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シャドウ・ザ・ヘッジホッグのエンディング後日談を想像して書きました。
大したネタバレはありませんが、できればクリアしてから読んでください。
アディオス、シャドウ・ザ・ヘッジホッグ…
全てが終わった。50年前の僕の悩み、苦しみ、憎しみ、そして哀しみ、全てが過去のものとなった。
プロジェクト・シャドウ。
その真の目的はプロフェッサーしか知り得ない。この僕自身さえも。
奴ら…ブラック彗星からこの星を守るためだったのか。
アークを地上に落とし世界を滅ぼすためだったのか。
それともマリアの病気を治すためだったのか。
いずれにしても済んだ事。
何もかも、終わった。
そして僕はその存在の意味を失った。
その後アークにいた三人組に言われるがまま地上へ戻ってはみたものの
僕には帰る場所も行く所もない。
僕の役目は終わったのだから。
僕はもう、だれからも必要とされていない…そう思っていた。
だが彼等は言う。
「お前さんを待ってる奴らがいるぜ」
今さら僕に何の用があるというんだ。そう、全てが今さらなのに。
奴らに、…あるいは僕に…破壊された街も復興しつつある。
被害を受けていない街には人々の賑やかな歓声がひびく。
GUNでさえ僕を英雄だと称えているらしい。
でも僕には関係のない事だ。僕は彼等のためにああしたのではないのだ…
僕はやっぱり街を離れた。なるべく誰とも会いたくなかった。
僕は過去と決別した、それでも、頭に浮かぶのは過去の事ばかりだ。なぜ?
「よう」
奴はそんな僕の気持ちなど知らず声をかけてきた。今さら僕に何の用があるというんだ。
「食うか?」
両手に持った携帯食を片方、無造作に僕の目の前に差し出す。
無意識にそれをつかみ口に運ぶ。そこに僕の意志はない。
「これからどこ行こうかなぁ」
君がこれから何をしようと僕の知った事ではない。だが彼は話を続ける。
「海辺もいいかもな。海は苦手だけど…どうだ?」
何だ。僕も一緒に行く事になってるのか。相変わらず勝手な奴だ。
「君につき合う義務はない」
「じゃ、お前はこれからどうするんだ?」
「これから…」
これから、なんて考えもしなかった。
過去も未来も、今の僕にはないのだから。
「お前はもう自分の役目を終えたんだから、お前の好きにすればいいさ」
好きな事?
好きな事など…ない…。考えた事もない…
過去にはあったかもしれないが、僕の過去は、思い出すには…
「シャドウ、お前、走るのは好きか?」
走るだと?そんなこと、当たり前の…
“あなたはいつも、すごいスピードで走り回っていたわね。”
そうだ…僕はなぜ…走った?
「君は…なぜ…走る?」
「走るのが好きだからさ。走って走って、オレは今ここにいるんだ。お前だってそうだろ?」
僕は走った。守るために、戦うために、探すために。
僕は走った。誰も追いつけないスピードで、究極の生命体として。
僕は走った。
僕は…
「走るのが…好きなのかもしれない」
「決まりだ!Here we go!」
言うやいなや奴は走り出した。僕も無意識に、走り出していた。
「君は、なぜ走る?僕は…」
「言っただろ、走るのが好きなんだって!走っていればきっと何かが起こるんだ!」
「そんなあいまいな目的のために走るのか?」
「あいまいでわからないから面白いのさ!わかってたらツマンないだろ?お前も走っていれば、きっと何かに『出会う』さ!」
…そういう事か。
僕も無意識に、何かを求めて走っていたのかもしれない。
今日から明日へ続くための何かを。
だったら僕にも未来はある。これから『出会えば』いい。
その事を、君は…?
「見えてきたぜ!」
目に飛び込んでくる青。彼女と一緒にアークから眺めていた、美しい青。
それが僕の手に届く所まで来た。走って走って、ここまで。
「シャドウー!」
遠くで手を振る一団がいる。まさか僕を待っていたというのは…
「みんな揃ってるな!」
「ソニック、ごくろうさま。バーベキューの準備しといたよ」
「ほらほら、主役がそんなとこにいないでこっちいらっしゃいよ」
「…ソニック」
奴は僕を見てにやりと笑う。
「ふん…確かに君の言う通り、『出会った』わけだな」
「だろ?楽しもうぜ」
今までの僕なら、行こうとはしなかっただろう。
でも今の僕は探していた。今日から明日へ続くための何かを。
「待ってたぜ!ほらよ、お前さんの飲み物だ」
「ねー、はちみつじゅーすはー?」
「大儀であったな。色々思う所があるだろうが、今のお主に必要なのは休息だ」
……………
「シャドウさん、どうしたんですか?楽しくないですか…?」
「…明日の事を、考えていた」
「そんな事食ってから考えろよ!あ、ニラ饅頭は食うな」
「あんたはもうちょっと空気読みなさいよね…」
考えて答えが出るわけじゃない、明日は何に出会うかわからない。
でも考えずにはいられなかった。
僕がこれからするべき…いや、したい事。
一つだけわかっていること、
僕はこの星で、風になる。
本当はソニックと走って終わりにするつもりだったんですが
結局バーベキュー大会になってしまいました。(笑)ニラ饅頭も出てくるし…
大きな目的を果たして心に穴の開いたシャドウを
みんながうまく導いてくれたらな、と願って書きました。
ソニックにとってシャドウは一番面白い遊び相手なのでしょう。
何しろ実力が伯仲してますし。
ソニックが一番得意としている「走る」ということ。
シャドウは彼に匹敵するほど「走れる」。
シャドウが生きていて一番嬉しかったのはソニックだったんだろうな。
だからソニックには、走れ、前へ進めとシャドウを諭してもらいました。
でも彼を真似ろというのではありません。
これがスタートです。
シャドウにとってこれが全ての始まりです。
新作への出演も決定しているし、これから「シャドウらしい」活躍を期待しています。
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