DVDレコーダーへの道





きっかけは、ピース。DVDレコーダーへのマイウェイは、まさにそうして始まった。


DVDレコーダーなるものは、前々から欲しい欲しいと思っていた。溜まりに溜まったこのVHSテープの山をいかにせん。どこに何を録ったのかも判らなくなっている上に、仮に判っていたとしても、タンスの上に積んだ格納箱をあけてテープを1本取り出し、そいつをシュルシュル早送りしておっと行き過ぎちゃったよと巻戻し…。そんなふうにしなくてはたどりつけない映像は、これはもう”死蔵”に他ならない。お宝映像の持ち腐れである。


このあたりの問題点は、記録媒体をDVDに切り替えれば一気に解消する。しかし、だからといってすぐさまDVDを購入する気になれなかった理由は、3つあった。


●まずは何といってもその価格。DVDレコーダーというものが市場に出始めた頃は、やはり贅沢品の値段がついていた。家電製品が一般家庭に普及するかしないかのラインは、やはり10万円であろうと私などは考える。10万を切るか切らないか…これが購入の目安であった。
●次に規格が統一されていないこともネックだった。いまだ記憶に新しいあのベータとVHSの対決に、また巻き込まれるのはウンザリだという気持ちである。(とかゆって私がビデオデッキを購入した時にはもうVHSが標準になっていたンだから、巻き込まれるというよりは、どっちになるのかなぁと傍観してたんですがね。)
●さらにもう1つの理由は、私の個人的な”電気製品苦手意識”。要するに機械をアレコレつなぐのが、面倒というか不安なのである。パソコンだったら少々のことはクリアできるのだが、その他のデンキは判らない。であるからDVDのプレイヤーでさえも、TVにつなぐというただそれだけのコトが、すっごく難しそうな気がするのだ。まぁいいや別に買わなくても、と敬遠していたのである。


そこへ、ピースだ。映画『模倣犯』のVHSはレンタルのみで、DVDでしか発売されないとなったんじゃあ話は別である。プレイヤーを買わない訳にはいかなくなった。
で、DVDを予約に行ったら目の前が家電売り場で…という話はカナペに書いたので割愛するが、その時見たレコーダーの価格が6万円台だったのだ。いつの間にこんなに安くなったんだ! これならプレイヤーじゃなくレコーダー買っちゃってもいいじゃん! といきなりその気になった次第である。


その後、あれこれカタログを比較検討し、どうせだったらHDD(ハードディスク)内蔵型の方がいいんじゃないかと考え始めた。あの6万円台だった機種はHDDのついていないタイプで、ついているヤツは確か税込みで10万ちょっとだった。6万台と10万ちょっとはよく考えればほぼ倍なのだけれど、6万というのは庶民にとってけっこうな大金である。それを出すのだとハラをくくっちまえば、あとひと声10万円!というのはさしたる差を感じな…いかどうかには個人差があるだろうが、まぁ、私は感じなかった(笑) 6万出すならここは10万出して、HDDつきにしちゃおうぜ! いぇい!


規格の不一致についても、調べていくうちにあまり心配がないことが判ってきた。DVDの録画方式の中で、大きく2つに分かれてしまっているのがDVD−RAMとDVD−RWである。この両者には互換性がないと思った方がいいのだが、もう1つ、DVD−Rという規格があるのだ。これは録画のし直しがきかない1発勝負ではあるものの(CD−Rみたいなもんですね)、ほぼハードを選ばない標準的な方式であり、100%ではないようだがこのDVD−Rに録画したものだったら、パソコンでも再生可能なのである。
なんだ、そういうのがあるんだったら別にいいじゃん。ベータとVHSみたいに、テープのサイズからして違うというんじゃ大問題だけどね。


