2005/06/13 2nd stage @Blue Note Osaka アタシの中ではすっかり恒例行事となってしまったキャンディさんのライブ。今回の大阪公演は2日間というショートステイだったのですが、ま、そんな短い期間の中にもかかわらず、なんやかんやといろいろありました(笑) 13:30頃にお店へ到着すると、そこでは既に友人Mクンが備え付けの椅子に座ってメールを打っていた。 「まいどー、何やってんのん?」 「人間ウォッチングしてたから、T(=もう一人のライブ参加者)にその報告メール」 見ると、そこにはこんな事が書かれていた。 『昼前は1分あたり50人ほどだった人通りも、13時を回ると30人ほどに減った。通行人の8〜9割は会社員かOL』 .....よっぽどヒマだったんだ(笑) 整理券の配布が始まる16:00まで、後はもうひたすら待つしかない。アタシ達は、ヒマつぶしのためにMクンが持参した『人生ゲーム』のボードをその場に広げた。アタシの職業はアイドル歌手。結婚せずキャリアアップに励んだその努力が実を結び、後にハリウッドセレブへ転職を果たしたが、実は隠し子がいたという、かなり笑える人生の歩みっぷりである。引退後の資産は約67万ドル。ふふん、なかなかいーんじゃない? その後、まこと麗しき『1番』の整理券をゲットしたMクンとアタシは、同じビルの中にある楽器屋さんへと足を運んだ。以前アタシがビンテージサックスを吹かせてもらったトコロなのだが、その時と同じ店員さんにつかまり(←しかも彼は、アタシがヤナギサワ製のサックスを使っている事を覚えていた・驚)、この日もまた試奏タイムへ突入。ちょっくら試してみたいリードがあったので、とりあえず普段アタシが使っているのとまったく同じセッティングで試奏させてもらった。Mクンも一緒に防音室へ入ったのだが..... 「何か聞かしてもらおか」 「アタシさー、自分が『楽譜がないとまったく吹けない人』やってのが、今ハッキリわかった」 「え?」 「練習した曲、全然覚えてない(爆)」 ついこの前まで吹いていた『Take Five』も、楽譜3段分ぐらいしか記憶に残ってなかったし、『In the Mood』に至っては、イントロの最後で思いっきり吹き間違えてしまい、Mクンは吉本新喜劇なみに派手なコケを演じていた(笑) 「ゴメン、ホンマに覚えてへんし!!」 というワケで、防音室のドアを開けるとすぐ手に届くトコロにあった雑誌を素早く引っつかみ、そこに載っていた『世界に一つだけの花』と、ずっと前にキャンディさんのCDを何度もリピートして耳コピーし、今やすっかり遠い記憶の彼方に追いやられていた『I Can't Make You Love Me』を吹いて間に合わせた。この記憶力の急激な低下ぶり、我ながらビックリである(いかんいかん) もちろん、試奏がそれだけに止まらなかったのはご想像のとおりで(苦笑)、この後は、コーンというメーカーのビンテージサックスやら、ビーチラーの白いマウスピースやらと、すっかりこってり遊んでしまった。 その後はまさに『時間つぶし』な過ごし方。ソニーの展示エリアではAIBOから「オマエ誰や!!」とガンを飛ばされ、あまりのヒマさに1ゲームだけやったボウリングのスコアは70(←そしてMクンは74だった。笑うしかない) ああ、時間つぶしもラクじゃない。 さてさて、肝心のステージだが、ほぼ時間どおりにショウは始まった。アタシ達は最前列中央の席に座っていたのだが、ステージに立ったキャンディさんと目が合うと、彼女はニッコリ笑ってアタシを指差し、パチンとウィンクをしてくれた。うしゃー、これって覚えてくれてたって事!? スゴいぢゃんAmandaさん(狂喜) 白ジャケット&白パンツに身を包んだキャンディさん、まずは気持ち良さげに新曲『Music is Love』をプレイ。ミディアムテンポで歌もアリなこの曲は、今回のセットリストの中でも個人的にアタシが最も気に入っているナンバーである。 「次は私の良き友人、メイシオ・パーカーの曲なんだけど、彼、8月にここでライブやるんだってね」 嬉しそうにそうコメントすると、キャンディさんバージョンの『Quick Step』が始まった。普段アタシって、曲とタイトルを一致させずにCD聴いてるもんだから、曲が始まるまで全然わかんなくて「あ、この曲か」ってカンジ。くはぁぁぁぁ〜〜、勉強不足っっっ(苦笑) 「今回は新曲も古い曲もいろいろ取り混ぜてやるつもり。次の曲は新曲なんだけどね、ウルコ(Gt)とトーマス(Key)が一緒に作ったの。私も一部分だけ作ったかな。でね、みんなの感想を聞きたいの。もし(親指を立てて「Good」のゼスチャーをしながら)『ドウモ』だったら教えて。で、もし(親指を下に向けながら)『Not So Good』だったら.....後で教えて。今はやめてよ、今は!!!(笑)」 というMCの後に始まったのは、新曲『Soul Sax』 タイトルを聞いた瞬間、ものっすごいハードなファンクを想像しちゃったんだけど、フタを開けてみればスムース系のバラード・チューン。