ラファエル前派
ここは、趣味の範囲内ですがラファエル前派についてのページです。
PRBとはPre-Raphaelt Brotherfood(ラファエル前派兄弟団)の略で1848年イギリス、ロンドンにおいてダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ジョン・エバレット・ミレー、ウィリアム・ホルマン・ハントたちによって結成された。
当時画壇の主流として信奉されていたロイヤルアカデミーの画家たちを否定し、ルネサンスの巨匠ラファエッロの時代以前に立ち返り、純粋で素朴な感動を絵に表そうとした。結成時のメンバーは7人で上記3人の他、ジェームズ・コリンソン、ジョージ・フレデリック・シールズ、トマス・ウルナー、ロセッティの弟のウィリアム・マイケル・ロセッティが名を連ねた。その他、兄弟団には加わらなかったが、フォード・マドックス・ブラウンなど彼らの理念に賛意を示した画家も少なからずいた。
彼らは高邁な思想にのっとり、絵画の確信を目指そうとしたが、7人全員が画家ではなく、ウルナーは彫刻家で、書記を務めたウィリアム・マイケルは公務員で、シールズは後に評論家になった。兄弟団としての活動は短く3年足らずだったが、後の美術界に大きな影響を与えた。
彼らは絵画を制作するにあたり、必ず署名に「PRB」と加えた。絵を目の当たりにした観衆はその斬新な技法、主題はもちろんのことこの謎めいたサインに驚嘆した。メンバーは兄弟団の結成を秘密にしていたからだった。だが、その秘密はロセッティがうっかり暴露していしまい世間に知られることとなる。すると最初は好意的だった評論家たちは一斉に彼らを攻撃し始めた。アカデミーの権威をないがしろにし、巨匠ラファエッロを否定したと映ったからである。
そのほか、彼らは毎月会合を催し機関誌「ザ・ジャーム」を創刊し、詩や文学と絵画の融合を計った。だがその機関誌も4号までしか出されなかった。
彼らは文豪ディケンズを始め世間からの轟々たる批評を受けた。メンバーも意気消沈した。ロセッティは兄弟団の秘密をばらした反省と批判を恐れて2度と絵を一般に発表しなくなってしまった。だが、支持者がいないわけではなかった。当時、近代画家論を著して気鋭の批評家として知られたジョン・ラスキンがその一人だった。彼はラファエル前派を擁護する記事を雑誌に寄稿し支持を表明した。またロセッティやミレーとは個人的に付き合い、絵を買い上げたりして有償、無償に援助もした。
それに多くの若い画家が技法や主題の影響を受け、世間にも徐々に受け入れられていった。
世間に受け入れられるようになったといってもまだ彼らは少数派だった。それにメンバーのそれぞれの目指す方向性が違っていた。ミレーはアカデミーの準会員に選出され体制派に回った。ハントは聖書の物語を描くため中東に旅立った。ウルナーは芸術家としての前途に不安を感じ、新天地を求めてオーストラリアに渡った。ロセッティはバーン＝ジョーンズなど若い世代の画家を巻込み新しい方向性を目指していった。
最後までラファエル前派の理念に忠実だったのはハントぐらいだったが、ロセッティや彼を慕い集まる画家もまたラファエル前派と考えられた。これら後期ラファエル前派の絵画が象徴主義、審美主義への流れに繋がり、やがてアール・ヌーボーの源流ともなった。また、ダリなどシュールレアリズムの画家たちにも少なからず影響も与え、さらにはファンタジーイラストレーションや日本のマンガなどにも多少なりとも影響を与えたことは否定できない。
ラファエル前派、特にロセッティの影響を受け独自の世界を築いていった画家として真っ先に挙げられるのが、エドワード・コーリー・バーン＝ジョーンズである。そして、ジョーンズの親友で画家ではないが、詩人、装飾芸術家として後の芸術に多大な影響を与えたウィリアム・モリスも忘れてはならない。
他にアーサー・ヒューズ、スペンサー・スタナップ、イヴリン・ド・モーガンなどがいる。またアカデミックな画家でありながら、ラファエル前派的な主題の絵画を数多く手がけたジョン・ウィリアム・ウォーターハウスなどの画家もいる。
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ロセッティとミレー、ハントはテニスンの詩集に挿し絵を描いた。それは旧世代の画家の挿し絵に比べて斬新で鮮明なものだった。その後も多くの画家たちが挿し絵を手がけた。
ロセッティは詩人としても多くの作品を残している。また妹のクリスティーナも詩を書いていたし、多くの詩人がロセッティの周辺に集まっていた。そしてモリスは仲間たちと商会を設立し、後に単独経営のモリス商会とし、ステンドグラス、壁紙、タペストリー、家具、本など幅広い芸術品を生み出した。ジョーンズは多くのステンドグラスのデザインを手がけている。
