#423 BR675-LB
　高域にニュアンス溢れ、ベースという楽器にもっとも大切なLow-Midに野太さと、低域には散らないフォーカスされたヴォリュームのある楽器です。その為、力強さと繊細さの同居したトーンを持っています。
　全体的な音量が変わらずに利いてくれるトーンコントロールは秀逸で、これであらかじめ全体の方向性を決定しておく事も可能ですし、逆にこちらを固定でプリアンプを大胆に駆使する方法など、弾き手の求めに応じて様々な使い方が可能になっています。
　弦高はやや高めにセットアップしてありますが、独特のネックシェイプにより、弾きやすさに一縷の不安も感じさせないものとなっています。

#435 BR675-BM
　Whiteピックガードとバインディング、そしてBrooklyn Burgandy Mistの組み合わせが洗練された印象を与えるBR675です。
　このスタイルの楽器では案外珍しい、どちらのピックアップだけで鳴らした場合でも、太く使えるサウンドを持ち、弾きやすいことはもちろん、私の良い楽器である判断基準のいくつかある中の一つであるところの、アンサンブルにおいて聴こえるベースサウンドというポイント、それぞれがクリアされている楽器です。
　E弦もこじんまりとせず、使いやすい適度な暴れがあり、Low-Bも"強い"と表現したような芯をもっており、太いミッドレンジによってダイナミクスの付けやすい楽器になっています。

#489 BR664-SB
　Nordstrand製のカスタムピックアップをはじめとし、随所にその必然性を感じる楽器です。
　試行錯誤の上生み出されたアイディアによってアレンジされたボディや、ネックのグリップは、弾き手を楽器を弾くことではなく、音楽を奏でることに集中させてくれます。
　良い楽器製作を行う為には、それこそ無数の要素がありますが、決して魔法のようなものはなく、練り込まれたコンセプトや取捨選択のセンスは必要であるものの、当たり前のことに真摯に取り組むことが最も重要なことが必要です。
　最高精度を誇る楽器製作技術と、最良のクオリティを持つMaple材は、アメリカでも6年近く、そしてこの日本でも1年半シーズニングを施されたものとなっており、それは、この個体では分かりにくいかもしれませんが、その他の同種の楽器を比べてみれば瞭然であり、これこそが、アンサンブルにおける音楽的な強さや、飽きずに楽器が応えてくれるという感覚の根源となります。

#427 BR664-DB
　長い間自然乾燥を施された良質のMacassar Ebonyと、Quatersawn Mapleによってくみ上げられた安定感のあるネックによって、低い弦高でもしっかりと音が前に出てくれ、また音の立ち上がりも速く、アンサンブルをコントロールするという重要な役割を果たすにあたって大きな力を発揮する楽器です。
　AudereとKSDBRのオリジナルピックアップの相性の良さが分かる1本で、TrebleとZ Modeの切り替えによって、古めのサウンドからモダンなものまでを音楽的に往来することができます。
　また、そのいずれにおいても太く芯のある中域を元来備えている為か、楽器の底力とも言える"強さ"を感じます。

#636 BR615-PB
　非常にバランスのとれた音色をもっており、弾き手の感性を一切邪魔せずに、意図するままに演奏を可能にする、優れた弾き易さを備えている楽器です。
　Jazz Bass Styleの楽器のNeck Pickupだけの音色は、似通ってはいるものの、P Typeの楽器の持つそれと同一視することが難しい場合が殆どですが、ひいき目に見てもその代用として、十分に現場で役割を果たしてくれるであろうサウンドキャラクターを持っています(このBR615に搭載するPickupの設計コンセプトの一つはそこにあります)。
　らしさも十分ありますが、それ以上に楽器として洗練された進化を感じさせることに重点を置いた楽器であり、シャープで切れ味の良いサウンドを基調としながらも、程よい丸みもそなえています。