そーだなー、バラード好きの(と思われる)ウルコさん&トーマスさんが作ったんだから、ファンクはあり得ないか(笑) その後は、アップテンポな新曲『You are the One』と、前回のツアーでもプレイしたバラード『Finsbery Park, Cafe 67』をメドレースタイルで。『Finsbery〜』の気合いたっぷりな、それでいてまったくリキみを感じない豊かな音に圧倒されたアタシ。「アタシもいつか絶対あんなふうに吹きたーい!!!」と、切に願ってしまった一瞬だったのであります。 「次は私がすごく尊敬してるアーティスト、プリンスの曲。昨年、彼のツアーでこの曲を.....800回ぐらいやった....かな?(と言いつつ、同じくプリンスのツアーメンバーだったチャンス・ハワード(Key)と確認しあっていた)でも、これだけ何回やっても飽きなくてね、いつも何か新しい発見があった曲だな」 おそらくそろそろ900回プレイ記念(?)にでも到達するのかと思われるその曲は、プリンスの最新アルバム『Musicology』からのナンバー『Life of the Party』 アルバムではバッキングボーカルの役を務めていたキャンディさんも、この日はしっかりリードボーカル。なっがーい英語の歌詞を日本人観客に歌わせようと試みるキャンディさんとチャンス・ハワード。彼らが歌いかけてきた歌詞を、聞こえてきたままカタカナで歌い返していた(多分意味はわかってないハズ)オーディエンスは敢闘賞モノだと思う(笑) そして新曲(と思われる)『Brown Sugar』へと続き、最後の曲は言わずと知れた『Pick up the Pieces』 今回はアタシがこれまで体験した事のない「合いの手」(?)が観客から自然発生的に巻き起こり、なんかミョーに面白かった。この「合いの手」って、他の地域ではお約束なのかな.....どうなんどうなん!? 演奏が終わると、速攻で観客からアンコールが起こったのだが、これがまたスッゴイ変なと言うか、奇妙な手拍子だったワケ。『パンパンパン』という早いテンポではなく、『パーンパーン』という、やや間延びした手拍子に『キャーンディ、キャーンディ』という遅テンポのアンコール。これってよくよく聞いてみると...... ろーっこうおろーしに、さーっそーうと〜〜〜♪ 阪神タイガースの応援歌『六甲おろし』とまったくテンポが一緒だったりする。あいたたた(笑) 「Thank you very much. 次の曲は、ずっと前に日本でちょこっとヒットした曲なんだけど、私と同じ年代ぐらいの人だったらきっと知ってるかな。22〜3歳あたり.....」 ニヤっと笑って言うキャンディさんに、アタシは面白がって「What!?」とツッコミを入れてしまったのだが、その声がまた見事にピーンと場内に響いてしまった。 あ、アタシ、やっちまった.....ぐははっ そう思っていると、キャンディさんから速攻ツッコミ返しをくらってしまった。 「Hey, You're supposed to be my friend!!!!(笑) Listen, she's my friend, but she said "WHAT!?!?"」 ........スンマセン、ついつい(苦笑) しかしまぁ、もはや『Sax a Go Go』抜きにこの人は語れんですな。ライブでこの曲やってくれなかったら、ものっすごい消化不良になりそうな気がする。 「One more?」の声に観客が反応すると、ホンマに最後の曲である『Here it is』がスタート。ここでは途中からキャンディさんが男性、チャンス・ハワードが女性の観客をステージに引っ張り上げ、 「みんな、『アムステルダム・シャッフル』って知ってる?オランダのダンスよ。最初に私がやって見せるから、あとはみんなでやってみて。一番ウマかった人にカクテルおごりね」 と、気がつけばそこはすっかりダンス・コンテスト会場へと早変わり。『アムステルダム・シャッフル』って、めっちゃカッコ良さげな名前ついてるけど、言ってみればホーンセクションがライブでよくやる簡単な動きですわ。それをみんなでワーワー言いながらやってたんですが....ステージに駆り出された連れのTクン、ものすご楽しそうでした(笑) そんなあっつい雰囲気の中、全セットリストが終了。かなり楽しませてもらったってカンジ♪ で、その後...... プリンスのバンドメンバーというよしみで今回の来日が決まったと思われるジョン・ブラックウェル(Dr)とトークをしているうちにすっかり出遅れてしまい、キャンディさんのサイン待ち列に並ぶのが最後になってしまった。でも、いちばん最後って、後を気にしなくていいから結構オイシかったりする(笑) 「Ik ben blij te ontmoeten!!!」(←「I'm Happy to meet you」の意) 「Ik ben blij ook!!」(←こんなカンジで言ってたような気がする....スンマセン、100%聞き取れなかった) いきなり蘭語で先制攻撃をしかけたアタシに、キャンディさんは面白がって応戦してくれた。 「今もマラソンやってるの?」 