静かな部屋に聞こえるのは、ふたりの荒い息遣いと、衣擦れの音。
「しまった」
楽しそうに雲雀の制服を緩めながら、ディーノがつぶやく。雲雀は目の前で揺れるディーノの金髪を面白そうにいじっていたが、ディーノが苦い声を出すものだから、ディーノの顔に視線を落とした。
「どうしたの?」
「避妊具、用意してねー」
露わにした雲雀の胸に手を這わせ、ディーノはどうしようか、と雲雀にキスをする。お返しのキスをして、雲雀は笑った。
「いらないよ」
「強気だな」
「別に、そういうわけじゃないけど…生のほうが気持ちいいって聞いたから」
雲雀の発言は年齢に似合わず過激で、中学生がなんでそんなことを知っているのかと、ディーノは顔をしかめる。そんなディーノの百面相が面白くて、雲雀はくすくす笑った。
「安心してよ。その話が本当かどうか、僕は知らない」
「ふぅん?」
揉みしだかれてぷつりと紅く尖った胸の頂を、歯で咥えてひっぱると、雲雀はひゃんっと啼いた。雲雀のくすくす笑いが止まって、ディーノはにやりと口の端を持ち上げた。
「じゃあ、それも教えてやる」
胸の蕾を舌先でこね回しながら、ディーノはするすると雲雀の下肢を暴く。並盛中の女子服のスカートは呆れるほど短くて、脱がす必要がない。雲雀の秘処を守る布は下着きりだった。
「信じらんねー…。恭弥、なんでこんな無防備で平気なんだよ……」
「本来なら、これで充分なの。これじゃ危ない世の中がおかしいの」
くちゅくちゅと蜜で潤う秘処をいじるディーノに、雲雀が言い返す。もっともなようで、屁理屈にも聞こえて、ディーノは変な顔になった。それを見た雲雀は、むっとした表情になった。
「やだもー、あなたが変なこと言うから……キスして」
「恭弥、言ってることめちゃくちゃだぞ……」
ディーノは言われるままにキスをして、雲雀の口腔に舌を差し入れる。ディーノのキスをすっかり気に入ってしまった雲雀は、嬉しそうに鼻で啼いた。
「…ん……ぅ、ん……あっ?」
ディーノの指がくぱ、と秘処の入り口を広げると、雲雀は驚いて唇を離した。蜜で蕩けているそこを、ディーノの骨ばった指が浅く出入りする。
「あ…っ、や……なに…?」
「わかる? 恭弥のここ、すげー濡れてる」
くちゅ、ぷちゅ、と音を立てて、ディーノの指が抜き差しされる。時折指が擦るところがたまらなく気持ちよくて、雲雀の脚はいつの間にか大きく開いていた。
「ふ……あ、はぁ…っ」
「いい眺め。びちょびちょだな」
ディーノの慣れた指が雲雀の秘処を容赦なく翻弄して、雲雀の意識はホワイトアウトする。すっかりぐちゃぐちゃになったそこに、ディーノの視線が注がれて、また熱い蜜がとろりと零れるのがわかった。
「恭弥、いい?」
ディーノが圧し掛かって耳元に吹き込んだ確認に、雲雀はこくんとうなずいた。本当は、頭の芯がクラクラしていて、ひどく熱くて、よくわからない。ただ漠然と、ディーノがいいと思うようにしてくれたら、それが自分にもいいのだと思った。
身体を起こしたディーノが、着ていたTシャツを脱ぎ捨てる。その仕草をぼんやりと眺めていた雲雀は、ディーノの引き締まった身体に見惚れた。
「あ、や…っ、ちょっと待って……」
ディーノがベルトを外してジーンズの前をくつろげ、楔が現れた途端、雲雀ははっと我に返り、うろたえて後退った。
「やだ……そんな、大きいの…入らない……」
つぶやく言葉で、楔に怯えたのだとわかり、ディーノは見せないようにしたほうがよかったかと顔をしかめる。
