渇愛

飢えが止まらない
「満たされていない」と 魂(ココロ)が叫ぶ
おさまらない焦燥感のように
溢れるいらだちのように
渇望している
「愛」に
誰かに「愛されること」よりも
誰かを 何かを 「愛すること」に
この身ちぎれるほど求めるものを欲している
いつまでも追い続けたい 手に入れたいと望む 何かを
「この人がいれば何もこわくはない」と
そう思えるほどに想う誰かを 求めている



 VAMPIRE

  きっと もう僕は狂ってしまったのだろう・・・

何をしても満たされない 喉が渇いてたまらない
わかってる この飢えの正体は
君がいなけりゃおさまらない

あぁ 麗しい 愛しい君よ
僕に近づいてはいけない この血に飢えた化け物に
きっと今の僕は君を引き裂いてしまうから
だけど、あぁ 愛しい君よ
同情でいいから
ほんの少しだけでいいから
僕のことを好きでいてくれるのなら
どうかその手で 抱きしめてくれ
どうか 君に 口づけさせて



 Lucifer

「綺麗だな・・・」眩しそうに目を細めて彼はそう言った。
キレイなんかじゃない。これ以上醜いものはないぐらいに汚れているのを、僕は知ってる。心も、体も。
彼に出会うことが出来なければ、僕はきっとあのまま朽ちていっただろう。
 彼を、手に入れたかった。
 彼のものになりたかった。
 体を開いて彼を受け入れたかった。
彼は、僕を手に入れた。──僕は、彼を手に入れた。
彼の灼熱に包まれて、包み込んで、何度も気絶するような至福を味わった。
すべて失ってもいい。このまますべてが夜に溶けてなくなってしまえばいい。彼も僕も、ひとつになってしまえばいい。
祈るような瞬間は、けれど終末を迎える。
静かな夜明けに浮かぶのは、
  引き裂かれた身体を横たえて ゆっくりと腐っていく 赤黒い血にまみれた   僕のい翼





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