湯上がりマルちゃん


   case1 ── ランディの場合

「いいにおいがするね。──オレンジか、おいしそうだ」
「食べてみる?」
 くんくんと鼻を鳴らすランディに、マルセルは右腕を掲げてみせた。え、とランディの
動きが止まり、直後に顔が真っ赤になる。その反応にマルセルは、自分の言動の意味に気
づいて同じくらい赤くなった。
「ちょっと。──やだランディってば、何考えてるのさ……」
「そんな……、マルセルがあんなこと言うからじゃないか……」
 二人して真っ赤になってうつむいたまま、時間だけが流れていく。
 やがて、少し低く掠れたランディの声がマルセルの名を呼んだ。ぴくりとマルセルの肩
が揺れる。
「マルセル……、さわってもいいかい……?」
「…………うん……」
 そっと伸ばされた手がマルセルの指先に触れた。温かい手に包まれて、その感触にマル
セルは思わず手に力を入れランディの手を握り返していた。
「んっ……ランディ……」
「マルセル……」
 囁きを間近に感じ、反射的に目をつぶる。あたたかな息が唇にかかり、そっと口づけら
れた。
「マルセル……行こう……?」
 小さくうなずくと、ランディはマルセルの手を握ったまま、寝室のドアへと歩き出した。


                              お・わ・り♪



   case2 ── オスカーの場合

「いいにおいだな。──オレンジか、うまそうだ」
「食べてみます?」
 眼を細めたオスカーに、マルセルは右腕を掲げてみせた。オスカーは一瞬真顔になり、
けれどすぐにニヤリと笑ってマルセルを抱き寄せる。
「ずいぶんと大胆な誘い方だな」
「え? ──あっ」
 ごく至近距離でアイスブルーの瞳に見つめられて、マルセルの頬は湯上がりのせい以上
に熱くなる。
 そんなことはちっとも考えていなかった、オスカーも承知のはずだ。からかいの光を浮
かべた眼差しがそれを物語っている。
 くいと顎を持ち上げて、軽く唇を触れ合わせる。それだけでもうマルセルは何も抵抗で
きなくなってしまう。
「フッ。それじゃあお言葉に甘えて食べさせていただくことにしようか」
「オ、オスカー様ッ」
 慌てるマルセルをひょいと抱き上げて、オスカーはそのまま寝室へと入っていった。


                              お・わ・り♪



   case3 ── ゼフェルの場合

「なんかいいにおいすんな。──オレンジか、うまそうだ」
「食べてみる?」
 マルセルの胸元に視線を走らせたゼフェルに、マルセルは右腕を掲げてみせた。え、と
たじろぐようにゼフェルの肩が揺れる。その頬に赤みが差したのを見て、マルセルはぺろ
りと舌を出した。
「なんてね?」
「な……っ」
「なんで赤くなるのさ?」
「!? てめ、このっ……!」
 伸ばされた手をすり抜けて、首を傾げてマルセルが笑う。恥ずかしさと怒りに顔を赤く
したゼフェルが追いかけた。
「ゼフェルのえっち」
「てめ……っ、男がエッチでどこが悪い!!」
「ちょっとゼフェル、そんなこと大声で叫ばないでよ」
「知るか!」
 細い手を掴んで引き寄せる。すみれ色の瞳が驚きに見開かれるより先に唇を塞いだ。
「ヒトのこと挑発した責任とれよな」
「……挑発された?」
「ああされたぜ思いっきりな。──覚悟しろよ……」
 そのままゼフェルはソファへとマルセルを押し倒した。


                              お・わ・り♪




こめんと(byひろな)    2000.10.25

にゃはは〜。お遊びでございます。(^O^)
詳しくは「惑わせないで守護聖様」を見ていただくとして。
……いかがですか?(笑)
えっと、case3のゼッくん編は蒼月リヒト様(笑)のサイト【オレ様至上主義】にて
マンガでも楽しむことができます♪
もしかして、さーくる【犬☆ネコ☆うさぎ】発足して以来の、初めての活動ってヤツ……?(笑)



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