先日、Tower of Powerというグループのライブを見に行った時の事。 かなり人気があるこのグループのライブでは、整理券を求める列がいつも早い時間帯からできあがる。というワケで、いい席をゲットするべく、この日は昼から有給を使って会社をサボる(!!)という暴挙に出たAmandaさん(爆) 14:00に会場へ着くと、すでに20人ぐらいの列ができあがっていた(みんな考える事は一緒だ・苦笑) 整理券配布は15:00から始まる。会社をサボったのが効を奏し(笑)、17番という比較的早い整理券をゲットする事ができたのだが、この後、アタシは4時間近くもの間、1人で時間をつぶさなくてはならなくなった。映画を観ようにも、どの作品も中途半端な時間割でちょっとムリ。どうしたもんかなー、と思っていたが、ライブハウスがあるビルの中に、楽器屋さんも入っている事をふと思い出した。 サックスも置いてあるって広告に書いてあったし、見に行ってみようかなー。 そのお店には、サックスが結構たくさん置いてあった。映画『スウィング・ガールズ』の上野樹里ちゃんがやってたみたいに「うわー、サックスだべ!!」の勢いでガラス越しにジーッと見ていたら、人の良さそうな店員さんがススッとやって来た。 「いろいろありますので、もし気に入ったのがあれば気軽に吹いてみてくださいね」 いつもそうなのだが、楽器にしろ服にしろ、試奏や試着をすると、何も買わずに店を出るのがなんとなく後ろめたい気分になる。それがイヤで、今回も最初はやんわりとお断りした。 「いやー、でも今日はマッピもリードも持ってきてないので」 「全然構いませんよ、こちらで準備できますから」 そこまで言ってくださっているのに、かたくなに辞退するのもカンジ悪いかなぁと思い、結局「じゃあ....」と、誘いに乗ってしまった。 うちのキャンディは日本人(←つまり国産サックス・笑)なので、どーせ吹かせてもらえるなら、「『サックス』と聞いて、まず思いつくメーカーってコレよね♪」というおフランスのメーカー品、セルマーのサックスを吹いてみたい、と店員さんにリクエストした。セルマー製品と言っても、MARKU(マークツー)やMARKV(マークスリー)など、いくつかのモデルがあるのだが、今回はMARKZ(マークセブン)を吹かせてもらう事にした。 「ごゆっくりお楽しみくださいね」と言い残して店員さんはそそっと姿を消し、アタシは防音室でセルマーくんと二人きりになった。早速セルマーくんを試してみた....のだけど、うちのキャンディとあまりにも手触りが違う。音がどうこう言う前に、キーの位置が微妙に異なるのだ。本来あるべきところにモノがないというのは、ヒジョーに気持ちが悪い。「あれ、サイドキーはどこ?」と、ゴソゴソ探してしまうぐらいの違いだった。言い方を変えれば、それだけアタシがうちのキャンディに馴染んでしまったって事なんだけど。やっぱり慣れってスゴいのね。 そんなカンジで、音以外の面で悪戦苦闘していると、さっきの店員さんが再びやってきた。 「吹き心地、どーですか?」 「うーん、すっかり自分の楽器が手に馴染んじゃってるみたいで、なんか違和感がありますね」 「そうですねー。特に初めて持った楽器っていうのは、インパクトも相当なもんですからねぇ」 実際、この店員さんもプライベートでサックスを吹いているらしい。普段はセルマーを使っていて、逆に国産のサックスに興味があるそうな。 「ところでお客さん、ビンテージサックスを吹いた事はおありですか?」 「ありませんよぉ、そんな恐れ多い(笑)」 「MARKYがあるんですけど、吹いてみはります?」 「えっ、MARKY!?」 ジーンズやクルマにビンテージがあるのと同じように、サックスにもビンテージものがある。なんせ古いのでメンテナンスには手間がかかるが、新品のサックスとはまったく雰囲気の違う音が出るという事もあり、世界を駆けずり回って演奏するトッププレイヤーを始め、サックスに深く関わっている人たちの中には、ビンテージを使用している人も多い。 その中でもセルマーのMARKY(マークシックス)と言えば、セルマーの中でも名器と言われるビンテージサックスであり、あのキャンディさんもMARKY愛用者。アタシにとってMARKYは完全に想像上のアイテムだったので、「ゴハン食べる?」ぐらいのノリでサラリと「吹いてみます?」と聞かれ、心底驚いた。そんなもん、アタシが吹いていーのか!? 「それって、アタシみたいなのが吹いてもいいんですか?」 「楽器なんて、吹いて初めて価値の出るもんですから。遠慮なさらずに」 アタシの目の前に現れたMARKYは、他のサックスよりもブロンズ色が強く、いかにもアンティークっぽい身なりをしていた。 「保存状態は比較的いいんですが、ビンテージには変わりないんで、ちょっとカビくさいかもしれませんけどね(笑)どうぞごゆっくり」 以前に蓄膿症を患った事があり、決して嗅覚が鋭いとは言えないアタシの鼻は、楽器に付着したカビなんていう微妙な匂いにはほとんど反応しないので、まーいいやってカンジ(←料理の時にちょっと困るけど・苦笑) それよりもさ!! MARKYだよぉぉぉ!!!! ホンモノだし!!!! 触るよりも前に、まずケータイで画像撮影してるアタシって、いったい何なんだろ(笑) 更に顔を近づけ、まじまじとボディーを見つめてみた。シリアルナンバーは6万番台。キーの形が、うちのキャンディより丸っこくてかわいいカンジ。ふーん、これがMARKYかあ。 そっと手にとって、ちょろっと吹いてみた。中音域が、とろけそうなほどあったかい音してる♪ 以前の持ち主のクセがついているのか、アタシには高音域がちょっと吹きにくかったんだけど、みんなが「MARKYはいいぞ」って言う理由が、なんとなーくわかったような気がした。 でもねー.... せっかくのMARKYで『In The Mood』吹くなよ自分!!(爆笑) その他にも、イギリスで作られたという変わり者セルマーくんも吹かせていただいたりして、めちゃめちゃゴージャスな試奏会を体験しちゃったカンジ。店員さんに感謝感謝、であります。すごーくいい思いしたけど....でも、やっぱり慣れ親しんだうちのキャンディが一番いいや(^^;) その後、ライブハウスの近くにあるカフェに移動した。コーヒー1杯だけでねばる事1時間半(笑)、マイケルJの本を読み、今月のエアロレッスンの振り付けを全部作り終えた頃に、センセイがやってきた。 「ごめんねー、遅くなって。時間つぶしで疲れたんじゃない?」 「それが全然。楽器屋さんで2時間ぐらい遊んでたんです。ビンテージ吹かせてもらいましたよ!!」 「へー、そうなんや」 「画像まで撮ってきちゃいました」 「あ、ホント。これって何のモデルやった?」 「・・・・・・・」 センセイから繰り出される数々の質問に、アタシは半分以上答える事ができなかった(爆) 「.....ごめんなさい。ビンテージを前にしてすっかり舞い上がっちゃって、覚えてません」 Amandaさん、玉砕(苦笑) |