補則事項1・総譜とパート譜の入手方法について |
・ | モーツァルト、ベートーベン、チャイコフスキーなど有名曲のスコアを常備しているのは、ヤマハや山野などの大型店のみ。ただし地方などの支店レベルだと微妙。 |
・ | 海外からの取り寄せは可能だが当然時間がかかる。(レンタルという手もあるが、アマとプロとでは料金にかなりの差がある。収益をあげるプロの方がもちろん高い。) |
・ | オーケストラ用の「楽譜一式」は、海外で出版された原版しかないと思われる。日本楽譜、音楽之友、全音などで出しているのはミニチュアスコアのみ。 |
・ | 「楽譜一式」とは、指揮者が使うスコアと、各楽器のパート譜がセットになっているもので、概ね10万円以上する。弦楽器などは人数がいるので、最初からその曲にあった人数分の原譜が入っているものもある。 |
・ | ミニチュアスコアの内容は普通のスコアと同じ。サイズが小さいだけ。(文庫本より少し大きい程度) |
・ | パート譜がどうしても手に入らない場合は、スコアから書き起こすケースもある。最後の手段として、音を聴きとって書き写す(!)ことも決して不可能ではない。ただ、それぞれの楽器の持っている「調」は最初から違うため、それを合わせるのが大変である。
補則事項2・「動機」について |
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『宿命』のTのリズム(タタタ・タタタタ)はメロディーを変え速度を変え色々なところで出てきており、これを文中では「動機」と称した。
しかし「動機」にはメロディーを含むのか含まないのか、私自身理解しきれないところがあった。
例えばベートーベンのジャジャジャジャーン♪は『運命の動機』と呼ばれ、曲のいたるところで上がったり下がったり色々なメロディーで繰り返されている。これを「動機」と表現している文章は多く見られ、ジャジャジャジャーン♪が動機であるのなら我らが「タタタ・タタタタ」も動機に違いないと思うのだが、「動機」という概念にメロディーは含まないと言い切っている用例は見つからず、また高見澤的にも断言はできなかった。ただ、メロディーを含まないリズムだけの動機を示す言葉として、「リズム動機」という言い方があることは判明した。
しかし、この講座は決して音楽の専門家をターゲットにしている訳ではなく、動機のなんたるかを細かく論じるのも、あたかもハワイに初めて行く人にオアフかマウイかいちいち問いただすに等しく、きわめて嫌味な行為である。そこで当講座では言い回しの簡素さを重視して、おおむね「動機」とだけ書くことにした。
『宿命』の「タタタ・タタタタ」は、厳密には「リズム動機」というのが最も正しいようである。 | |