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カラルスクランブル〜クロノア潮風大作戦〜
 
カラル「それでね、海の底にはね…」
ロロ「素敵なところですね〜」
チップル「海の中の世界なんて想像もしてなかったっス」
ポプカ「行ってみたいよな」
クロノア「ボクは一度だけ、潜った事があるけどね」
 
 いつものように他愛無いおしゃべりをしている仲間たち。みんなカラルの話す「海の底」の話に興味津々です。
 
カラル「ボクもビックリしたの。「さんごの樹海」の中にあんなにきれいなところがあったなんて!
    お星様を集めてきたみたいにどこもキラキラしてて、宝石箱の中にいるみたいで…」
クロノア「行ってみたいけど、海の底じゃあね…」
カラル「えへへ、この事は秘密なの。ママに聞いたら、海に住む者たちだけの秘密なんだって」
 
「海の底の宝石…のひょほほほほ、これはいい事を聞きましたよ〜…」
 
 クロノア達の話を盗み聞きしていたジョーカー、どうやら海の底に財宝があると勘違いしたようです。
 カラルがクロノア達と別れた後こっそりと後をつけていきます。
 大きな網を持って、背後からそ〜っと近付いて…
 
ジョーカー「捕まえ…!?」
カラル「きゃーっ!」
タット「やったね!今日の晩ゴハン決定!」
レオリナ「何だか変なモノがくっついてきたな?まあいい、帰ろう」
 
 クリムゾン・アイリス号が、ジョーカーをぶらさげたままカラルをさらって行きました。
 
パメラ「待ちなさい!!」
カラル「ママ!」
レオリナ「親か…仕方ない、タット、照明弾!」
タット「照明弾、発射!」
パメラ「きゃあ!」
カラル「ママーっ!」
レオリナ「!しまった、手放したか!?」
タット「あーん、晩ゴハンが逃げちゃう〜」
カラル「放して!お前なんか嫌いなの!」
ジョーカー「こ、コラッ!おとなしくしなさい!☆с▲п◎ат*ь◆♪…」
カラル「…ZZZ…」
ジョーカー「ふ〜、最初からこうしとけば良かったですね」
 
 ジョーカーの変なおまじないで眠ってしまったカラル。でもここは空の上なので、当然、落ちます。
 
ジョーカー「あ〜〜〜〜〜〜〜〜れ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
タット「あーあ、晩ゴハンが…」
レオリナ「ま、魚なんてどこにでもいるさ…行こう」
 
 
クロノア「パメラさん!パメラさん!」
パメラ「はっ…クロノアさん」
ロロ「気がついたんですね!」
ポプカ「こんなとこで昼寝して、何かあったのか?」
パメラ「カラルが誘拐されたんです!」
クロノア「何だって!?一体誰が!」
パメラ「飛行船に乗っていた人はよくわかりませんが、カラルの側にいたのは、あの時の!」
クロノア「ジョーカーか!あいつ、今度は何をする気なんだ?」
チップル「さっきの話、聞かれてたのかもしれないっス」
ポプカ「さっきって…「さんごの樹海」の事か?」
パメラ「なんて事を…あそこは海の中で最も美しいところ…だからこそみんなで守ってきたのに」
ロロ「それじゃ早くしないと海が荒らされてしまいます!」
クロノア「でも…海の底じゃあボクらには…」
ロロ「…」
チップル「無理っス、ダメっス、グルグルっス」
ポプカ「…それじゃあ…他に誰か、頼りになりそうな奴はいないのかよ!泳げる奴とか!」
クロノア「そうだ!あの人なら!」
 
 
ジョーカー「イテテテ…ちょっと予定は狂いましたが、珍しく順調に事が進んでますね」
カラル「ぷー」
ジョーカー「おやおや御機嫌ななめな御様子で…もうすぐ素敵な潜水艦に乗せてあげますからね」
カラル「海に潜って、何をするの?」
ジョーカー「決まってるじゃ〜ありませんか。案内していただきますよ、「さんごの樹海」とやらに」
カラル「ダメなのー!あそこは秘密の場所なのー」
ジョーカー「いけませんねぇ〜、自分の立場がわかっていらっしゃらないようで。
      シンプルに丸焼きもいいですね…それともムニエルにしましょうか…」
カラル「いやー!」
 
