私の山道具

 初めて買った山用具、ハッキリとは思い出せません。山靴やザックではなく、厚手の山用靴下?おぼろげな記憶です。 夜間高校に通っていた時、仲間に誘われ、お付き合いで山行に参加していました。 クラスの仲間と行くときは、勤務先の仲間からキャラバンシューズとザック等を借用、勤務先の仲間に誘われると、クラスの仲間から借りていました。 ある日、悪友が山道具を買いに行くというので、私も一緒に、案内された店は秋葉原のニッピン、初めての山道具店でした。
 水道橋の夜間大学に通っていた頃、一時限目休講の時は、立食の“富士そば”へ、かけ蕎麦に安いトッピングを一品、ささやかな楽しみでした。 それから、登山用具専門店“さかいや”さんに直行することが殆んどでした。 現在とは違い、当時の“さかいや”さんは一店舗のみ、旦那さんが縫製、奥さんが店番という自家製のザックや衣類がメインの店で、カラフルな製品が隙間なく天井まで展示されていました。 金銭的に余裕のない私は殆んどウインドーショッピング、いつしか顔なじみに、私の場合ほとんどの商品が○○価格だったと記憶しています。


半世紀前の道具と最近の道具

 物置の奥に捨てられずに残された古い山道具。↑ハーケン類・カラビナ・ハンマーなどの登攀用の道具、 錆びついたハンドメイドのピッケル、箱入りの10本爪タニ・アイゼン。 頻繁に使っていた8本爪アイゼンと雪渓用エックス型アイゼンは残っていませんでした。 ハンマーは現在金槌として使用、ピッケルは錆を落とし少し綺麗になりました。 鍛冶職人さんが丹精を込めて作ったであろう10本爪アイゼン、私は購入者として、一度も山で使わなかったことに罪悪感を感じていました。 急な山行なので新しいアイゼンが用意できなかったこともあり、2019年10月末の北岳稜線で、この古典的なアイゼンを付けて歩いてみました。 雪上をアイゼンで歩く軋む音、アイゼンで歩く喜びが脳裏によみがえってきました。 2020年、ピッケル・アイゼン・カンジキを購入し入笠山や北横岳で雪山歩きを楽しみました。 冬の雪山歩きは、初心者コース限定です。
↓アイゼン・カンジキ(雪山ラッセル用)・ストック(ラッセル用・大型リング付)・ピッケル・ヘルメット。


ザック(バックパック backpack)

 人類初の八千米峰登頂は1950年フランス隊のヒマラヤ・アンナプルナ(8,091m)です。 その時使用されたザックは、MILLET(ミレー)が開発したナイロン製のザックでした。 私の若い頃、ミレーの一本締めアタックザックは皆の憧れの的、大変高価(1$が\360の時代)な登山用品で、私には手の届かないザックでした。 (1969年5月5日の写真にの一本締めアタックザックが写っています。多分、神田さかいやさんのミレーに似たザックです) 満56歳で山に復帰、2003年(平成15年)軽登山靴とゴアテックスの雨具購入、2004年MILLETピスコ50L、2005年MILLETカング30L、念願のミレーのザックを初購入!しました。

過去に使用した主なザック↓左から
●2004ミレーピスコ50L(紺色系)、 使用頻度が少ないザックでしたが2011年涸沢で破損しました。
●2005ミレーカング30L(赤色系)、 2012年内側のコーティング剥離使用不可に、ミレーといってもフランス本国での生産品ではなく、made in C…耐久力の少ない残念なザックでした。
●コールマンデイパック(水色)、 近所のコールマンアウトレットショップで見つけた薄いナイロン製、紫外線で変色後も角が擦り切れるまで使えた優れものでした。
●マウンテンダックス23L(赤)、 見た目が良く安価でしたが、背中の汗が水分となり中の荷物に吸い取られる構造?1~2回の使用で引退した残念なザックでした。
●2011年オスプレー50L(グリーン)テント泊り用、 アメリカのオスプレーブランドは少々高価でも、他のザックと比べ、本体の重量が軽いことと、 エアスピードサスペンション(背中の蒸れを防ぐため本体と背中に空間を作るシステム)が気に入り選びました。 快適で使いやすいザックでしたが、私の場合チェストベルトとウエストベルトの柔らかさというか、貧弱さに違和感があり、 ザック全体が不安定に感じることが多く馴染めませんでした。また軽量化によるものか?生地の変色・劣化が早いように思われました。
●2012年オスプレー34L(黒)小屋泊り及び日帰りの用、 一時期頻繁に使っていましたが、傷みが早いように感じられました。