さて苦手意識の克服については、ネット人脈がモノを言った。詳しい人はいませんかと聞いてみたところ、メールで色々なアドバイスを寄せて頂いたのは大助かりだった。
また、ワールドワイドウェブなインターネット世界で出会ったからといって、国境を越えたグローバルな相手であるとは限らない。時にはえれぇ近くに住んでいるものなのだ。玉村とか、前橋とか(笑)
その中の1人に真亜子様という前橋市民がいらはる。この方のダー様が、機械に非常に詳しいというではないか。ご自宅で使うためにあちこちのお店に行って実物を調べ、最新情報を潤沢に持っておいでな上に、接続大好きニンゲンでらっしゃるというのだ。
こりゃあ是非お話を伺いたい、とメールで真亜子様とやりとりし、ダー様には会社帰りにウチの会社までおいで頂いて(笑) 1階の接客エリアで教えて頂くことになった。なに、ダー様の会社がウチの会社の比較的そばだったんですね。それならあまりご負担にはならんだろうと、お願いした訳である。
しかしこの真亜子様とは、フラメンコの発表会にご一緒した際にも、そこでご愛息にお会いしている。インターネットというバーチャル・ワールドで知り合った人間関係にしては、どうも家族ぐるみになってきた(笑) アナログやねー(笑)


当日の夕方。仕事帰りらしくスーツでおいでになったダー様は、…あらあら、今だから言いますけども真亜子様、ダー様は私めが想像していたよりもはるかに素敵な殿方でございましたわ。穏やかで落ち着いてらっしゃって、なのに決して”枯れて”いない殿方。同じ世代にありがちな、生活臭ぷんぷんのくたびれたおっさんではいらっしゃいませんでした。まー素敵。
いやいやいやいや違います、くたびれたおっさんが来ると思ってた訳じゃありません(笑) テメーそんな風に思ってたんかい!つんじゃなくて、要はすごく素敵なかただったんで驚いたんですよぅ。
あれですね、夫婦っていうのは似るんですよね! 真亜子様ご自身も、穏やかで優しそうな可愛いお母さんタイプ。その配偶者があのダー様っていうのは、すごくお似合いだと思います。おしどり夫婦っていうか比翼の鳥・連理の枝っていうか。


とまぁ褒めるのはこのくらいにして、DVDレコーダーの話。
ダー様はテーブルにお着きになると、実は今日は仕事がヒマだったので…とプリントアウトしたB4の紙をドサッと出して下さった。各メーカーのHPの情報である。これがS社のでこれがP社の。それとこっちがもう1つのP社のと、集めたカタログがこれこれで…。
いやぁここまで揃えて下さって誠にありがとうございますなれど、仕事中にこんなもん大量に印刷しててダイジョウブなんですか、とはまさか私も言わなかった(笑) 私も手持ちのTVとVHSの操作説明書を出し、どうやってつなげばいいんですかと質問する。この機種ならここをこうやって、こうすればOKなはず。あとはこんなところに注意した方がいい。アタマのいい人だなーと判る簡潔明瞭さで、ダー様はご説明下さった。
最終的に、ダー様のお勧めは東芝のレコーダー。XS30という機種が一番いいでしょうとのことだった。


そのあとちょっと世間話テキに、群馬の電波事情の話題になった。昔はアンテナを竹とんぼみたいに高〜くつけなければ映らなかったのが、榛名山頂にアンテナを建てて電波を増幅するようになってからよくなった。ただ、それでも東京12チャンネルはあまりよくないが、あの局はあまり見ないので影響はない…というところで、ダー様はこうおっしゃった。
「ま、あそこにはSMAPはあんまり出ませんもんね。」
おお、判ってらっしゃるわ(笑) 嫌味でも馬鹿にするでもなくスラッとこうおっしゃったダー様は、奥さんのちょっとイッちゃってる趣味を、苦笑しながら眺めてらっしゃるのだろう。もちろん真亜子様も常日頃、ご自分の責任はちゃんと果たしておいでなのだろうけど。


