#439 BSR5MS-WM
　塗装の種類と音色にははっきりとした相関関係が存在しており、Oil Finishはドライで、Laqcuer Finishは濡れた質感をもっていますが、前者の特徴が楽器の個性と絶妙なマッチングをみせているのが、この5MSです。
　豪放磊落と評するのにぴったりな、コンプレスされていないシンプルで快活なトーンがこの上無く魅力的で、Neck-thruの長所でもあり短所でもあるジェントルさよりも、Set-Neckの楽器が備えている特徴が前面に押し出されているように感じます。
　アタックの立ち上がりの速さと、サスティーンの自然な減衰など素材に起因する楽器自体の良さが、適切なアッセンブリーの採用によって阻害する事無く表出している、Ken Smithならではの+αのある楽器です。

#815 BSR5TN-CM
　Walnutは、最良のTone Woodであり、それ単体でも弾き手を十人分に納得させ得るサウンドを持っていることは疑いありませんが、1+1で3にも4にもなり得る為の方法論を具現化しているのがKen Smithです。
　木目の美しい材を使用しているメーカーは、現在では少なくありませんが、そこから生まれてくるトーンによって、全体の方向性を楽器として組み上げる以前に織り込んでしまえる製作家はそれほど多くはありません。
　同じ材であっても玉、網、縞、渦、火炎、瘤、さば、筍、縮み、波などその杢目は、自然の産物である以上様々ですが、その一つ一つの持つ音色も同様に異なり、Ken Smithでは、その微細な違いの一つ一つを楽器の個性へと昇華させていますが、その由来は、やはりコントラバスやチェロに求められます。
　Ken Smithは、Top材をそのサウンドの差異の最重要要素として挙げていますが、Neckの木目や気取り、付き板やCore材などの選択に関して、はっきりとした理由を感じる楽器が多く、これが弾き手にとって何十年、もしくはそれ以上の長い期間、手放せない存在となる大きな理由の一つとなっています。
　また、細かい部分に着目してみれば、ネジやポットのシャフトの長さのそれぞれにも、なぜそれらを選んでいるかという理由の分かる瞬間が多々あり、表面的には細かいことですが、先々の修理や調整における問題点の解消に大きく貢献しています。

#861 BSR5GN-TQ
　厳選され、長期間の自然乾燥を施された素晴らしい材の持つ端正さと、複雑さが楽器の音色そのものの深みや美しさを暗示し、直結しています。
　オープンで陰影に富むWestern Quilted Mapleを5pc. BodyのCore材に用いることにより、絶妙な抑揚とタイトさを導きだしています。
　フォーカスされた低域は、アンサンブルやグルーブに鉄槌をくだすかのような安定感を生み出していますが、それが全ての基調となっている為、スイッチやバランサーなどのアセンブリーによる変化や、タッチによる表情の変貌など、あらゆるものが意味を持ってきます。
　とにかく弾き易く、余裕に満ちあふれている、弾くことと音楽だけに集中させてくれる楽器です。

#862 BSR5M-V
　その凛とした見た目や、優美な美しさからBronde Mahoganyと称される、豊穣の大地を表すかのような黄金色のAvodire' Solid Bodyを持つBSR5Mです。
　MahoganyにAlderの特徴を加えたようなサウンドキャラクターを持ち、強烈な安定感だけでなく、まとわりつきのなり理想的な中低域と甘さを創出してくれ、用い方によっては、Sigle CoilでもHumbacker Pickupでも、その良さを十二分に発揮してくれます。
　地に足のついた安定感と、スピードのあるアタックと歯切れの良さは、全ポジションでバランス良く発音し、グラマラスかつ官能的な音色を持った低音楽器という印象を与えます。

#563 BSR6TN-CM
　手に取った瞬間に、言葉ではなく感覚で良いと強烈に感じる楽器です。
　Black Tigerが、登場した時にはこの楽器のように4A Crotch Walnut Top & Backに3pc. Bodyという組み合わせでしたが、現在では行っていない仕様です。しかし、この3pc. Body独特の、5pc. Bodyの楽器とは違ったオーガニックなフィールには、また違った魅力を強く感じます。
　お客様の中に、Ken SmithをSteinwayやベーゼンドルファーに例えてくださる方がおられますが、それは、Ken Smith自身が、彼が影響を受けてきたDouble BassやCello等の弦楽器では当たり前である、何世代に渡っても愛され、また実際に使い続ける事のできる安定感を維持する楽器製作の姿勢を非常に重視しているからかもしれません。
　5pc. BodyのBlack Tigerよりもシンプルな響きを持っており、エレクトリックベースの音に含まれているノイズ成分の音楽的な部分を抽出したサウンドと、究極的なバランスの良さは、普通は混ざりにくい、ピアノや弦楽器の音色とも相性も大変良さそうです。
　考え抜かれた構造、真に良質な材料、最善を尽くす為に必要なアッセンブリーとハードウェア等、全てにおいて完璧な、HB Pickupを搭載した最上級の、消耗品という言葉とは無縁の楽器
となっています。