#640 BR675-BM
　いわゆる音域が広く、スクープされたサウンドが特徴ですが、良い材料から生み出されるベースという楽器に不可欠な中域のパンチと粘りがあります。
　Bridge Pickupの太さは、Jazz Bass Styleの楽器の善し悪しに影響を与えるため、慎重な判断が必要とされますが、このBR675には、僅かに細めのものを用い、それでいて力強さが失われないものを選択しています。
　Low-Bの明瞭さも良好で、34"だからこそできる、究極の妥協点によって生じる均衡があり、これを見抜いていた先人の偉大さを感じます。
　古い楽器は、アタックが遅いとの認識もありますが、本当に上質で、長い間人々に愛用されている楽器は速く、その感覚によって音楽に持ち込まれる何かが有ります。
　このBR675も同種のスピードを持ち合わせており、シャープながらも鯔背なサウンドが特徴になっています。

#422 BR675-LB
　Jazz Bass特有の力強さもあるが、きちんとした、繊細で陰影のあるニュアンスも強調されています。
　Alder Bodyながら、70年代の楽器のニュアンスもある、それぞれの良いとこ取りとも言える感覚を持っています。
　ブリッジピックアップのみでは細く使いにくい音になってしまう場合もありますが、このBRでは、根性のあるサウンドで、音が太く分厚いアンサンブルに負けないようなものとなっています。一方、Neck Pickupは、骨太でらしさのあるトーンで、JB Styleながら、プレベそのものとして使っても何ら問題の無い楽器になっています。
　弾く事の気持ち良さを多分に感じさせてくれる楽器です。

#469 BR664-OW
　60年代の楽器を基調としていながらも、随所にハイエンド楽器ならではの進化と工夫が盛り込まれている楽器です。
　野太くバランスのとれたサウンドは、幅広い音楽やプレイスタイルへの適応力の高さへと繋がっており、その上で、ベースとして求められる力強さに重点をおいたキャラクターを持っています。
　世界最高の良質の材のストッカーより供された安心感のあるネックは、弦振動がボディを通じて弾き手の体にダイレクトかつ、シャープに差し込んでくるため、通常硬いと感じられる国産の楽器では、時間がたたないと出てこない感覚を新品の時点ですでに十分に持っています。

#424 BR615-OW (Matching Headstock)
　明瞭な音程感を伴ったLow-Bがシャープに差し込んでくる楽器です。Nordstrandによるカスタムピックアップと、良質の素材のコンビネーションによって、ニュアンス溢れながらも暴れたパンチのあるトーンを持った楽器となっており、それでいてバランスも良いというものです。
　生鳴りの質感は、新品ながら旧い楽器と共通するものがあり、良いAshの楽器は"ドンシャリ"ではなく、折れないミッドレンジがありながら、レンジの広いトーンを生み出すという事が良く分かります。
　現在主流になっているエレクトリックベ−スは、アメリカで生み出されたものであり、その主な使用者であった人々は世界的に見て大柄で、当然日本人の持つそれとの差を以前より感じておりました。このKSD Brooklyn Seriesは、その点を考慮しボディやネックのバランスをとっており、このスタイルではもっともストレスのない、"日本人の為の究極の5弦製作"は成功を収めたと考えています。

#425 BR615-OW (Matching Headstock)
　 ハイエンド楽器の良さの一つは、ハンドメイドの延長線上にある、確立されたコンセプトによる個性の創出であり、対して、量産品の良さの一つは、安定したクオリティに立脚した、どの個体を選んでも間違いの無い安心感ですが、そのどちらにも配慮した楽器製作というのも、このKen Smith Design Brooklynの設計コンセプトの一つです。
　後者の安定したクオリティは、もちろん一部のハイエンド楽器には存在するものですが、その点のみに特化すると、国産の楽器の場合、どうしても80点ではあるものの、100点という楽器にはなりにくく、 バランスの難しさがありますが、より高い点数を与え、また長い間大きな問題なく使用できる楽器製作の両立が可能であるということは、このKSD Brooklynによって実証できたと考えています。
　楽器製作の難しさの一つに、コストや時間をかければ、それだけで良いものができ上がるということが決して無い、ということです。しかし、経験上、手間をかけるだけの価値ある要素が存在していることも事実であり、 それが何であるかはこのKSD Brooklynによってご理解していただけるのではないかと思います。

