ライブレポート
Candy Dulfer and Funky Stuffの巻



10/10/2003(Fri)
2nd stage
at Osaka Blue Note



大阪公演二日目の朝、起きると首が痛かった。ここ数日で何か首をいためるような事をしただろうか?しばらくあれこれと考えをめぐらせてみた。


「....そうか、昨日か」


前日のライブで、どうやら私は首を振りすぎていたらしい。いつも「ライブをした次の日はムチウチのように首が痛くなる」と言うセンセイを
「首振りすぎですよぉ、あはは」と冷やかしていたバチが当たったのかもしれない(苦笑) 


この日、私達は8名の大所帯でライブに参戦した。例によって最前列のテーブルをゲットし、私達は準備万端でライブに臨んだ。よりによってほぼ全員が調子のいい(!?)踊り好きな人間であったため、もしや収拾がつかなくなるのではないかと思っていたが....
案の定、である(苦笑)


このレポートでは、セットリストに沿ってライブの模様をもう少し詳しく書いてみようと思う。一曲目は、Average White Bandのカバーナンバー『Pick up the Pieces』 本来ならこの曲はホーンアンサンブルでの演奏がお約束なのだが、今回はキャンディさんのサックス1本だけ。今考えてみると、かなりの冒険だったんじゃないかとも思うのだが、いつもはノリノリなパーティ・チューンが、ややジャズっぽい色を出していて、ちょっぴりアダルトな雰囲気の『Pick up the Pieces』だったように感じた。


次は、最新アルバムに収録されている『Finsbury Park, Cafe 67』 このブルーノート・ツアー中に、全米のスムース・ジャズ・チャート(←言いにくい。「発音しづらい!!」と言うキャンディさんもステージ上で一回
かんでた・笑)で1位をゲットしたという嬉しいオマケがついた曲である。


「次の曲は、ウルコのギター・ソロがあるの。それからもちろん、アタシのサックス・ソロもあるわよ、ステキでしょ(ニヤリ)」と、ちょっと笑いを取ったところで演奏がスタート。CDでは、ボサノバっぽいミディアムテンポの曲調なのだが、今回のライブでは全く違ったバラード・アレンジになっていてビックリ。これがまたスゴくイケてて、アタシもしかしたらCDバージョンより好きかもしれない。ウルコさんとキャンディさんのアドリブ合戦が、すごくオトナな雰囲気を醸し出していて、とても聞きごたえのある一曲でした。


「アタシ、この曲を演奏するのが大好きなの」という次のナンバーは、最新アルバムから『Freak Out』 ちょっぴりラテンのスパイスが効いたミディアムテンポの曲。この曲では「頭の中で声が聞こえるの もうどうにかなっちゃいそうだわ!!」という歌詞が呪文のように何度も繰り返される....聴いてるうちに、こっちがおかしくなっちまいそうだ(笑) 


ここからの2曲は、私達の本領が遺憾なく発揮される(!?)ダンス・チューン。曲の雰囲気がなんとなくジャミロクワイを髣髴とさせているような気がする『What's in Your Head』を境に観客が立ち上がり始め、ハウス内は一気にヒートアップ。


曲が終わってからいったん席に座ろうとする観客に向かって、「ちょい待ち、次もダンスナンバーなのよね〜」と、けしかけてくるキャンディさん。だんだん観客もキレ始めてきた(!?)のか、歓声や踊りっぷりも次第にハデになってくる頃である(笑) 斑尾でもかなり盛り上がった『Let Me Show Your Love』なんて、ほぼロックだね。ここまで来ると、うちの踊り好きメンバー達も黙っていないってなもんで(←こわー) とにかく踊るわ飛び跳ねるわの大騒ぎ。ダルファー・オフィシャルサイトで
「最前列のダンスチームはスゴかった」という書き込みをされたのも頷けるってか(苦笑)


「ちょっとクールダウンしよっか。踊り疲れたでしょ?」(笑)


そんなコメントの後に続いたのは、最新アルバムの最後の曲である『Lost and Gone』 これまでとはガラリと雰囲気を変え、とても温かくてムーディなサックスの音色が心地よく響く。その後は、清らかにサラサラと流れるようなトーマス・バンクのキーボード・ソロと、情熱的で力強いウルコ・ベッドのギター・ソロ。音が優しく体に触れるような心地良さを感じつつ、うっとりと聞き入っていました。


「次で最後の曲なんだけど、アタシと同い年ぐらいの人なら、この曲を知ってるかもね。みんな21歳でしょ?」
「え......う、うん、そうかな」


一瞬答えにつまった観客達を見て、キャンディさんは肩をすくめた。


「はいはいわかったわかった、白状するわよ。アタシ、
ホントは23なの


それでも結構サバ読んじゃってるキャンディさんに、客席からドッと笑いが起こった。


あえてタイトルがコールされずに始まったのは、イントロだけでそれとわかるほどすっかりお馴染みになった『Sax-A-Go-Go』である。ここからは完全に雄叫びと乱舞の世界(どんなんやねん) ステージ上と観客が互いに触発しあい、テンションが再び急上昇していくのがわかる。最前列のテーブルに足をかけて吹きまくるキャンディさん、めちゃワイルドでカッコ良かったですわぁ。私の椅子も
見事に踏んづけられちゃったし(笑) 