#879 BSR7EG-QQ
　もし世の中にあるベースの内、１本しか持って行けないとすれば、私自身が選ぶ楽器が、Ken Smithの7弦です。
　Quilted MapleとWestern Quilted Mapleの組み合わせは、他のどの組み合わせよりも、深みがあり、澄んだトーンを響かせます。
　Quilted Mapleだけでは、低域が不足していると感じる楽器もありますが、構造、製法、材料など、備わっている全ての要素が、疑う余地の一切ない完璧さを与え、それはあたかも、綿密に時間をかけて調整された世界最高峰のピアノを思わせます。
　BridgeやPickupなど、既存のものが既に存在しているため、物理的に7弦という楽器を作ることは可能ですが、それだけに、他のメーカーの多弦楽器との差異を感じ、その結果、長くあるべき状態を維持し、弾き手に生涯にわたって寄り添ってくれる、完璧の何歩も上をいっていると感じさせる楽器になっています。

#880 BSR5MW-FM
　通常4A Topは、MWシリーズのオプションにはありませんが、Kenが特別に製作した１本です(3A指定でしたが、4Aのものが送られて来ています)。
　もちろん新品で、完成したばかりですが、NeckとBodyが非常に良く響いており、まるで中空構造のものを弾いているかのような錯覚を覚えます。
　価格は、Neck-thruよりも少し抑えられたものになっていますが、Head Stockに"S"のロゴを戴いている以上は、自信を持って顧客に薦めることのできる点では何ら変わることが無いと言うことがこのMWからも強烈に伝わってきます。
　１つ１つの音を、アンサンブルというキャンバスに、投げつけることもできれば、丁寧に置いて行くこともできる、ベースという楽器に求められる役割以上に仕事を軽々とこなせる楽器です。

#883 BSR6TN-CM
　Dingwallのバランスの良さは驚愕するものですが、通常のフレッティングでも同等の調和と安定を誇る楽器の代表であり、その最良をほこるのがKen Smithです。
　色々な楽器を理解する為に使ってみますが、やはりいつも思うのは、Ken Smithほどその音色に色気と艶のあるものは無いということです。
　誰もが知っている偉大なベースプレイヤーが、かつてエレクトリックベース（特にジャズベース）のサウンドはピアノに合わないと言ったことを良く覚えていますが、Ken Smithという楽器を弾くと、逆のその意味を理解を得ることができます。
　ノイズとは無縁でありながら、ポピュラーミュージックからクラシックまで、幅広くアンサンブルの基礎を打ち立てると同時に、下支えすることを可能にしている楽器はそれほど多くはありませんが、そういう理想的な弦楽器をお探しであれば、Ken Smithは間違いの無い選択肢であり続けます。

#881 BSR5TN-CM
　適切なリリーフの顕在は、弦楽器のポテンシャルを最大限発揮させる上で非常に重要な要素ですが、例外的にそれを完全な形ではないにせよ無視できる楽器があり、それがKen Smithが古くより、多弦楽器の先駆者として登場し、またメーカーとして成功し続けて来た大きな理由の一つであるということは興味深い事象です 。
　その上で、Ken Smithという楽器は、トラスロッドは通例、ネックの全域をカバーすることが難しいのすが、それに対する"非"常識が備わっているのと同時に、弦高の設定をどのように変更しても、適切なリリーフを与えることができる工夫がなされているというネックを持っており、これらが、ネックの安定感や信頼性に高く結びついています。
　カテゴリー化するとしたら、エレクトリックベースと見なされるものですが、コントラバスやチェロ、そのものではないにせよ、多くのオーディエンスに、鮮烈に特定の音色をイメージとして想起させることのできる、強力かつ完成された楽器です。

