躾 の 話
躾の話をする前に知っておいて欲しい事があります。
犬の精神面の成長についてです。
その年齢に経験しておかなくてはならないこと、乗り越えなくてはいけないことなど全く人間と同じです。
やり残したことがあればそれは一生しこりとして残ってしまうかもしれません。
犬の心の成長を見守りその時期にあった方法をとれば躾はそれほど難しい事ではありません。
犬を迎え入れる年齢ですが、最近は特に幼くなっているようです。
私の考える理想としては生後2ヶ月以降、出来れば70日くらいからにして欲しいと思います。
生後2ヶ月くらいまでは母犬の元で学ぶ事がまだあります。
最初の躾は母犬が行います。
犬同士によって行われる躾は全てが理想的です。
その最初が母犬でその後も何歳になっても犬同士の躾は的確で確実なものとなります。
人間の躾は人間流を犬に押し付けることになり、これは犬にとってはショックが残ります。
私は時々、犬流の躾をしますが不思議な事に犬はあまりショックを受けません。
「三つ子の魂百までも」ということわざがありますが、この三つ子という年齢は犬の場合は生後4ヶ月くらいまでを言います。
そして生後3ヵ月半から4ヶ月くらいに第一反抗期が来ます。
自我に芽生える頃です。
それまでは比較的素直に飼い主の言う事を聞いていた犬が突然飼い主の言葉を無視したり反抗したりいろいろなイタズラをしたりすることがあります。
そしてこのような行動は甘やかした事が原因と考え急に厳しく躾をしようとする飼い主さんがいますがこれは間違いです。
躾の失敗の多くはこの辺にあります。
生後4ヶ月くらいまでは子犬の様相にただ「かわいい、かわいい」と甘やかして、反抗期を迎えた頃に急に厳しくするのは全く人間の勝手で犬は被害者です。
犬の躾の基本は「待て」です。
私は生後2ヶ月頃に待てを教えます。
この時の「待て」は厳密で正確である必要はありません。
「世の中には自分の思い通りにならないこともあるんだ」ということを教えるだけでも十分です。
遅くても生後4ヶ月までに「待て」を知っているかどうかでこののち躾の手間暇は大きく差が出ます。
オス犬の場合は片足を上げてオシッコをする頃に第二反抗期が来ます。
オスとして目覚めるわけです。
この時期までにある程度の躾を済ませておかなければ、この後飼い主さんは苦労をすることでしょう。
メス犬の第二反抗期は明らかなものは確認していません。
この点が「メス犬の方が飼い易い」と言われる理由の一つかもしれませんね。