unchangeable-love

真冬でも青々と茂っているあの木のように、俺のこの気持ちは、変わることがない・・・。

あれから本当に時間が経ったと思う。俺が光輝兄に告白し、その思いを受け入れてもらったあの日から・・・。
最初のころはいつ捨てられるのかと怯えていたけれど、その日が来ることはなく、いつも変わらず彼は優しい。彼なりのやり方で俺を愛してくれている。
自分でもこの気持ちは叶わないと思っていた。捨てなければならないと解っていた。
好きなら性別なんか関係ないと思えるほど、俺は強くはなかったんだ・・・好きで好きで仕方なかったからこそ、俺は弱くなっていった。



人の気持ちは、樹に近いのかもしれない。



捨てようと思ったその気持ちは、意図せずにどんどんと成長していく。
知らぬ間に光輝兄への気持ちは俺の心に根を張ってしまい、抜くことが出来なくなってしまった・・・。
針葉樹のように、何があっても色褪せることのない彼の魅力を、理不尽に思ったこともある。
何度も忘れようとしたけれど、事故による忘却だけでは恋の根を断ち切ることは出来なかった。枯れたはずの樹は、また芽吹いてしまった。

だけど光輝兄は、俺を抜くようなことはしなかった。どんどん育っていく気持ちとは裏腹に、どんどん弱っていく『俺』を見捨てないでくれた。
その気持ちを育て続けることを許してくれた。知らない間に俺を護ってくれた。
そして、光輝兄は俺に教えてくれた。本当は何よりも強かった、その絆。恋に盲目だった俺に、それ以上の気持ちで抱きしめてくれていたことを教えてくれた。
光輝兄という水があるから、俺という樹は生きていくことが出来るんだ。もう、貴方なしでは生きてはいけない・・・。

だから、俺は願うしかない。この幸せが変わらずに続くことを・・・。





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俺のこの気持ちは、どこまで伸びていくのだろう・・・。

時間が経つのは早い。俺が瞬の気持ちを受け入れることになったあの日から・・・どれだけ俺は変わったのだろうか。
目を覚ませば、そこには瞬がいる。おはようと言って俺を起こしてくれる。そんな変わらない日々こそが俺には何にも代えがたい宝物だ。
まさか彼が告白するとは思わなかった。そして俺がそれを受け入れることは未来永劫ないと思っていた・・・。
どんなに可愛い弟でも、やっぱり彼は男だった。大切であっても、その線を越えることはできないし、してはいけないと思ったんだ・・・。



人の気持ちは天に向かって伸びていく樹なのかもしれない。



一度芽を出してしまったそれは、どんどん伸びて、伸びていく。
気つけば俺の心の中には瞬だけが根付いてしまった。そして、それを抜こうと思わない俺がそこにいる。
正直、俺はそれに戸惑った。どうして彼なのか?そして、俺なのか。
気持ち悪いといって断ち切ることができれば、まだ幸せなのかもしれない。

だけど、決してそれは抜きたくなかった。一度枯らしかけて、失うことの恐ろしさを知った。
目を開けて『あなたは誰?』と言ったあの日を忘れはしない・・・。
俺には瞬がいないとだめであることを知った。源泉がどうであれ、俺には弟が必要なのだ。
瞬は教えてくれた。本当に大切なものは、当たり前のようにそこにあること、自分の隣にあること・・・そして、不変にそこにあるわけではないことを。
だから俺はずっと瞬を護ってやることに決めた。もはやこの気持ちは恋なんかとっくにすっ飛ばしている。
コニファーのように淡く優しい彼の光を浴びるのは、温かく、心地が良かった。だから、この気持ちを共に育てることに賭けてみた。

しかし、樹は水をあげなければ育たない。



瞬が種まきしたその想い、今度は俺が水やりするのだ・・・。





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こちらからもリンクさせていただき、普段お世話になっている貴月あきは様のバースデイ祝いとして、書かせていただきました。
12月10日の誕生花の一つである、コニファーをイメージして書いてみました。花言葉は「不変」。
万物は流転しますが、少しくらいは変わらない何かがあってもいいかと思います。
ということで、このSSを捧げさせていただきます(このSSは貴月さまのみお持ち帰り可となっております)。

貴月さま、誕生日おめでとうございます。今年一年がよきものとなるよう・・・。



秋山氏(2004/12/10)