星の護り



 白亜宮の城下街は、その日、常以上の活気に包まれていた。

「ティムカ様、万歳! 国王陛下、万歳!」

 民たちの声が、若き王を出迎える。

 ティムカは彼らに軽く手を振り返してやりながら、あれからもう一年近い月日が流れたのだと、改めて実感していた。



「ティムカ様……。女王陛下より、こちらの品が」

 宮殿に戻ったティムカを待っていたのは神鳥をあしらった封緘のなされた手紙と、手のひらに納まるくらいの小箱だった。

「陛下が、これを僕に?」

 呟いて、急ぎ自室に戻ると手紙の封を切った。少女めいた愛らしい文字が並ぶ書状は、確かに女王陛下自らがしたためたものだ。目を通し、最後の追伸を見た途端、墨色の瞳が大きく見開かれた。息を呑み、慌てて小箱の包みを解く。現れたそれを見て、ティムカは感嘆のため息をついた。

「すごい、なんて綺麗なんだろう……」

 それは、金の神鳥をモチーフにしたアミュレットだった。神鳥が輪を形作るように翼を大きく広げ、その中に青い星を模した宝石を抱いている。両の羽の触れ合う先には小さな赤い星が瞬いていた。

「メルさん……」

 愛おしむようにその名を呟き、手のひらに包んだ小さな神鳥を抱きしめる。女王陛下からの手紙には、そのアミュレットは女王試験と宇宙を救う戦いとをともにした仲間の一人、火龍族の少年・メルの手によって作られたものだと書かれていた。ティムカの誕生日に届けてくれとの言付けとともに、龍族の星に戻ったメルと聖地との連絡役を今も務める王立研究員のエルンストに託したらしい。

 目を閉じるとすぐにその姿を思い浮かべることができる。炎の色をした鮮やかな髪、同じ色のつぶらな瞳、笑うとのぞく八重歯も、その笑い声も。ただ一度抱きしめたときの細い肩の感触も。

「メルさん、ありがとうございます……」

 ティムカさんの守る星に、いつでも女王陛下のご加護がありますように。僕はいつでもティムカさんの幸せを祈ってるよ。

 込められた想いを受け止めて、ティムカは墨色の瞳に笑みを浮かべた。



                                    fin.   



こめんと(byひろな)     2002.9.28

ティムカ様のお誕生日(9/20)、わかってはいたけど祝ってる暇ないだろうな……とか思っていたんですが、でもティムメル書きたくて。仕事場で、お昼休みにがーっと書いてメールフォームから送信(笑)。
ティムメルです。なにげにティムカ様のBLカプではイチオシだったり(爆笑)←いやマジで。
メルメルのBLカプでは、ランメルと迷うところですね……。でもティムメルかな?

ティムカ×メルでは、トロワティムになってもティムカさんイイヒトです(イイヒトってアナタ(^^;))。腹黒になったりはいたしません。そりゃあ一国を預かる王ともなれば、それなりの処世術は身につけねばなりませんが、性根はちゃんと純粋なイイコのティムカちゃんのままです。
そしてとっても立派な王様になって、歴史にその名を残すのです。もちろん、生涯の伴侶として、公私にわたり賢王・ティムカを支えた占い師として、火龍族メルの名も刻まれます。──という、壮大な(?)歴史を頭の中で思い描いています。超大マジです、私。
この二人なら、互いを愛し合い慈しみ合うような想いをね、見せてくれると思うのですよ〜。それにそれに、二人とも肌の色が濃いめなので、白いシーツに映えてとっても綺麗じゃなかろうかと。ああ〜想像しただけでも大興奮です、腕が疼きます!(笑)
ああ、早く書きたいな。ティムメルの歴史。




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