Sunset Dream

「ん、キレイな夕陽☆」
 回廊をゆっくりと歩きながら、夢の守護聖オリヴィエは満足げな笑みを浮かべた。空
を眺めるのはもともと好きだが、聖地の、この夕焼けを眺めるのはまた格別だ。自分が
夢の守護聖であることを誇りに思う一瞬でもある。
 ……なんて、ジュリアスが聞いたらびっくりするかな、ふふっ。
 白い柱の一つに手をかけて立ち止まり、沈みゆく夕陽を見送るオリヴィエの瞳がいた
ずらっ子のようにきらりと輝く。濃いブルーの色彩は夕焼けの空を反射して、これから
やってくる夜を予感させる深さだ。聖地で、いや全宇宙で一番美しく鮮やかな金髪は、
この時刻だけは赤金にきらめいて流れる。
「ぎゃあっ!」
「……おい、なんて色気のない声を出してくれるんだ」
 そんな黄昏のヴィーナスを後ろから羽交い締めにしたのは、夕陽よりも赤い髪をした
宇宙一の伊達男、炎の守護聖オスカーだった。
「あんたがおどかすからでしょーが。──ちょっとぉ、いつまで抱きついてんのさ、あ
つっくるしいねっ」
「かわいくないヤツだな」
「はなしなさいったら! ジュリアスが来ても知らないよ!?」
「ジュリアス様ならルヴァのところでお話中だ」
 もがくオリヴィエをやすやすと腕の中に封じ込めて、オスカーが余裕の笑みを浮かべ
る。鼻先で揺れる金の髪からこぼれる香りがオスカーのいたずら心を刺激した。
「────ぅんっ」
 いきなり腰骨を掴まれて、オリヴィエが鼻にかかった声をあげた。びくりと身体がし
なう。
「ちょ、っと! オスカ……っ!」
 腰骨の横のくぼみ、オリヴィエの弱いところの一つだ。そこを的確に刺激する親指は、
オリヴィエの身体を知り尽くしている。
「今夜、俺の館に来ないか? 美味そうなウォッカが入ったんだ」
「えっ!?」
 ぐぎぎぎと渾身の力を込めてオスカーの手を引き剥がしにかかっていたオリヴィエが、
耳元で囁く魅惑の低音ヴォイスにぱっと力を抜いた。その嬉しそうな声があがったタイ
ミングにオスカーは呆れて、捕らえていた身体を解放する。
「おまえなぁ。……俺の誘いよりウォッカに反応するヤツがあるか」
「なにさ、ウォッカで釣ったのはあんたじゃない」
 女性の扱いなら天下一品のオスカーにも、このヴィーナスはなかなか落ちてくれない。
だがそこがまた魅力的だと思うのだから、困りものだ。
「仕方ない。今夜のウォッカはうわばみのヴィーナスに捧げるとするか」
「あんただってヒトのこと言えないでしょ」
 長い髪を後ろに払いのけて、オリヴィエが歩き出した。
「ねぇ、たまには歩いて帰ろうよ。夜へと移り変わる空を眺めながらのお散歩ってのも、
いいモンじゃない?」
 肩越しの提案に同意して、オスカーも一歩を踏み出した。家路への一歩、そしてパー
トナーとの気の置けないひとときへの一歩を。
                                             fin.



こめんと(byひろな)     2000.9.24

やっと!念願の!?炎夢をUPすることができました〜♪
いっや〜、壁紙が良いの見つかんなくて苦労したのよ〜。
結局リヒトに無理難題言って作らせて、それを勝手に加工して(いや、本人の了承は得たよ) できあがったのでした。
このお話は、ちーやんさん(@QUEEN ANGE)の超幸せそうなイラスト見て、
こーゆうふたりが書きたい!!……と思って書いたのですが、はてさていかがでしょうか?
しかし、聖地は広いんだぞ、歩いて帰れるのか!?……てなギモンは、この際無視しましょうね(苦笑)。

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