 
スイリュー「話は聞きました。カラル君については既に公開捜査を始めています」
パメラ「よろしくお願いします…」
クロノア「スイリューさんならきっと大丈夫だよ」
スイリュー「おい、荷物を降ろしてくれ」
チップル「はいっス!」
ポプカ「重て…何だこりゃあ?」
スイリュー「あの時、奴から没収したものだが、いつか何かの役に立つと思っていたよ」
クロノア「ディープワン!!…スイリューさん!」
スイリュー「味方は一人でも多い方がいい。どうだクロノア君?」
クロノア「うん!」
パメラ「さあ急いで。私が案内します」
ロロ「クロノアさん、気をつけて!」
 
 
 また別の海岸に、どうやって運んだのかメカメカ帝国製潜水艦が停泊しています。
 潜水艦の前部にはカラルの入った檻。
 
ジョーカー「どうです?あの時ガレキの中から見つけたんですよ。少々デザインが無骨でワタシには似合いませんが
      タダでいただくに越した事はありませんからね。ささ、出発しますよ〜」
「待ちな!」
ジョーカー「ひっっっっっっ!だだだ、誰です〜!?」
 
 突然飛び込んできたガンツも乗せて、潜水艦は海の底へ…
 
カラル「助けてなのー!(でもこの人も怖そうなのー)」
ジョーカー「ななな、何をする気なのか知りませんが、ここはもう海の底ですよっ!
      下手な真似をすればアナタも海の藻屑ですからねっ!(あ〜あ、何か上手くいきすぎだと思ったら…)」
ガンツ「わかったわかった。用があるのはてめえじゃねぇ、魚の方だ」
ジョーカー(…やっぱり「さんごの樹海」が目的のようですね…仕方ない、大人しく手を組んでおきますか…しくしく)
     「わ、わかってますよ。このお魚君には今道案内をしてもらってますから、それまで
      何もしないでちょーだい、お願い…」
ガンツ「いいだろう…ただし用が済んだらその魚はおれがいただく」
ジョーカー「はいはい、もう勝手にしてください…」
カラル(最悪なの…)
 
 
パメラ「ここが「さんごの樹海」です」
スイリュー「この辺りは昔から保護海域になっていたが、見るのは初めてだ」
クロノア「すごいなあ…でもまだ荒らされてないみたいだね」
スイリュー「ここでしばらく待ち伏せてみよう」
 
パメラ「何か来たようです…あっ!カラル!」
クロノア「パメラさん、危ない!」
ジョーカー「ムキーッ!こんな所にも邪魔者が…魚雷でもくらいなさ〜い!」
パメラ「きゃー!」
スイリュー「させるか!」
 
 ズドーン!
 
スイリュー「ぐっ…」
クロノア「スイリューさん!…あっ、あれはガンツ?あいつら組んでたのか!許さないぞ!」
パメラ「しっかりしてください…ああ、どうしましょう」
スイリュー「私なら大丈夫だ…それより、何とかして奴らを止めなければ」
クロノア「でもこれ以上暴れたらさんごが傷ついちゃう…」
パメラ「私の泡攻撃も効きそうにないし…」
クロノア「泡攻撃?」
スイリュー「海の底で生まれた泡は、上昇するほど水圧から解放され巨大化し、爆弾のような破壊力をも生み出すという…」
パメラ「もっと大きな泡を出せれば、この泡を膨らませる事ができれば」
クロノア「パメラさん!ボクが風だまで泡を膨らませてみるよ!」
スイリュー「いい作戦だ。それでいこう!」
クロノア「でも、カラルは?」
パメラ「大丈夫。あの子はいつも泡に乗って遊んでますから…さあ、いきますよ!」
 
ジョーカー「どうやら邪魔者はいなくなったようですね…キシシシ、今回は上手くいきそう…」
ガンツ「おい。随分揺れてきたぞ。大丈夫なのかこの潜水艦」
ジョーカー「およ?」
 
 ゴボッ…ゴボッ……
 
カラル「わーい、泡なのー」
ジョーカー「ななな、なんて事はない、たたた、ただの泡ですよ」
ガンツ「そうかぁ?かなりヤバそうな音がするじゃねえか」
カラル「わーい、壊れるのー」
ジョーカー「嬉しそうに言うんじゃありませんっ!!!」
ガンツ「海面まで押されていくぜ」
ジョーカー「アナタも何をそんな冷静にっっっっ…」
 
 ドッカーーーーーーン!!!!
 