踊りまくる(←実際には、踊ってんだかなんだか、もうワケわかんなくなってます・爆)Bさんと私に向かって、キャンディさんが近づいてきた。彼女はこちらに向かって「かもんべいべー!!」の合図を送ってきた。なんだろ?と思っていると、キャンディさんの視線の先に、テーブルの上に置かれたバブルサックスがある事に気づいた。


あ、そっか。なるほど!!


すかさずバブルサックスを引っつかみ、同じカッコで
3管プレイ(もちろん、Bさんと私は音が出せませんが・笑)これってアリ? なんかスゴくない!? 「なんちゃってホーン・セクション」作っちゃったぜおい!!!


そのままキャンディさんはステージを降りて客席へなだれ込み。テーブルに置いてあった割り箸を片手に持ち、
グラスをドラム代わりに叩くキャンディさんに、観客がゴーッと湧いた。調子ノリな我が友、Sクンが空のグラスを差し出すと、キャンディさんは割り箸でそのグラスをキンキン叩き始めたではありませんか。


なんだこのミョーな一体感は!?


もはやすっかりおかしくなってしまった(!?)観客一同。演奏が終わった後も興奮覚めやらぬ雰囲気の中、拍手の嵐が続く。アンコールの曲は、昨年のダルファー・ライブや斑尾ジャズ・フェスティバルでも演奏された『Impressions』 これはもともと40年ほど前の作品で、ジョン・コルトレーンのナンバーがオリジナル。本来はどこを聞いても生粋の「ジャズ」な楽曲なのだが、見事なほど現代風のクラブ・スタイルにアレンジされていた。初めて聞いた時、「ジャズとクラブ・ミュージックって意外に合うもんだなあ」と、ジャズに対するイメージがガラッと変わったものである。


この日はキャンディさんの体調も少しは良くなったのか、無事にステージ後のサイン会も行われた。総勢8名の我がグループを目にするなり、キャンディさんは
「You're great dancers!!!!!」と大笑いしていた。


「Hi, again!! みんな友達同士?」
「そーだよ、踊り好きばっかり(笑)」


昨日のステージ後に「喉の調子が悪い」と言っていたので、この日の仕込みモノ(笑)は、黒糖のど飴や、寿司をかたどった飴などの「のど癒し」系グッズ。特に「食べる前に目で味わう」という日本の食文化を如実に現した寿司型の飴には、「わ、何これ!? 寿司みたい!!」と、楽しんでいただけたようだった。


そして私は、それらの仕込みモノと一緒に一枚のグリーティングカードを差し出した。


「喉の調子が良くないって言ってたから、もしよかったらコレ、試してみて」
「なになに?今見てもいい?」
「どうぞぉ」


英会話は何とかなっても、私は英作文が大の苦手である。つたない英文しか書けない自分が恥ずかしかったが、そんな事は気にしない様子でキャンディさんはサラリと目を走らせた。


「これホント?」
「うん。アタシ、いつもやってたし」
「そうなんやー。これ、アタシ好物だから、早速買ってやってみよっと」
「そっか、良かった(ホッ)」
「Amanda、明日はどっちに来るって言ってたっけ?」
「明日もセカンド(ステージ)に来るよ」
「じゃあその時に、この秘伝の効果を見せたげる(ニヤリ)」
「ふふふふ、覚えとく(笑)」


そのカードには、私が高校の合唱部時代に先輩から伝授してもらった「喉の調子が良くなる方法」を書きこんだのだ。実際に私がこれを初めて試した時、イヨーなほど調子良く演奏できたもので、それ以来、「これをやらなきゃ調子が出ない」などと、
半ば願掛け(と言うか強迫観念?)のように実行し続けてきたワザである。ワザと言っても、せいぜい150円出せば簡単にできるようなものだけど(笑)


その後、我がダンス隊(←と、勝手にひっくるめてしまった)とキャンディさんとで団体記念撮影。なんて騒がしい一行なんだ、アタシ達って....。余談だが、我がダンス隊の一人が「サインください」と、『Dulfer! Dulfer!!』のCDを差し出すと、キャンディさんはニヤニヤと笑いながらサラッとペンを走らせた。


「はいどうぞ」

返ってきたCDには、彼女のサインの他に
「For sexy dancer」などというイケてる(!?)ひとことが書き添えられていた。


よっぽど嬉しかったのだろう。それ以来、彼は何かにつけその事を引き合いに出し、いまだに彼にとっての武勇伝となっている(笑)