週末はHoney moon U

written by 薪原あすみsama


二人は晩餐を済ませシャワーを浴びると、早々に寝室へと向かった。

そこでランディが急に、ルヴァから入れ知恵…もといアドバイスされたという『夜の

営みについて』の術を語り始めたのである。

「ワタシに負担をかけないやりかた?」

「…座ったままで、あなたが俺の足の上に…その」

説明しにくいのか、気恥ずかしいのかランディは口篭もりながら説明する。

「ああ、要するに後背座位ね」

あっさりと体位の名前を口にするオリヴィエに、ランディは顔を赤くして頷いた。

「はい……」

「でも、あんたその方法だと顔が見えないからヤダって前に言わなかったっけ」

あれは確か、関係を持ち始めてすぐのことだった。

自分を背後から抱き締めながら愛撫していたランディの気をそらすまいと、

オリヴィエが自らその態勢を取ろうとしたのだが…。

ランディはそれを拒み、オリヴィエを正面から抱き直したのである。

「そ、それはそうだけど…でも俺は」

言い出したら聞かないこの青年の気質を良く理解しているオリヴィエはとりあえず

ランディのやりたいようにさせることにした。

「はいはい。あんたの思うやり方で、ワタシを気持ちよくして」

そう囁きながら、オリヴィエは解き掛けたバスローブの紐をランディに差し出す。

夜の時間への幕を開けるための――――。




いつもは熱っぽいほどに激しいランディの愛撫は、今日に限ってやけに優しかっ

た。

別に不満はないのだが、壊れ物を扱うような抱き方に少しだけ疑問を感じた。

そんなにヤワじゃないつもりだし、こんなことは言いたくないがランディに比べれば

経験は豊富である。

気を使ってくれるのは嬉しいが、ちょっと違うような気がした。

「……あ」

それでも、快楽の沸点には少しづつ近付いている。

「オリヴィエ…」

肌にこぼれる吐息が熱い。

ランディの方はすっかりその気なようだが、オリヴィエはもう少しだけ刺激が欲し

かった。

「もっと…ランディ」

オリヴィエがそう求めても、ランディは羽根でくすぐるようなやわらかい愛撫を

止めない。

「ン…もうっ!」

身体を重ねるタイミングがずれては、意味がないのだ。

オリヴィエはランディの頭をぐっと寄せ、自分の胸に抱き込んだ。

ランディの歯先が、オリヴィエの尖った乳首を甘噛みする。

……たったそれだけでも、オリヴィエは身体の奥が発火するような錯覚を感じた。

焦らされたからこそ、かもしれないが…それでもまだまだ足りなかった。

唇を求め、深く合わせながら小さな情火を大きな炎へと煽る風を待つ。

ランディもさすがに限界が近付いたのか、もうなりふり構わずオリヴィエに触れた。

行為の時に常用している潤滑剤を用いて、オリヴィエの肉の蕾を和らげる。

「は…っ、あぅん…」

オリヴィエはランディにしがみつきながら、髪を振り乱した。

やがて、すっかり綻んだ蕾に…ランディの逞しい肉刃が挿し込まれる。

向かい合ったままのその態勢が、いつもと何ら変わらないことにオリヴィエは

気付いていたが…この期に及んで盛り上がっている気分に水を差す気にはなれ

なかった。




寝台の上、寝転がるオリヴィエはランディの持参したワイン片手にすっかり寛いで

いた。

「…………」

一方のランディは、複雑な表情で枕を抱え込んで寝台に腰掛けている。

「何拗ねてんのよ」

「…拗ねてませんよ」

その声音のどこが拗ねていないんだ、と問い詰めたかったが…それだけは

かろうじて抑えた。

「あの状況で、体位変えられる方が負担かかるわよ。キモチにね」

「…………」

誰かに指南される行為など意味がない。

お互いの心と身体が求め合うのならば、それでいい。

自制のきかないことに自己嫌悪しつつ、オリヴィエの言うことも決して間違いでは

ないと感じたランディは…観念したのか自分の分が注がれたワイングラスを手に

取った。

「ねえ、このワイン…蜂蜜みたいで甘くて美味しい」

オリヴィエの言葉に、ランディはころりと表情を変えて誰かからの受け売りの薀蓄

を語り始める。

「このワイン、葡萄を日干しにしたような状態にしてから樽に漬け込んだものだそ

うです。太陽の光をめいっぱいに浴びた葡萄の粒は……」

窓から見える蜂蜜色の月が、そんな二人の長い夜を見守っていた……。


<Fin>






COMMENT by 薪原あすみsama


バカップルですみません。



(管理人コメント)

あすみさんに、「コメント何かありますか?」と聞いたら、「バカップルですみません。とだけお願いします(笑)」という返事が返ってきたのでホントにそれだけ乗せてみました☆(笑)
いやぁ〜っ、幸せですね! バカップル!
夜の営みを充実させるべく頑張るも、結局いつもと同じやん……というのはとっても風夢らしいエピソードかと(笑)。私の風夢の認識って(^^;)。
んもう、ランディかわいいぞ!

なにやらヴィエ様も少々カワイイ感じに仕上がってる気がするのは、どっかの運だけ少年(笑)が出てくる某ゲームの影響があったりします……?(笑)
アレ、ほんとに風夢ですよねぇ(笑)。ヴィエ様性格ちょっと(?)違うけど、白ランだし……(スウィ〜トヴィエ様v)。

(03.01.25UP)





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