「For the FUTURE」
written by 彩sama
季節はちょうどクリスマスシーズンを迎え、街はイルミネーションできらめいている。 歩く人々もどことなく華やいでいる。 そんな街角のビルの屋上に2つの人影。 ウキウキしているオリヴィエを横目に 「どうしてこの時期に結果報告の調査にきたかやっとわかりましたよ……」 とランディ。オリヴィエがあら、と聞き返す間もなく 「クリスマスだから、オリヴィエ様、これ見るのが目当てだったんでしょ!!」 その剣幕に一瞬たじろぐオリヴィエだったが、すぐにいつもの調子に戻る。 満足そうに街並みを指差し、こう言う。 「でも、結果オーライだったね♪ あんたのチカラ、バッチリ効果でてるじゃん」 「まあそうですけど……」 ランディもまんざらではない様子で街を眺めている。 「さて、調査もこれくらいでいいか〜。今回のご褒美にプレゼントしたげる。 何がいい? 私も買いたいものあるし……あの店でいいかな?」 「え〜〜またあの店ですかぁ〜〜」 「なんかトゲがあるねぇ、その言い方」 「も〜〜大変だったんですよ! オリヴィエ様は聖地に帰ってからまたすぐに出かけてしまったけど、 あの後すぐに俺がオリヴィエ様にネックレスをプレゼントしたって噂が広まって……」 「え〜噂じゃないよ、ホントの事じゃん。なんか問題あったっけ?」 ランディ、ガクッとうなだれる。 「……恥ずかしいから誰にも言わないで下さい、って約束したじゃないですか〜〜」 「でも誰が言ったんだろうねぇ?」 「オリヴィエ様でしょ?」 「私だっけ?」 「そうでしょう」 「そうかな〜??」 「だからそうなんですってば!」 「ああ! そうかも、そうかも。そんなことあったかもね」 「あったかもね、って、オリヴィエ様〜〜」 埒のあかない会話をしつつも、足はこの前の店に向かっている。 「ハイハイ、もう機嫌直して」 キイ……とドアマンがドアを開けてくれると 店の中からフワッと暖かい空気が溢れて2人を包んだ。 中央の吹き抜けには大きなツリーがキラキラした電飾をつけていて、 クリスマスソングが流れている。 この時期にはどこの店でもプレゼントを選ぶ人でごった返している。 誰かにプレゼントするのを考えている人達の、とても幸せそうな表情。 みんななんだか楽しそう。 「なんかワクワクしちゃうよね」 かなりご機嫌のオリヴィエの後を仕方なくついてきていたランディも ようやく暖かい空気にほだされ じゃあ、何をプレゼントしてもらおうか、なんてことを考えながら店内を歩く。 「まだあった〜! これとおそろいのヤツ」 オリヴィエは着けてきたネックレスをコートの上に引っ張り出して ショーケースと見比べている。 そういえばこの前プレゼントしたものには指輪もお揃いであったっけ……高いけど。 あれを買うんだ。 大切にしてくれているのがわかってランディは少しホッとした。 そしてあっという間にオリヴィエは自分のサイズを選び出し、もう包んでもらっている。 「ランディ、なににするか決まった?」 「え〜とですね……」 「あ、でもここには銀製のフリスビーなんてないからね〜〜」 当たらずとも遠からず。 オリヴィエにそう言われて、もう一度店内を眺めてみるランディ。 いつのまにか外では雪が降り始めていた。 <Fin>
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「シアワセの種を蒔こう」
COMMENT by 彩sama
もし今なにかに迷ってたり悲しんでる人がいたら、 ぜひ勇気をだして、希望へのファースト・ステップを踏み出してほしい と思いながら書いた話でした。 二人が降り立った場所は、ニューヨーク。 書いてから数ヵ月後、悲しい事件があの地を襲いましたが 今こそ、この二人のチカラで、 たくさんの人が「一歩」を踏み出してほしいと思う今日この頃です。 (管理人コメント) |