小説 〜僕の小宇宙〜



きっとおそらく今の精神状態でこれを書くのはとっても素晴らしい感じになるんじゃないかと予感しながらそれでも書く、とっても自虐的なアイカワヒョウガ(苦笑)。
だけどあるイミ一番“素”の相川が現れるかなという気もするので。
よかったら、僕の独り言にお付き合いください。

以前にもどこかで書いたかも知れないけれど、最初に何か物語らしきを書いたのは、確か小学校3年生の時。クラス担任の先生に、毎日のように、詩とか童話もどきとかを書いたノートを渡して、読んでもらっていました。その頃はただ単純に、自分のためだけに書いていたように思う。
中学の時は、それこそアタマ割れそうになるほどいろんなことを考えていたけれど、それを文字にして書き表そうというのは考えてなくて。中三の時にひとつの小説に出会って、人生が変わりました。小説というか、その小説を書いた、ひとりの人に。彼女との出会いがなかったら、今の僕は生きてはいない。僕自身の生命活動が終わってしまっていたかも知れないし、生きていたとしても、まったく違う僕が、いたかも知れない。──たぶん“相川氷牙”という名前を持つ人(今これを書いている相川ではなく、ひとつの物語の登場人物としての“氷牙”)が、僕の心の中に突如として現れたのは、彼女との出会いの、予兆のようなものだったのかも知れないと、今では思います。だって、“相川氷牙”っていうのは、それくらい、彼女の物語の中に出てくる某スーパーヒーローくん(笑)に似ていたから。つか、僕の中では順番は逆なんですがね(“氷牙”との出会いの方が先だから)。

高校時代、彼女の小説を始め、たくさんの小説を読みました。一月のお小遣いのほとんどを、新刊を買うためにつぎ込んで。必死に生きてる彼等の物語を読みながら、こんな風に、誰かに生きる力を与える話を、書きたいと思った。つか「負けてらんねぇ」と(笑)。
その時具体的にそう思ったんじゃないけど、たぶんそういうこと。“誰か”と言うより、おそらく“僕自身”に。生きろと。必死で生きろと。精一杯。誰か、自分以外の誰かとか、未来の自分とかに、主張をしたかったんじゃないかと。そんな利己的な理由で書き始めたのかも知れない。何も考えず、とりあえずワケのわからない衝動だったのかも知れない。
高校2年、なしくずしに入ることになった文芸部で、筆名(ペン・ネーム)を聞かれて、口が勝手に「相川氷牙」と名乗っていた。性格は全然違うのにね、むしろ正反対に近いです、“氷牙”と僕は。
そして書いた、『夢売りの館』。そこから、相川の歴史はスタートしています。
高校時代に読み漁り読み耽った物語たちの影響か、ファンタジーが好き。異世界の設定とか剣と魔法が好きなんではなく、今自分の生きている、日常生活と違うところにあっても“変わらないもの”が、好きなんじゃないかと。たとえば大切な人。諦めたくない夢。抗えない過去。失えない情熱。誰に何を言われても、何が何でも、大事なモノは大事にしたいよ、そんな想いで僕はお話を書いています。カッコイイ言葉で言うなら永遠のテーマ。言葉を選ばず言うなら僕の我が儘。

僕の書く物語の登場人物たちは、相川の分身であったり、または到底なり得ない・けれどなりたいと願う理想の姿であったりします。たぶんね。ひとりひとりについて、そこまで深く考えてみてはいないけど、多かれ少なかれ、そんな部分はあるんじゃないかと。そして、誰の心の中にもある、弱い部分・強い部分の、体現ではないかと。
みんな一生懸命生きてるんだよ。僕の心の中だけじゃなくて、紙の上だけでもなくて。たぶんね、どっかの宇宙で、実際に彼等は生きてるんじゃないかと思ってしまうくらい。僕はおそらく、その片鱗を覗くことを、たまたま許されただけなんじゃないかと思うくらい。
【Super Selfish Space】は、我が儘勝手に僕が書きたい物語を書き散らす場であると同時に、彼らが生きる、人生という物語の舞台でもあります。
この中にはたくさんの星が、物語がある。夜空に瞬く星々と同じく、ここから見える色も明るさもそれぞれ違う。
数え切れない人の中から運命の誰かと出会うのと同じように、数え切れない物語の中から、誰かの心に出会う物語が、この宇宙の中から生まれるかも知れない。誰かの心を照らす太陽になるかも知れない。誰かの光を受けて、誰かの心を癒す月の光になるかも知れない。
そうなったら、いいな、と思います。
自分のためだけに書く物語はさみしい。自分のためにはなるけれど、それだけでは、さみしい。夜の街角で誰にも聴いてもらえない歌を歌うのと同じだ。薄暗い狭い部屋の片隅で後ろめたさを抱えながらの自慰と同じだ。終わった後には虚しさしか残らない。そんなのが欲しいんじゃない。そんなんじゃ、生きてるって言えない。どうせ自分のためなら胸を張って自分のために書きたい。それができないなら僕は書かない。
自分のためだけじゃなくて、誰かたったひとりでも、僕の物語を読んで、生きてて良かったと思ったり、諦めていたことをもう一度がんばろうと思ってみたり、誰かにやさしくしたくなったり、──そんな風に、心に灯りをともすことができたら、それだけで僕は、「生きていて良かった」と、思うことができるのです。そしてまた、次の物語を、綴ることができるのです。

宇宙が広いのと同じくらい、人の心も広い。その中に潜む、願いもたくさん。
いろんな色の、いろんな形の、いろんな温度の、星があります。想いがあります。
僕にできうる限りの力を尽くしてたくさんの星を指差していくから、彼らの願いに、その生き様に、耳を澄まして、目を凝らして、心を開いて、受けとめてあげてください。何か感じたら、手紙を小瓶に詰めて、頭上に広がるひろい海に、流してあげてください。
(つかつまりはこんなアイカワですがよろしくしてやってくださいと・笑)


2003.5.19     written by HYOGA Aikawa


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