LUNA SEA 〜誰も見たことのない場所へ〜



去年の暮れ、ひとつの偉大なるバンドが解散しました。
結成した当初から、常に一番解散に近い場所にいたバンド。けれど、だからこそ解散とは縁のない場所で自分たちの道を走り続けてきたバンド。
   LUNA SEA
この、『PreciousPlace』のコーナーを作ったときには、まさかこんなコトになるとは思いもせず、そしてこのコンテンツに辿り着く前に、彼らはもう同じひとつのバンドメンバーではなくなってしまったけれど。もう、LUNA SEAとして、の新しい音を聞くことはないけれど。今でもやっぱり彼らが好きです。彼らが僕にくれたものは計り知れない。

基本的に音楽がないと生きていけないタイプの僕が、中でも好きなのは「ロック」と呼ばれる音楽です。そのことを、身にしみて感じたのは、やはり彼らの音を通してでした。そして、なにかの「叫び」を感じる曲が好きなのだと改めて教えてくれたのも、彼らです。BGMには向かない。いや、BGMになんかできない。気軽に聞ける曲が流行る中で、覚悟して聞かないととてもじゃないけど聞けないような音。そういうのが、好きです。
ルナシーの音楽は、まさにそういう曲。新しいシングルが、アルバムが出て、CDを買いに走り、手に入れたそのディスクをどでかいスピーカのついたコンポに入れて再生ボタンを押す。一瞬の摩擦音に身震いする。そして聞こえてきた音に、打ちのめされる。──そんなことを、もう何度くり返したのだろう。そして、もうどれくらいそんな想いをしていないのだろう。最近の僕は、すっかり音楽を聴かなくなってしまって、音の波に揉まれて息が出来なくなりそうな高みに登りつめて降りてこられなくなりそうな苦しさを心地よく感じることもなくなってしまって。ああ、だめだなぁ、と思います。感じることを恐れちゃいけない。でも、感じることをやめてしまうのはもっといけない。分かっているけど、心を掴んで揺さぶり落としてくれるようなものに、近頃の僕は出会えないでいます。
────ああ、だめだな。感傷的にならないように、としばらくこのコーナーの更新を見合わせていたのに。やっぱりだめですね(苦笑)。ものすごく独りよがりな文になっていることでしょう。見苦しいでしょうけど、それだけ僕が彼らを、彼らの音楽を、彼らの生き様を愛していたのだと、今でも愛しているのだと言うことを、だた叫んで知らしめたいのだなと思って、知らされてください(笑)。
そう、彼らの音楽が好きなのは勿論、彼らの生き様自体も、大好きです。ものすごく、影響を受けています。自分に自信を持つこと、誇れる“何か”を持つこと。愛する何かを持つこと。妥協しないこと、信じ合うこと、諦めないこと。……苦しみや悲しみの果てに、必ずあるものを信じて進むこと。
特に、彼らのコメントの中で「こいつ、すげぇ!」と思ったのは、ベーシストのJ(ジェイ)君の台詞でした。「死ぬときに、『ああ、あれやっときゃ良かったな』とか後悔したくない。どうせ後悔するなら、『ああ、やりすぎた〜!』って後悔したい(笑)」って。なんてヤツでしょう! なんてかっこいいヤツなんだ。さすがは足が折れてても松葉杖でステージに上がって、しかもその足でマイクスタンド蹴り飛ばすだけはある(笑)。かっこいい、と思った。一生ついていこう、と思いました。そう、ロックが好き、と言うのを思い知らされたのも、彼・Jのソロワークを聞いて、でした。5人の中で一番好きなのはサイドギターのINORAN(いのらん)なんですが。INOのソロワークはもう、ものすごく格好良いんですよ。ソロアルバムなのに、本人2曲しか歌ってないって言うね。いや、そこがかっこいいんじゃなくてね勿論、曲のひとつひとつが、もう、ものすごいんですよ! 僕の貧困な語彙ではとても言い表せないので、もう、ぜひとも聴いてください!としか言えません。天使の歌声もかくやと言うくらいの、透明な音。黙々とギターを弾く姿と笑顔のアンバランスが魅力的。その幼なじみのJは、対照的にパワフルで重いベースを弾く男です。音楽のルーツは、やっぱりハードロック。HR、HM、僕もロックを聴き始めたのは何とツェッペリンからなので、一番音楽の好みが近いのはJなんだなと確信しましたね。
彼ら5人は、それぞれ5つのものすごいバンドを作れる男たちです。それが、何を好きこのんでわざわざ5人でひとつのバンドをやっていたかというと、「誰も聞いたことのないような音楽」を作るため。誰も成し得ないくらいの、高みに行くため。自分たちにしかできないことをやる、と言うのが、常に彼らの目標であり、望みであり、僕らが虜になったところです。
本当に、彼らにはたくさんの素晴らしいことを教えてもらいました。
もう、さらに格好良く新しくなった彼らの音楽を聴くことはないけれど、彼らは音楽やってないと生きていけない人達だから。また、今度はそれぞれの道を歩きながら、綺麗な音を、涙するくらいの感動を、聴かせてください。
どうもありがとうございました。

2001.4.6     written by Hyoga Aikawa


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