しかし、見てしまったものはもう遅いし、大きいと言われて悪い気なぞしない。ディーノは逃げた雲雀の腰を捕まえて引き戻すと、覆いかぶさって怯える眦にキスをした。
「大丈夫、入るから。ちょっと痛ぇかもしんねーけど、優しくするし」
「やだ、ダメ……そんなの無理」
「無理じゃねーよ、大丈夫。恭弥が好きだからこんななんだぜ」
だから怖がらないで、とディーノはキスの雨を降らせる。髪を撫でて、抱きしめて、ディーノに愛されていることに意識を向けさせて…
ふっと雲雀の身体から力の抜けるのを待って、ディーノは熱い秘処にゆるゆると楔を埋め込んだ。
「や…ダメ……っう……」
途端に、雲雀はふたたび身体を強張らせ、ぎゅっとディーノの腕を掴む。爪が食い込み、痛かったけれど、ディーノはそれを露ほども感じていないかのように、雲雀への愛撫を止めなかった。
「大丈夫だから…、もう少しだから恭弥、もっと楽にして……」
大きな手が髪を撫でる感覚と優しい声に、雲雀は体に入っている力を抜こうと努める。秘処の異物感も痛みも、決して消えたわけではないけれど、ディーノを感じることに意識を向ければ、ディーノが自分を大切に愛しんでくれているのがわかった。
「あ…」
胸の頂を舐め取るキスが心地よくて、ふるりと身体を揺らす。気付くと、胎がディーノで満ちていた。
「入った…の?」
「おう、ちゃんと全部入ったぜ。…な、大丈夫だって言っただろ」
「うん…」
ディーノの胸板に頬を寄せてうなずくと、ディーノは褒めるように抱きしめて雲雀の髪にキスをした。
「動いていい?」
「…うん」
不慣れな雲雀を気遣いながら、ディーノが動き始める。雲雀はディーノにしがみついてそれに耐えながら、知らず腰を揺らめかせていた。
「あっ、あっ、あ…」
「恭弥、声可愛いな」
攻められるままに声を上げると、相好を崩したディーノが喉元にキスをくれた。紅く残った痕は、きっと制服では隠せない。雲雀がそこまで考えられなくなっているのをいいことに、ディーノは喉にも胸にも、所有権を主張する痕を残す。
「あ…っ、や、あぁぁぁっ」
「…うっ、はぁ……」
ひときわ高い声を上げて雲雀が達すると、ディーノも低くうめいて白濁を放出した。刹那的な快感が収まったディーノが楔を抜き取ると、蜜と混ざり合った白濁がどろりと溢れた。
「生がいいっていう話、確かめられたか?」
ディーノのからかうような問いかけに、まだ余韻の抜け切らない雲雀ははにかんで答える。
「うん…。あなたを感じるのが気持ちいいって、わかった」
それは予想以上の愛らしさで、ディーノはフリーズした。
セックスに夢中になっているうちに、窓の外は夕闇に包まれて、時計は夕食の時間を指していた。
「いけない。時間に遅れると、家政婦さんが様子見に来ちゃう」
「げ、やべーじゃん」
2戦目に突入するどころか、余韻を楽しむ暇もなく、ふたりは急いで身繕いする。
「恭弥、大丈夫か? 歩けるか?」
「歩けなくても、歩くしかないでしょ」
気遣うディーノに言い返して、雲雀はよろよろと部屋を出る。と、唐突に肩を引かれて、雲雀は後ろに倒れた。
「…なに?」
ディーノが抱きとめて倒れずに済んだものの、すっかり寄りかかる体勢になってしまったことが恥ずかしくて、雲雀は頭上のディーノを睨んだ。
「いや、まだちゃんと言ってなかったと思って。……恭弥、Ti amo」
真剣な中にも愛しさの見えるディーノの眼差しを正面から受けて、雲雀は思わず赤くなる。
とんとディーノの肩を押して、ディーノから離れると、雲雀はディーノに背中を向けてつぶやいた。
「Ti amo 、ディーノ」