#432 BR664-SB
　丸みのあるネックは手にすいつき、持った瞬間に馴染む印象があります。
　Nordstrandのカスタムピックアップと、良い意味で板きれをひっぱたくような感覚のある生音のコンビネーションは、中々得難いもので、古いサウンドを持つ現在の製作技術による安心して使える楽器になっています。
　Audere preampは、この楽器の持つ多様性を十二分に引き出してくれ、粗野なサウンドから、モダンで洗練されたトーンまでを幅広く、それでいて深みのあるものとしてくれています。

#426 BR664-DB (Matching Headstock)
　弾き方によるところもあると思いますが、スラップと指弾きのバランスがとれており、持っている力で弾き手を助けてくれる、そんな楽器です。
　実際に非常に安定したネックを持っているのですが、それが瞬時に分かるようなネックになっており、良い材に起因する恩恵を多分に感じることができます。
　Audere preampのモード切り替えは大変使いやすく、このBR664では、それぞれのモードで明確な差が出るように設定したため、いわゆる１本で古き良きサウンドから新しい現代的なトーンまでを、ただの売り文句ではなく、カバーできるような実力を備えています。
　良く知られている魅力溢れる音色をベースとしながらも、アンサンブルに力を発揮するヴォリュームがあってフォーカスされた中低域は正直素晴らしいと思います。

#433 BR665-LB
　軽すぎず、重すぎずの最適な重量を備えた、バランスの良い楽器です。
　Alderのキャラクターは、Bolt-onの楽器としては最適なものではありますが、その特性とヘッドストックの形状から、5弦の再生に問題を生じる事がありますが、良い材と適切なピックアップの採用によって、それが弱点にはならないということをこの楽器は証明しています。
　KSD BROOKLYNでは、私自身が最適なピックアップをそれぞれの楽器に対して選んでいますが、このBR665では、60年代のピックアップレイアウトのせいもあり、特にその頃のキャラクターが色濃く出ている本質を持っていたため、特にその再生に焦点を当てたピックアップを載せています。それゆえ、粘りもありながら歯切れ良く力強さのある、誰もが知っている良い音がしっかりと再生される楽器になっています。

#434 BR675-BM (Matching Headstock)
　独特なBurgundy MistがMatching Headstockによってさらにそお美しさを際立たせているBR675です。
　やや細めのナット部や、ボディ形状はバランスの良さと、アメリカ人と比べて決して大きくはない日本人のベースプレイヤーにとって最適な大きさになるように設計されており、手に馴染む素晴らしい弾きやすさを持っています。
　KSD Brooklynでは、現在主に２種類のピックアップを採用していますが、このオリジナルピックアップは、Jazz Bassのサウンドを強化しつつ、私が感じるKen Smith等の良さを合わせ持ったものとなっており、VintageのレプリカであるNordstrandのCustom Pickupとは異なる世界観を楽器にもたらします。
　また、アンプの種類によって楽器の音が変わってしまうことは、もちろん自然なことですが、アンプを問わずに常に一定以上のクオリティのサウンドをアンサンブルに供給するとことは、他のハイエンド楽器がそうであるように非常に大切なことだと考えており、その条件も満たすような楽器として設計しています。　

#436 BR675-BM
　古く長期の自然乾燥を施された材によるものか、持ったとき、そして弾いた時の感触に、非常にしっくりくるものがあり、不必要に広がらない、締まった響き方をする楽器です。
　KSD BRの弾きやすいネックグリップによって、通常よりもほんの少しだけ高めにナットを設定することが可能になっており、その結果、張りのある音と、時間の経過によって摩耗するナットの寿命を長くし、結果として修理の少なくてすむような構造にもなっています。
　同一の材のコンビネーションによる665と675ですが、それぞれ違ったピックアップレイアウトを持っており、特にこの675では、その位置による恩恵が音色にもたらされているように感じ、それは特にスラップ時に出てくるようで、狙い通りの、スタイルや見た目だけにとどまらない、きちんと意味のある設計になりました。
　Audereのサーキットは、ピックアップのセレクトを個体ごとに行うという製作過程を持つのこのKSDには欠かせないもので、相乗効果によってPassive楽器のように弦をしっかりとはじいていることを認識させてくれる楽器になっています。