↓左から
●ドイター フューチュラ 22L(オレンジ) 四国で出会った登山者の有難い情報でドイツのドイターブランドを知ることに、 試しに買ったドイター フューチュラ 22L(オレンジ)は当たりでした。オスプレーと同様、背中にパネルがあり、チェストベルトとウエストベルトは硬め、 生地もしっかりした感じ、本体重量が多いことを除けば、今迄出会ったザックの中では最高だと思いました。
●22Lでは、衣類の多い冬場には無理なサイズだったので2016年ドイター フューチュラ 28L(赤)を追加しました。 2019年、南アルプス南部四泊五日小屋泊りで使いました。 私の場合、ビバーク用品も含めた必要最低限の装備をパッキングの基本通り隙間なくビシッと、比較的小さ目のザックに詰め込むのが好きです。
●2019年、テント泊用にドイター フューチュラ プロ 36L(紺色)を購入、入笠山1泊・塩見岳2泊しました。 (一般的なザックの容量、日帰り20~30L、小屋泊30~45L、テント泊50~60Lですが、 アライテント・ホームページ・軽量装備の夏山テント山行のススメでは、35Lのザック2泊3日10kg以下の装備例があります)
●2021年3月ドイター フューチュラ 26L(黒)、旧モデルを定価の半値で買いました。 中に鉄アレーなどの重りを入れ、わざわざ遠くのスーパーマーケットまで買い物に、現在(2021年6月)まで山での使用がありません。 “街歩き歩荷(ボッカ)ザック”呼んでいます。(本来の歩荷の意味と異なるけど!)


テント(tent)

 若い頃はテント(ツエルト)泊まりが主、小屋泊まりは希でした。 山小屋宿泊の利点は少ない装備で山歩きが出来る、中高年向きだと思っていました。 近年は、第二次登山ブームとかで登山者が増加、有名な山小屋では横になるのがやっと、寝返りが出来ない状態で、睡眠不足になることが多々ありました。 そして、自分的には遅い消灯時間、その後の話声やら何やらで浅い眠り、朝食も順番待ち、不自由な小屋泊まりに飽きてきました。 自分の自由な時間設定がでることと、もっと自然と触れ合いたいとの思いから、テント泊りを決意したのが2011年(平成23年)でした。 登山の一手段一過程であるテント泊まりは、多くの装備を必要としますが、それ以上に山の魅力を深くより大きくしてくれるものだと思います。 3000mの稜線にテントを設営しながらの長期間の縦走、朝夕の変化する山々の表情を眺め、自然との一体感を楽しむ、それが私の夢でした。 2019年、長年の夢だった南アルプス南部テン泊縦走計画を実行に、入笠山1泊・塩見岳2泊でテスト、結果は体力不足でテン泊不可能と判断、小屋泊り縦走に切り替えました。
↓●テント:アライテント・ライペン・エアライズ1●シュラフ:イスカ 630X●マット:サーマレスト・プロライトプラス・スモール(半身用) (イスカ630Xは冬山用、購入した2011年(平成23年)は東日本大震災の年、スリーシーズン用シュラフが市場から消えていました)


炊事道具(cookwares & bottles)

↓左から
●スヴェア123(スェーデン製・ハッキンカイロ用ベンジン又はホワイトガソリン使用) 若い頃、個人用炊事(湯沸かし)道具として始めて買った、手のひらサイズの小型軽量ストーブ、主に冬山で重宝しました。(現存・使用可能)
●キャンピングガス(初期のもの)マッチ一本で火が付くので便利!そんな時代の製品、アルミのクッカーとセットで使っていました。(処分)
●二代目のガスストーブは2012年頃、点火装置が付いたプリムス P-114ストーブと、エバニュー 一人用チタン合金クッカー、 カップ・鍋・蓋セットに、ガスカートリッジ小とストーブがコンパクトに収納できます。
●最近の日帰りでは更なる時短、湯沸かし0分のテルモス(魔法瓶)です。適温のコーヒーは茶色のボトル、沸騰した白湯はカップ麺用で白色に入れて持ち歩いています。

目次に戻る

Copyright (C)  松戸梅太郎  All rights reserved.