よし、SMAPファンへのお勧めは東芝のXS30だな。この時点で私の頭にはこの機種名が焼きついた。それに偶然なのだが、現在の手持ちの機器は全部東芝製だったというのもある。その後自分でも色々調べた結果、TVやVHSとはメーカーを揃えた方が相性がいいらしいということも判り、機種選定はこれで終了した。
ちょうどその頃、タイムリーなことにDVDレコーダー関連の記事が複数冊の雑誌に載って、画質を重視するならP社が一番だが多彩な編集機能を買うなら東芝だ、などの情報も得た。だいいち忘れてはいけないことがある。『白い影』のスポンサーは、いったいどこだったんだということだ。ファンとしてはあの企業にはご恩返しをしてもいいくらいではないか(笑)


さ、あとはボーナスを待つばかり! カレンダーに花マルをつけてウキウキ待っていると、気になる情報に対しては人間、受け口が大きくなるもので、DVDレコーダーがヒット商品でメーカー在庫も品薄だ、という記事が目に飛び込むことが多くなった。


えー不安だなぁ。イザ買いに行ったら在庫ゼロでお届けは来年とか言われたら嫌だよなー。とりあえず予約だけでもしておこうか。近場にある大型デンキ店というと、ヤマダ3店舗、コジマ2店舗、デオデオとビックカメラが各1店舗か。これらの店の電話番号を調べて一覧表にして(←段取り好きはこういうコトをする・笑)、これだけピックアップすりゃあどっかに1台くらいあんだろうよ。
まずは表の一番上に電話した。あのーもしもし在庫の確認をしたいんですけれど、東芝のRD−XS30はありますか?
そうしたら電話に出たこのお兄さんがウマかった。
「あー、ちょうどあと1台だけ残ってるんですよ! DVDレコーダーは売れ行きがすごいんで、今日明日には売れちゃう可能性が高いですねー。お名前と電話番号だけ伺わせて頂ければ、お取り置きしておきますよ?」
「…………………お願いしますっ。」
ううむ高度な接客技術だ、こう言われちゃ大抵の人間が、とっといてくれと言うに違いない。まぁでもあったはあったんだから、いっか。ウチからは若干遠い店舗だけども…。


そしてボーナス日の翌日。ちょうど定休日というタイミングのよさだ。朝イチに群馬銀行中居支店の口座から10万下ろして、お昼をおごるのを条件に同僚に車を出してもらってお店に向かった。なんぼなんでもポルシェやアルファロメオの荷台じゃあ運べないからね。


XS30はちゃんとレジ奥に置いてあった。こちらですね、と出してもらった箱は巨大なピザを思わせる正方形をしていた。電話で聞いたよりも実際はずっと安い値段だった。そりゃそうだ電話で実売価格は教えないだろう、コジマの回し者かも知れんしな。
担当してくれたのは電話に出たあの売り方のウマイお兄ちゃんだった。今はキャンペーン中でポイントがたっぷりつく、あとからメディアを買う時に活用してくれと彼は言い、ピザの箱を車まで運んでくれた。森きゅんをうんと平凡にした感じの、爽やかなお兄ちゃんありがとう!


帰り道、車内は女同士の話でかしましかった。運転してくれているYさんは主婦であり、2人のお子さんをお持ちである。目下の悩みはダンナ様と趣味が合わないことだそうだ。自宅にYさんのお友だちが遊びに来ると不機嫌になるので、あんな無愛想な人は友だちに会わせられないとYさんはブツブツゆっていた。
そこで私はハッとした。そうか、ひょっとして真亜子様はあの優しいダー様と、ハンサムなご愛息がご自慢か! 考えてみればそりゃそうである。コイツは他人には見せられんというダンナやムスコなら、アドバイスしに相手の会社へ行けとか、発表会に一緒に行こうとかおっしゃるはずがないのである。
しまった。これはメールでもっともっと褒めるべきだった。そう気づいたので今回は、褒めさせて頂きましたです(笑) ダー様お勧めのRD−XS30は、こんな次第で無事タタミの上にあります。


どっこい買って帰ってきてマニュアルを読みふけっていたら夜中になったので(笑) まだ接続していません。休み明けはISOの実地審査で大忙しだったもので、接続は次の休みにやります。
皆々様にはまた近日、実際につないでからレポしたいと思います。続くっ。





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