「うん、やってるよぉ」(すげー、マジで覚えてくれてる!!) 「ホノルルとかNYとかでしょ?」 「ホノルルだけね、毎年」 「そっかー。あのね、楽屋に花が贈られてきたんだけど、見に来ない?」 そう言ってスイスイッと歩いていくキャンディさんの後ろを、慌ててバタバタとついて行った。ドアを開けると、そこはまず控え室。ズラっと並んで一同にくつろいでいたバンドメンバーとスタッフの視線が一斉にアタシへ注がれた。「Hi, everybody. She's my friend. She speaks Dutch!!」とキャンディさんに紹介されるや否や、みんなは「ハーイ」と手をヒラヒラ振ってくれた。 うっ、うわっ!!! なんじゃ、この眩しいオーラは!?!? 一瞬たじろいてしまったが、しどろもどろになりつつも「Ik studeer Nederlands(=I study Dutch.)」と、とりあえず蘭語でアピってみた(笑) さらに歩を進めると、その奥が楽屋になっていた。ふんわりとした柔らかい照明に包まれたその部屋は、移転前のブルーノートの楽屋とは比べ物にならないぐらい広々とした、居心地の良さそうな空間だった。ちょうど『Live in Amsterdam』のジャケット写真として載ってる楽屋みたいなカンジ。大きな鏡台には、さっきまでハイテンションで頑張っていたサックス、そして中央のテーブルには、厚底のサンダルや衣装が無造作に置かれている。 いかにも楽屋ってカンジ!!! キョロキョロと周りを見渡し、デカい声で「うーわ、広っっっ!!!!!」と一人で叫んでいたところに(アヤシい人みたい・笑)、両腕にスッポリサイズの大きな花束を持って、キャンディさんが奥から姿を現した。 「これ、カワイイでしょ」 「へー、わざわざ送ってきたの?」 「そう、今回は見に来れないからって」 「ふーん、そうなんだ。マメだねー」 彼女、たいそう喜んでおいででした。そうよねー、いち日本人ファンが楽屋宛てに花束って、あんまり贈ってこなさそうだし。 「アタシからもプレゼント、はい」 「あ、新しいアルバム!!」 前回のライブから恒例になりつつあるプレゼント―――ライブの時に撮った写真を、次の来日時にアルバムにして渡す―――を差し出すと、すぐにその場で封を切ってくれた。 今回はちょっと趣向を変え、表紙に「扇子」の形をしたお守りを貼り付けてみた。もちろん、扇子がどうして縁起のいいモノとして扱われるのかという説明も添えておいた(意味を理解してもらえる方が嬉しいしね) 前回のライブで撮った写真を始め、アタシが昨年ハワイで撮ったサイコーにおバカな写真や、遊び気分で貼ってみたミッフィーちゃんのシールに、英・蘭語交じりでコメントをつけ、ちょっとしたおもちゃ箱のような内容に仕上げたそのアルバムを、彼女は楽しそうに一枚ずつめくってくれた。どうやら英語も蘭語もちゃんと意味が通じたみたい(ホッ) 「明日も来る?」 「うん、2ndセットにね。今日の連れのコ達も一緒」 「じゃあまだ『サヨナラ』は言わなくていいわけだ」」 「そうそう、『Tot morgen』(=See you tomorrow)ですわぁ」 「そんじゃさ、明日ステージ上がる?」 踊り好きのアタシが、そんな誘いを断るワケがない(笑) 「マジっすか!? うんうん、上がりたい!!!!」 「オーケー、チャンスに言っとく」 そんな超クールなお約束と、彼女の暖かいハグをいただいて、みなさんに「Tot morgen」を言いながら楽屋を後にした。 今回のプレゼントに貼り付けたお守りだが、実は同じようなお守りつきアルバムをトーマスさんとウルコさんにも作っていた。お守りは3人とも違うモノで、トーマスさんには箕と小槌、そしてウルコさんには七福神。 このプレゼントを作る過程で、アタシ自身すごく勉強になった。蘭語はもちろん、箕や扇子を英語で説明する事が自分にとってどれだけ難解な事かを、痛いほど思い知らされたワケで。インターネットや、英語で書かれた日本のトラベルガイド、『英次郎』、電子辞書などなど、使えるものは最大限に使い倒し、なんとか形にしたってカンジ。そもそもアタシ、今回のアルバム作りを通して、初めて箕の意味を知ったぐらいだし(無知すぎる・苦笑)もっと日本のことも勉強せなあかんな、と、マジメに思ってしまったAmandaさんだったのでした。でもまぁ、これでみんなが喜んでくれるんだったら、頑張って勉強もできるってもんです。 店を出てケータイをチェックすると、2日目のライブに参戦なさるセンセイから『盛り上がってますかー? 落ち着いたら連絡ください』と、メールが入っていたので、その場で電話を入れた。 「もしもし?Amandaです。スミマセン、夜遅くに」 「ぜんぜん。今、大丈夫?」 「ハイ、今さっき楽屋から出てきました」 「え?」 「楽屋から」 「.........なんと」(笑) 「厚底サンダルとか、置いてありました」 「厚底?背ぇ低かったっけ?」 「いえ、そうでもないですよ」 って、なんのハナシだこれって!!(笑) .....しっちゃかめっちゃかなハナシのまま、2日目のレポに続く....。 |