#870 BT5TNV-CM
　自分自身で使用しているSmithもBT Shepeであり、その独特の佇まいに抗し難い魅力を感じるVintage ShapeのBlack Tigerです。
　文句のつけようと無駄の一切無い、研ぎすまされた完璧なバランスを誇るトーンを持ち、それがアンサンブルの埋めるべき場所を、隅々まできっちり埋めてくれる楽器です。
　粘りと色気のあるサウンドは、その何処も行き過ぎた感は無く、絶妙な立ち位置を、弾き手と共演者、そしてオーディエンスと音楽に常に齎しますが、それは、材料や、ネジの１本１本まで、全てに必然を感じる積み重ねがそうさせているのかもしれません。

#877 BSR6TN-CM
　3pc. Bodyは、5pc.のものと比べて、よりオープンな音質を持つ傾向にありますが、このBlack Tigerでもそれは変わらず、趣味指向によってその良さの判断基準が変わってきます。
　無数に存在している楽器の中でも、最も訴求力を持つものの一つに、Bassがあると考えていますが、その精髄は、重厚さ、荘厳さ、艶、きらびやかさが同時に備わった音であり、Ken Smithという楽器は、それらを凝縮した再生機であると考えています。
　逸脱や破綻の無い確実なクオリティーや、直感的に音楽に集中させてくれるバランスの良さを持ち、場面や環境を問わず、それが何であるか認識することを可能にしながらも、あくまでチームプレイヤーの一員であり続けることができる楽器です。

#875 BSR6EG-TH
　Tiger Maple Topは、今では完全なスタンダードの一つであり、それ自体に目新しさはありませんが、パイオニアとしてのスマートな矜持ゆえ、他との差異を感じさせます。
　長時間の演奏に対してのストレスを軽減する、比較的軽量な楽器であり、その見た目の美しさが、でてくる音色にもそのまま反映されている、上質なMahogany特有の、均質で、低域や中域に遅れがなく、それでいてTiger Mapleとの親和性があります。
　カラッとしながらも唸るトーンは、音量があり、分厚いアンサンブルでも、その良さを十二分に発揮してくれるでしょうし、ゴーストノートにすら弾き手の意思を盛り込め、休符にも、表音と同等の"価"を置くことの出来る楽器です。

#620 BT4TNVF-CM
　たっぷりの溢れんばかりの色気と艶のあるトーンをもったフレットレスです。
　出てくるトーンは、ダブルベースに渾身の力を持って臨んだときのようでもあり、良質の材料特有の打てば響くような気持ちの良さがあります。
　3pc. Bodyは、5pc.よりもオープンであり、Ken Smithの美しいオイルフィニッシュによって生み出されるドライな音色は、それぞれが絶妙なグラデーションとコントラストを形成しています。
　BTシェイプは、ローポジションが相対的にやや遠くなるのは事実ですが、ストラップの長さや座奏時におけるバランスや、もっとも譲れないポイントである、音に関しては、より確実なものとなる傾向にもあります。
　Top & Back共に、端正な虎杢のある上質のCrotch Walnutが使用された、これから長い間残ってく楽器です。

#859 BSR5EGWT-TW / White Tiger Elite 5
　2011年のNew ModelであるWhite Tiger Eliteです。
　White Tigerという呼称は、ここ日本では、Kenが日本市場向けということで限定的に使用しておりましたが、Black Tigerと対をなすかのように、高い評価を得ており、本年より正式にラインナップに加わりました。
　Ken Smith工房は、2009年より、例えばBolt-onを受注生産に切り替えたりするなど、原点回帰とも呼べる動きをみせていましたが、このWhite Tiger Eliteもその延長線上にあり、ある種、今まで積み重ねられて来たノウハウの集大成とも考えられます(EbonyのHead Stockから醸し出される雰囲気を懐かしく思われる方もいるかもしれません)。
　Ken Smithの楽器からは、例えばBodyやNeck材の厚み、採用しているHardware、構造や材のチョイスなどは勿論、ネジやポットのシャフトの長さに至るまで、その全てに意味がありますが、それゆえ、新しいモデルが出て来た場合でも、行き当たりばったりな浮ついた感覚とは無縁の、あたかも10年も20年も作り続けられて来たかのような、強烈な安定を誇っています。
　いついかなる場所でも音楽的であり続ける個性をより分かり易く体感でき、官能的なトーンに溢れた、値段に見合った完璧さという言葉を具現化した楽器です。

#847 BSR4GNF-FN
　エレクトリックベースのフレットレスは、世界でもっとも美しいサウンドを持つ楽器の一つと個人的に考えていますが、この楽器もまさにそういった言葉がぴったりの１本と言えるでしょう。
　Top材の特色を十分に引き出すことのできるMahogany Coreにより中域に特徴があり、Ken Smith特有の音の立ち上がりの速さが良い意味で少し抑えられています。その為、サウンドのピークに達するまでの感覚が、他の楽器ではなかなか得難い、大変気持ちの良いものになっています。 また、大変軽量ながらも、ベースらしい音色を奏でてくれるのも素晴らしいところです。

