「Dr.Tの総回診です。」
(ちょっと『白い巨塔』っぽいでしょ・笑)



先日、1年ぶりにMiss Candyの調整に行ってきました(←1年もほったからし。この情けなさ・苦笑) 毎回そうなんだけど、調整のプロに見ていただく時ってスゴく緊張します。自分が普段どれぐらい楽器のケアをしているのか、それをマジマジと見られるワケだから、「すみっこにホコリが溜まってたりしたらどーしよー!?」とか、スゴい気になっちゃう(笑)


調整をしてくださるDr.Tは、とても物静かなヒト。楽器店の近くのスポーツクラブに通っているらしく「最近、トレッドミル(=ランニングマシン)でラクに20分ぐらい走れるようになった」と、ボソリと語ってくれました(なんてフツーな世間話なんだろう・笑)そんなDr.Tも、ひとたびサックスを手にするとプロの顔に早変わり。スミからスミまでズズズイと、Miss Cを丹念にチェックしてくださいます。


アタシ、Miss Cが調整されてる姿を見るの、すごく好きなんです。自分の楽器が手入れされていく様子って、なんか興味深いじゃない?なので、調整の時は、いつも近くでその様子をずっと見てるんです(Dr.Tは作業しにくいかもしれないけど・苦笑)


「調整するのって、1年ぶりぐらい?」
「ハイ、そうです」
「なんかさ、買って半年ぐらい?って状態なんだけど....
ホントに吹いてる?
「吹いてますよぉ!! 週に2回ですけど....」
「吹いても30分とか(ニヤニヤ)」
「えー、2時間半ちゃんとやってますって!!(笑)」


ま、裏を返せば、手入れ方法は合格ってコトだなっ(そういう事にしとこう)


ところで楽器の調整作業には、コレと言って決められた道具がないのだそうです。もっとも、穴がちゃんとふさがっているかどうかを見るために、管の中へスティック状のライトを通してみたり、といった定番の調整手順はあるものの、特に「修理や調整にはこの道具を使え!!」という厳しい指定があるワケではないらしい。そのため、Dr.Tも楽器調整に使いやすい道具を独自に見つけ出して使っているんだとか。


その事実が発覚したのは、ホールの形を調整するための道具をDr.Tが手にした時のこと。


「これ、
歯医者さんの道具やねん」
「え、歯医者って、あの歯医者ですか?」
「そ。使いやすいからつこてる。医療器具やし、高いねんでぇ」
「歯医者用の道具を楽器に使ってるんですか?」
「うん。使える道具は自分で探すねん」


へー、そうなんだ!!


「これ、
スイス製
....ドイツ製じゃダメなんすか?
スイスだね


道具の原産国にまでこだわってこそ、真の職人よね(←ホントにこだわってるのかどうかは知らない・笑) ちなみにDr.Tが手にしていたのは、右の画像みたいなヤツです。異物を引っかき出す時に使う探針かなあ?



特に大きな修理箇所もなく、軽い調整で無事に終了。20分ぐらいで済んだかな。他にも、これからやって来る梅雨時期の手入れ方法や、今アタシが練習中の『Take Five』の吹き方(←Dr.Tは、一時期サックスを教えていた事もあったのだそうです)といった事など、いろいろと伝授していただきました。


「発表会とか、あるんでしょ?」
「うーん、まだ出た事ないんです」
「出てみたら? 人前で吹く機会を持つ事で、急に上達する人もいるし」
「でもそれってスゴい緊張しそう。アタシ、レッスンでも緊張するのに」
「人前で踊り教えてる人が何言うてんの(笑)」
「踊るのと吹くの、全然違いますよぉ!!」
「〇〇さん(=センセイ)に言うとくわ。
『発表会出さし!!』って(ニヤ)」
「えー、カンベンしてくださいっ!!」


まるで山村でペンション経営でもしてそうな雰囲気の持ち主でありながら(?)、サックスに対する愛情は人一倍。そんなDr.Tの素朴な人柄を垣間見た、ある日の昼下がりだったのでした。