DVDレコーダー TV台への道





接続も再生も録画もできたXS30には、解決されていないもう1つの問題があった。それはVHSを外しっぱにしているということ。これでは溜りに溜ったテープからDVDにダビングしたいという重要な目的を果たせない。だが今のTV台は、引き出しが2段ついている代わりにデッキは1台しか入らないタイプなのだ。けっこういい値がしたTV台なのだが、そろそろ引き出しの前板も外れかけていることだし、この機会に購入することにした。
安い台なら5000円も出せば買える。しかも某デンキ店ならXS30を買った時のポイントバックで賄える(笑) だが同居している母親に相談すると、安くてもチャチな台は嫌だ、費用は半分出すからそれなりの”家具”を買ってこいと言う。それならと島忠家具センターに行ってみて気づいたのは、94年製の25インチTVというものがいかに時代遅れかということ。時代はもはやワイドな薄型が主流で、それに伴ってTV台も、横長かミニサイズかに2極化しているのである。


だが、ちゃんと映っているTVを古いという理由だけで取り替えるのは嫌だ。台の1つ2つ探せばあるだろう。島忠、セキチュー、カインズ、ニトリと回って、ようやく私はこれならという台を見つけた。さほど大きくないし、値段も予算内で手頃であった。
しかし、横幅はいいが唯一奥行きが微妙だった。台買いました・TV乗りませんでしたでは大笑いである。私はいったん出直すことにしてその日は帰宅し、TVのサイズを厳密に計った。そして翌日再び出向き、かくかくしかじかだと店員さんに相談して、結果1つのコーナーテーブルを選んだ。部屋の角に置くタイプの奴である。収納は2段、前にガラスのドアがついており、ナチュラルウッドで見た目も落ち着いている。よしよしこれならいいだろう。


カウンターに移り、配送の打ち合わせをする。高崎市内なら無料で届けてくれるそうだが、早くて12月27日になるという。27日…と私は記憶のSMAPスケジュール帳をめくった。何というナイスタイミング、その日はSMAPくんの番組がない日ではないか! 番組とTV台は関係ないと思うなかれ、旧型25インチのTVは重くてデカい。台を運んできてもらった時に何とかTVを乗せてもらわないと、女手には余る労働なのである。しかし台を届けてくれるのは家具の配送屋さんで、電気屋さんではない。TVを乗せてもらうためには、コードくらい外しておくのが常識であろう。となるとXS30も外しておかなければならない。予約録画は不可能と踏まなければ…。
だが、27日ならそれも問題ない日だ。


「OKです、お願いします!」
きぱーっ!と宣言してお金を払い、その時はそれでホクホクだったのだが、あとになって私は気づいた。27日には、MステSPがある…! TV誌には載っていなかったので忘れていたが、どうやら急遽出演が決まったらしいと皆が喜んでいたではないか。しまった、と思ってももう遅い。27日をのがすと年明けになってしまう。27日は会社が月末の〆日で休めない。第一、TV台で会社を休むというのもかなり間抜けな話だ。
私はじーっと考えて、人のナサケを信じることにした。配送屋さんはきっと優しい人で、少なくとも機械オンチではないに違いない。接続のしかたをレポート用紙に書いておけば、その通りに挿すくらいはやってくれるだろう。最近は人件費を削って価格を下げる店が多いため、配送はアルバイトでサービスが悪いという話をよく聞くが、大丈夫、今回に限ってそんなことはないのだ。すごく優しい人が届けにきてくれるのだ…!


で、27日。レポート用紙に必要と思われる事項を書き、何かあったら連絡をくれるよう会社の電話番号も添え、あとは母親に頼んでおいて私は出かけた。けれど仕事中も気になる気になる。どうかなぁ、ちゃんとつながったかなぁ。冗談じゃないオレは電気屋じゃないんだ!と放り出していかれたりとか、逆に親切なんだけどカンの悪いヤツが来て、いじくり回したりしてないかなぁ…。こんなふうにアレコレ考えてしまう、要するに私は心配性(笑) 最悪Mステは諦める覚悟をして、その夜遅く帰宅したらば。


つながっていた。録れていた。家具のニトリさんえらい! よくここまでやって下さいました!


おかげでMステはしっかり見られた。覚悟していたとはいえあんなに素敵なFRを見損ねていたら、泣いても泣ききれなかったでしょう。それとXS30にも感謝。ビデオって電源抜いた時点で時刻設定も録画予約も消えちゃうけど、HDDだから覚えてるんだなぁ。パソと同じですよね。電源切るたんびにWindowsの再設定をする訳じゃないですもんね。


そして会社が休みに入った12月29日、今度こそ最終的な接続をした。XS30は下の段に置き映像はS端子で繋ぎ (よく見たら今まで使っていなかっただけで、TVの側にちゃんとあった) さらにVHSのデッキを上の段に置いて接続する。ケーブルがヨレないよう、ぐにゅっとならずに素直に流れるよう束ねていく。台のアナから出た後ろっ側も、見苦しくないようまとめて縛る。よし、これで完成だ。充実したAVライフの始まりだ…!


そう思ったら最後の試練。台の前にあるガラスのドアが、XS30にぶつかって閉まらない。
なんでやー! 上の段にあった時は閉まったべー! 上の方が奥行きがあるんかこの台はー!


答えはドアの枠の、木の部分の厚みだった。これがXS30とゴッツンコするのだ。XS30の奥行きはビデオデッキより5センチ大きいから、だったら上の段をXS30、下の段をビデオデッキにすればいいのだが、ここまできっちり配線してしまったものを、またほどいてやり直すのはかなり苦痛だった。


で、ドアを外した(笑) これなら何のジャマもあるめぇ(笑)


しかし外したら外したでガバッと前が開くので、これでは埃が入ることに気づく。蝶番の金具も丸見えのため、さも「外しました感」が見え見えでビンボウ臭い。
そこでひらめいた。カーテンつけんべ。そうすりゃ見た目も美しいし、埃よけにもなって一石二鳥じゃんか。
私はコンベックスを取り出して、開口部のサイズを正確に計った。(←これも学習)  購入したのはカフェカーテン。喫茶店の出窓などにある目隠し用の小さなカーテンだ。部屋のカーテンがダークグリーンなのに合わせて、淡い緑と白いレースのものを選んだ。


持ち帰り開口部に当てると、今度はちと丈が長い。私は何年ぶりかで縫い物をした。HDD内蔵型DVDレコーダーという最新デジタル機器の前で、ちくちく運針するオンナが約1名。ううむデジタルに対比させたアナログの存在。これぞ森田が描きたかったものに違いない。(ちゃうちゃう)


そんな訳でウチのTV台にはカフェカーテンがついていて、その奥にDVDレコーダーとVHSデッキが鎮座している。かなりおされだ。




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