5pc. Aged Hardrock Maple & Bubingaw/ Graphite Inlaid Bars

ELECTRONICS

#725 BSR6EG-FW
　質実剛健、不要なものは一切持たずに、楽器というものに必要な全ての要素を備えている、見た目の究極的な美麗さや複雑なコンストラクション等、全てにおいて頂点に位置する、他の"高級家具"に成り下がってしまっている存在とは一線をおいた楽器です。
　Claro WalnutとVirginia Walnut Coreの組み合わせによって生じる、エッジの利いたミッドレンジは、始めのうちは、大勢の前で丸裸にされてしまうように感じるかもしれませんが、少し慣れるとアンサンブルやアンプの種類、引いては環境に左右されずに聴こえるということに対する喜びや、快感が生まれ、アンサンブルに於けるベースパートの適切なあり方を教えてくれる、そういう楽器です。
　このスタイルのサウンドは、往々にしてセットアップの幅が広く、低い弦高で軽いタッチのプレイヤーから、高めの弦高で、１音１音を力強く弾いていくプレイヤーなど様々な弾き手に柔軟に寄り添ってくれる傾向があり、音楽におけるあるべき役割をきちっと担うことは当たり前に行い、その上で、フロントの楽器との会話を自身のボキャブラリーによって楽しむことができます。
　バランスの良さから、実際の重量を感じさせない軽さも大きな魅力です。

#873 BSR6EG-QN
　Ken Smithが共通してもっているバランスの良さに加え、軽量ということもあり、長時間のステージでも弾き手に疲れを感じさせない楽器です。
　エンカンブランスの無さは驚異的であり、トーンは、どの弦のどのポジションを弾いてもばらつき無く、あるべき場所に収まっています。
　今でこそ多弦ベースは珍しい存在ではなくなりましたが、実際に完成度という観点で考えてみれば、決して顧客に完全なる満足を与えきる存在は多くないように感じますし、それは第一義的に弦を増やすということに重点を置いてしまっていることによる弊害でしょう。
　Ken Smithの楽器は、パイオニアとしての強烈な自負と同時に余裕を感じさせ、それ依然として他との大きな違いになっているようです。
　堂々としたLow-Bから、朗々と歌い上げるHigh-C弦まで、その全てに"完璧"という言葉がフィットする、手にした瞬間から自分の声に成り代わります。

#869 CR4VEJ-UQ
　BT ShapeにJ945 Pickupsを載せ、Ken Smithのレギュラーポジションではなく、BurnerのPickup Layoutを採用したModelです。
　Western Quilted Maple Coreは、非常に高品質なプレーンさと、深みのあるトーンをもちますが、このBT4VEもまさにそのトーンで満たされており、それに立脚した音楽的な主張を感じます。
　J945を搭載したLacquer Finish Modelということで、他のSmithとはやや異なったおもむきはありますが、アンサンブルにおけるフォーカスされた音色の充実と安定感は、他の楽器では得難い、Ken Smithならではのものです。
　特筆すべき点は山のようにありますが、強いてあげるならば、驚異的なプレイアビリティでしょうか。音楽に集中させてくれる全ての要素を持っています。

#871 BSR5MW-TW
　スタンダードスペック、オプション無しの5MWです。
　Ken Smithは、自分のVoiceの根幹を成している楽器ですが、MやMWという比較的シンプルなモデルを弾いてなお、Head Stockに'S'のLogoが付いてさえいれば、どれでも良いと感じますし、それはより多くの楽器に触れれば触れる程疑いようの無い、堅牢な認識となります。
　Tiger Mapleという材は、見た目の美しさには言及するべくもありませんが、楽器のいかなる部分に用いても、他の要素に制約を与えること無く引き立てるという特性故、十二分にその良さを発揮してくれます。
　またCoreに用いられているWalnutも、現在では同じように非常にポピュラーな材の一つになっていますが、単体での使用、組み合わせての使用において、Ken Smithは、最良の結果をもたらす為の方法論を早くから確立しており、その先見の明には驚かさせられるばかりです。
　各弦のバランスの良さを維持するために、一般的な楽器では、適切なリリーフが要求されますが、それが無くともKen Smithは指板上で全弦綺麗に発音させてしまえるように設計しており、このシンプルな構造のMWには、分かり易い形で存在しています。　