カラル「壊れたのー」
ガンツ「おっと、逃がすか!」
カラル「きゃー!放してー!」
ジョーカー「お金は払うからこっちも助けなさぁぁぁい!!ワタシは泳げないんだからーっ!!」
ガンツ「ちっ」
タット「やた!晩ゴハン見ーっけ!」
レオリナ「何だかまた変なモノがくっついてきたな?まあいい、帰ろう」
 
 クリムゾン・アイリス号が、海面に浮いていた三人をまとめてさらって行きました。
 
ガンツ「なかなか面白いアトラクションだったな。ジョイラントでもこれくらいやりゃいいんだ」
ジョーカー「やっぱりこーなっちゃうのね…トホ〜」
 
 
ロロ「クロノアさん!みなさん、大丈夫でしたか?」
ポプカ「見たぜ!沖の方でドッカーーーンってやつ、お前らがやったんだろ!」
スイリュー「ああ、クロノア君のおかげで「さんごの樹海」は無事だよ」
チップル「やっぱクロノアさんすごいっス!そんけーするっス!」
クロノア「へへ…でも、カラルは…」
スイリュー「探しても潜水艦の残骸ばかりで、乗っていた三人が見つからないとは妙だな…」
パメラ「檻は確かに壊れていたのに…まだ悪者に捕まっているのかしら…」
 
 
レオリナ「どうしてもその魚を渡す気はないのか?」
ガンツ「こいつはおれが先に捕まえたんだ。何を言われようと渡さねぇ」
タット「ふーんだ、ケチ」
ジョーカー「…」
ガンツ「おい!」
ジョーカー「ぎく…わ、ワタシに何か?」
ガンツ「お前助けた奴に金を払うって言ったよな?」
 
 
パメラ「…とにかくもう一度探しに行ってみます」
クロノア「よーし!ボクらも探しに行こう!」
ガンツ「その必要はねぇぜ!」
カラル「ママ!」
パメラ「!」
ガンツ「お望み通り無事に連れてきたぜ」
クロノア「え?」
スイリュー「わかった…賞金はお前に渡そう。明日には用意しておく」
ガンツ「じゃ、明日受け取りに行くぜ。オラよ、行っちまいな」
カラル「ママー!」
パメラ「カラルー!」
チップル「うう…感動的な親子の再会っス」
クロノア「ガンツ…ジョーカーと組んでたんじゃないのか…」
スイリュー「手を組むフリをして誘拐犯の隙をうかがっていたのだろう」
ポプカ「イイ奴なのか悪い奴なのかわかんないよな、アイツ」
ロロ「でもよかった。カラルさんが無事で」
パメラ「みなさん本当にありがとうございました。さあ、潜水艦の残骸を片付けてこなくちゃ」
カラル「ボクもお手伝いするのー」
クロノア「カラル、またねー!」
カラル「ばいばーい!」
 
 
タット「お魚のかわりにもらっちゃったけど、どーするー、コレ?」
レオリナ「そうだな。シンプルに丸焼きにしてやろうか…それともムニエルにしてやろうか」
タット「でもあんまり美味しそうじゃないよ。魚のエサにしちゃおうか」
レオリナ「食いつく魚がいれば、の話だけどな」
ジョーカー「いや〜ん!お金は払うから、助けてぇぇぇ!!」
 
 ジョーカーがその後カラル誘拐犯として指名手配されたのは言うまでもありません―
 

「ヒーローズ」にカラルが出てくるみたいなので、 カラルとガンツならどういう掛け合いになるのかと想像するうち出来たお話です。 あとはカラル→おさかな→魚料理→レオリナ、という連想で レオリナさんにはあくまで「食材」としてカラルを追っかけていただきました(笑) でもあんまり本気じゃなくて、ネコがネズミを捕まえては逃がして遊ぶような、そんなお気楽な感じです。 捕まった方はたまったもんじゃないけど。 この二人は、気ままに気まぐれにマイペースで生きてるってイメージなんです。それこそネコのように。(笑) 最初はガンツとジョーカーが財宝目当てにカラルを奪い合う&レオリナが邪魔する、という構図だったんですが それじゃガンツらしくないし、何より主役の出る幕がない。というわけでこうなりました。 とは言っても私が悪役好きなためクロノア側があまり目立ってませんが。 本当は慌てるガンツも書いてみたかったんですがジョーカーとの対比もあり、終始クールです。 オフィシャル絵のガンツってみんな自信たっぷりに含み笑いしてるし、そのイメージのままですね。 「ヒーローズ」でいろんな表情を見せてくれると期待してます。   レオリナたちはその後、ジョーカーから巻き上げたお金で美味しいもの食べに行きました。 カラルは食べてないので御安心ください。
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