちの良さを活かした、低めの弦高による3/4フィンガーの弾き手にも向いた楽器となっています。
　Ken Smith特有のバランスの良さに加え、全域に渡って過不足無く音楽的にアンサンブルをサポートする、場と時を問わずに結果の出せる楽器です。

#558 BSR4MW-WM
　タイトで歯切れの良いアタックと、骨太のトーンが魅力的な楽器です。
　Ken Smithの楽器に、クオリティにおける廉価価格帯は存在しないとは、良く言われる事ですが、MやMWは、その良い見本ではないかと思います。
　このMWのサウンドは、独特の中域の存在ゆえに、単体では細く感じる印象を受けるかもしれませんが、その実、アンサンブルにおいては、ふくよかさと、贅の無い引き締まった美しい筋肉を想わせるものとなり、向かい合っている音楽をいかにより上質のものたらしめるか、この一点のみに集中させてくれるものです。
　Ken Smithは、ハンドメイド特有のばらつき、いわゆるハズレ、とは無縁の楽器製作を行っているメーカーですが、この点にのみ傾注していると、逆に本当に良いものが生まれにくくなる事もあります 。しかし、Ken Smithでは、明確な方法論と膨大なノウハウの蓄積により、手に取ってくださるお客様に対する責任を果たしています。