#561 BSR5TNF-CM
　現在では行っていない仕様で特別に製作されたものであり、数多くの楽器を扱わせていただいておりますが、その中でも常にTop 5に入り続けるのが、Black Tigerのフレットレスです。
　他の多くの製作家と異なり、ダブルベースやチェロにも造詣の深いKen Smithの知識やノウハウをふんだんに活かした楽器になっており、もちろん表面的な構造はそれらとは大きく異なっていますが、奥底に存在する共通点を必ずや見いだす事のできるものとなっています。
　この楽器は、3pc. Bodyを持っていますが、5pc.よりもややブライトさの抑えられたこの独特のサウンドを好まれる方も多いかもしれません。
　頂点から裾野までを、余裕をもって、かつ、過不足無く包み込むスケールの大きな楽器のトーンを、よりなめらかなピークを持つFlat Top Pickupが、さらに上質なものへと引きあげているように感じます

#473 BSR6GNF-OW
　予想通りの文句のつけようの全く無い、完璧な楽器です。
　6弦であることを感じさせる事の無い弾きやすさ、バランスのとれたMorado特有の甘く、温かみのある濃厚なトーンなど、最上質たる資質に満ちあふれていることに一切の疑いを与えない楽器で、おそらくはこれに比肩し得るのは同じKen Smithということになるでしょう。
　Ken Smithという楽器は、アンサンブルを邪魔する事は決して無いのですが、はっきりと表出する埋もれないサウンドをもっている為、弾き手はそこに何となくいるという雰囲気で誤摩化す事無く、全ての音に多大なる責任感を持つ必要があります。
　これはプロの演奏家にとっては当たり前のことですが、楽器としても弾き手にそれを常に要求するのですから、自分自身を音楽家として鍛えるにはもってこいの楽器だと言えますし、それは、鋼のような強靭な集中力をも養ってくれます。その結果、今度は逆に弾き手が楽器の良さを引き出すことになり、そこには優れた音楽に臨む理想的な相関関係が間違いなく生まれるでしょう。
　ストレスの無さは、時間を忘れてこの楽器を弾かせてくれ、楽器という存在の中でもその美しさの際立つフレットレスベースの中でもVery Bestと呼べる音色を持っており、それこそPreampはおろか、Volume Potすら取り払ってしまいたい要求にかられるものがあります。

#810 BSR5J-Q
　演奏者に負担を与えない34"スケールを採用しているJazz Bass Styleの楽器の中でも、ここまでちゃんとバランスがとれており、フォーカスされたLow-Bの明瞭なトーンを持つ楽器は他にはあまり無いと断言出来る楽器です。
　ラミネート構造中心のKen Smithの中では、シンプルな作りをしている楽器ですが、その見た目同様の素朴でオープンなサウンドとボディ鳴りが特徴です。
　軽量で、弦の振動がきちんと何倍もの大きさの生音になっていることが分かる楽器で、ピックアップとアンプを経由してもその良さには何ら変わりがありません。
　BSRJは、フェンダーらしさはあるものの、そこはやはりKen Smithの楽器と分かるものでしたが、この楽器に関しては、Alderに近く、その良さを凝縮したようなキャラクターを持っているWestern Quilted Mapleにより、より"らしい"サウンドを持った楽器になっています。
　その為、Alderのサウンドキャラクターと感じられる部分が多々あるものの、肝心なところはきちっと抑えられている、非常にクオリティの高い楽器に仕上がっています。

Classic Hand Rubbed Dutch Varnish
　　　　　over Stradivari Gold Oil (Ken's Secret Sauce)

Gold

#497 BSR7EG-QQ
　Ken Smithの7弦が届くと、いつも持っている楽器のすべてを処分して、この１本だけで勝負していきたいという衝動にかられてしまいます。
　低音楽器の音色は、ダブルベースやバスクラリネットに代表されるように、本来美しいもので、エレクトリックベースのそれも例外ではありませんが、ここまで極まったものは少ないのではないでしょうか。 しかし、かと言って一辺倒ではなく、繊細さや引き締まった筋肉のような洗練され具合など、この場では語り尽くす事ができない程色彩豊かに無限に存在しており、その全てがアンサンブル／ソロのいずれにおいても、弾き手と向かい合っている音楽双方の最も良い部分を表出させる目的で備わっています。
　物理的に大きい楽器ではありますが、一度向き合う事を決めてしまえば、それは気にならないものになるでしょう。
　弾きやすさ、バランス、音、見た目、その他に必要なものはあるのでしょうか？