[1.6 順位決定法]

 

 1位を決める、つまり参加者の中で1番強いものを決めるのならトーナメント

戦方式が最も簡単で、しかも参加者の不満も少ない。しかし、実際には1位だけを

きめる大会は意外に少なく、上位2名、3名などを選ぶ大会や、全順位を決める

大会も存在する。しかし、これをトーナメント戦の結果で決めるのは不満が大きい

だろう(明らかに公平でないし・・)。

 全順位を決めるには総当りリーグ戦があるが、実はこれで全順位がすんなり決ま

るわけではなく、よく同率順位が存在する。この場合の順位決定法は厄介だ。まあ、

こういう場合はあえて決める必要がないことも多いのだが、例えば3位までを絶対

に決めなければならない大会で、3位に同率で3名並んだ場合などは厄介だ。

 ここでは @トーナメント A総当りリーグ Bスイス式トーナメント/リーグ

の3つについての順位決定法を考えてみよう。

 

(1)トーナメント

 まず、優勝者が1位であることは問題ない。また、2位には準優勝者が選ばれる事

がほとんどである(実はこれは正確ではないのだが、参加者の不満は少ない)。

問題は3位以降である。

 まず、ベスト4のうち決勝に進めなかったのは2名だが、2名とも3位として待遇

する場合がほとんどである。仮に順位をつけるとしたら1位に敗れた側を3位、2位

に敗れた側を4位とするのだが、実際にはどうしても3位が必要な場合は3位決定戦

(一種のプレーオフ)を行なって決める場合がほとんどである。そうすれば参加者も

納得するし、いずれにしろ空きがあるわけだから時間の問題もない。

 同様に5位〜8位も、4人とも5位とするか、1位〜4位に敗れたものに自動的に

つけられるようにする(5位を決めるケースというのはめったにないのであまり考え

なくて良いだろう)。以下の順位も同様である。

 

(2)総当りリーグ

 この場合には全員が同じ試合数を消化しており、成績がつく。しかし、同率という事

がありえるので、1位ですらすんなり決まるとは限らない。しかも、プレーオフを行な

おうにも時間がない場合が多いし、場合によっては(3名同率の場合など)プレーオフ

の方法でもめることになる。

 同率だったら同順位にしてしまったほうが良いのだが、1位を決める大会に同率者が

いる場合などでは到底不可能だ。

 そこで・・以下の方法が考えられる。

(a) 仮順位の高い(低い)ほうを上位にする

   R点を採用している場合などではこの手もあるが、事前によく了解を得ておかない

と参加者の不満が高まるだろう。それに、今回の大会の成績以外の要素が順位に絡む

のはあまり好ましいとは言えない。

 (b) プレーオフを行なう

   同率者が2名のときは問題ない。しかし3名の場合などはプレーオフの方法で

もめる可能性があるので、これも事前によく了解してもらう必要がある。

さらに時間の都合でプレーオフが行なえない場合もある。

 (c) 同率者の対戦結果で決める

   総当りリーグであるため同率者は今回の大会で対戦済であるから、これも事前の

  了解を得ておけば不満は解消される。しかし、3名以上の同率者がいた場合、かなり

  ややこしい方法をとる必要がある。

   3名以上の同率者がいた場合は以下のようにする。

  (c-1) 同率者同士の対戦結果で決める

     例えば3人同士の結果が @2勝 A1勝1敗 B2敗 となっていればすん

なり順位が決まる。また、4人同士の結果が ()2勝1敗 ()2勝1敗

()1勝2敗 ()1勝2敗 となっていた場合は()()()()よりも上位

であることが決まり、さらに()()()()の結果ですべての順位を決め

ることができる。

  (c-2) 同率者の内容比較で決める

     3人が3人とも1勝1敗の場合や5人が5人とも2勝2敗の場合もある。この

場合には「内容」で決める。

     例えば将棋の大会であれば「手数」というものがあり、短手数で負けたほうが

    大差で敗れたことになる。したがって、敗れた手数の長い者を上位とする。

 

 以上の方法で総当りリーグのすべての順位を決定することができる。

 

(3)スイス式トーナメント/リーグ

 これはトーナメントと総当りリーグの中間をとったような方式で、全員が同じ数の対戦を

行なうが、しかし総当りではないという方式である。

 対戦相手は「その時点での同成績者」となるため、負けのない段階ではトーナメントと

同様の結果が得られる。これで組み合わせの運に関わらず2位以下も正確な結果が得られる

と期待されるが・・実際にはほぼ確実に同率者が現れ、順位決定でもめることになりやすい

方式である。しかも、この方式を使う場合、プレーオフを行なう時間が取れない場合が多い。

 この場合総当りと違って「同率者の対戦結果で決める」方法は使えない場合が多い。同率者

が対戦済とは限らないから。

 そこで、スイス式の場合は独特の順位決定法が使われることが多い。

@ 敗れた相手の成績(簡単には勝ち数)で決める

  自分を負かした相手の成績が高いほど上位になるわけだ。これで同率の場合は・・

A 勝った相手の成績(簡単には勝ち数)で決める

  自分が勝った相手の成績が高いほど上位になる。この場合複数いる場合が多いので

 (a) 勝ち数の合計 (b) 勝ち数の上位から順に比較

 などのバリエーションがある。

 

 @Aでたいていの場合は順位が決定するが、それでも並んだ場合はくじ引きなどで決め

る場合もある。まあ、くじ引きはともかく、実はAも運しだいである。なぜなら負けた相手

は士気が下がっていることが多いので、すでに上位進出の可能性がない場合は実力を発揮

できるとは限らないからである。一方、上位同率者の側は、自分の順位が下位者の消化試合

の結果にかかっているので、スイス式の最終局では時々妙な光景がみられる事がある(笑)。

(例えばA氏とB氏が同率上位者であり、C氏がA氏との対戦、D氏がB氏との対戦で敗れ

 ている場合に、最終戦でC氏とD氏が対戦するとする。C氏とD氏には消化試合だが、

 A氏とB氏にとっては自分の順位がかかった代理戦争ということも・・)

 

 

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